表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
桑都エケベリア  作者: 富良原 清美
2,その出会い
7/39

2-1,その出会い

次→4月22日(火)20:00


初投稿作品です。大いに褒めてください。

舌が絡む。息が漏れる。甘い時間に身を委ねる。

「んぅ……ん?」

雪夜。吉松院。私。知らんやつ。


「ぅ……?」

え、雪夜。吉松院。私。で、知らんやつ。


え知らんやつ?


がりっ


「うわっ!えっええ!?は!?ぁうわいった!いった!!!口の中!噛んだ!ねえ噛んだ!?えだれだれだれ!?」

「えっえっえっは?っはああ!?おまっ、あ俺は、あ、いや、おおいてめえっ!」


「ふざっけんじゃねえぞこの不法侵入痴女野郎!!」


赤い髪。赤い瞳。鎖骨の赤い刺青。しもやけた指をこちらにびしぃっ。それよりも真っ赤な耳と顔。

「お……お……」

わなわな。思わず私は叫ぶ。

「女か野郎かどっちかにしろーーー!!!」

「そこじゃねぇーーー!!!」


ぜえ。


ぜえ。


てん。


てん。


「「ぉうわああああああああーーー!!!」」


ぜえ。


ぜえ。


てん。


てん。


「「叫びたいのはぁ」」


「「こっちじゃあああああああーーー!!!」」

ア〇とハ〇スもびっくりなシンクロぶりが夜空に響く。どちらのとも分からない真っ白な吐息が広がって消える。

なんだこいつは。

初めて見る顔。何も気を使っていません、が丸わかりな傷だらけの顔は冬の乾燥とそれ以外の要素で真っ赤になっている。

首から鎖骨にかけて大胆な赤い刺青。なかなかな腹筋。それが見えるのは、着物を帯もつけず、まともに着ていないから。

赤髪の手入れもしっかりやっているかは疑わしい。金色の飾りではねっ毛を押さえつけ、後ろに伸びた長髪は編んで垂らしている。

「はぁっ、はぁっ……っよく分かったわ痴女野郎ッ。てめえは一旦ぶちのめす」

「はぁ、はぁっ……っはあ?なんでそうなる訳?てかあんた誰?」

「こっちが聞きてぇわ!なに無断で人の寺入ってきてんだよ。しかもこぉんな時間に?不良か?おい名前は」

え、人の寺?質問を呑み込めない私に痺れを切らし、赤髪は眉をひそめる。

「おい、聞いてんの?なんでここにいんの。名前」

名前?

「おい、」

あれ、あれ。

「……私……誰?何でここにいんだっけ」

「……ふざッけんなよ」

「あ、いや、ちょ」

いや待て、待て。怒んないでくれ。本当に分からないんだって。

混乱がすごい。頭がぼうっとしている。色々あった気がして、色々考えた気がして、色々な感情を覚えた気がしたのは覚えているのだが。って何も覚えてねえな、私。いやでもしかし。なんだこの違和感?

胸の奥がもぞもぞ、ぢくぢくと嫌な感じ。分からないけど、この感覚に身を委ねたとしたら、泣いてしまいそうなのは何故だろう。いや、とりあえず。

「……本当に、君誰?」

「っあー……」

「あ、いや、ごめんっ、間違え」

やばい。咄嗟とはいえ質問を間違えた。確実に。先に謝罪だったよなあ……いや、何を謝れば良いのか分からないが。なんだか許してくれそうにない。

赤髪がゆらりと両手を開く。かなりの大弾が何個、何十個。低く、低く体を揺らす。狼の血の様な瞳がこちらを睨む。

「もーいい。もういい。不法侵入のあげくいきなりあんなことしといて『何しに来たんだっけ』?俺の質問無視して『君誰』?馬鹿にしてンの?」

「いや、本当にちょっと今分かってないというか」

「もういいって言ってンだろ」

「あれ、ちょ」

全然冷静じゃない声で赤髪がこちらを睨む。ぴくりと、冷えていそうな指が動いたのが見える。

(やっ……)

「一旦。一旦なァ、遊ぼうか。てめえの頭引きちぎって墓に埋めてやンよ」

「-ばぁっ!?」

全開で大きく体をひねる。間に合わずに爪が擦れる。髪の毛が少し持っていかれる。バランスだけは崩すな、次来る。

(玉葱遊か……?急に玉葱遊が始まったのか……?いや、いや、何が玉葱遊だくっそ、一つの大きさが人一人くらいあるぞ……?)

大きさがえっと大きくて、かなりたくさん飛んできてて、あえ、えっと、弾速速くね?

まずい。避けるので精一杯だ。私はまだ頭がふわふわしてるんだ。全然思考が回らん。とにかく、弾一個がめちゃくちゃでかい。速く見えるのは多分、頭が回ってないせい。いつもより処理能力が確実に落ちている。

「生け花は好きかぁ?痴女でも女だしなぁ。ちぎった頭に花でもぶっ刺してやんよッ!」

「あぶっ……!あー、……っふぅっ、生け花なんて柄じゃないわね、血の気しかないじゃない」

「花瓶は頭蓋骨限定なもんでなァ」

「センスの欠けらも無いわねっ……!そのッ……プレゼントいただける素敵なお花は?」

「はッ、千寿菊」

「きも」

「てめえがな?」

上々。コンディション最悪な事が理解できているだけ、まだ良い方。

どうする、戦うか、逃げるか。

(とりあえず……がーっと逃げるっ!)

回んない頭で何やったってどうせ無駄だろ。目の前のを避ける。めちゃくちゃ走る。また当たりそうになったらとっさに避ける。境内の坂をかけ上る。

(やばいやばい、背中見せんのはまずかったってぇ。てかほんと、なんで攻撃されてんの……?)

ひゅん、と人間大の弾幕が掠める音がいつもより鋭く聞こえる。避けるついでに観察してみると、楕円がかっている。回転がかかって歪んでいるように見える朱色の弾幕は、大きさに目を瞑れば本当に花びらのようだ。

(当たったら血の花が咲くわーってな……はは)

細い坂道では大した逃げ場が作れない。咄嗟とはいえ失敗すぎる。苦笑。口の端がひきつる。髪の毛にかまけていられず、引っ張られる感覚やちぎれる感覚がする。ちょっと痛い。ちくしょう。

着物に傷ができ糸がほつれる。また弾がかすり、一部が黒くこげつく。

(あっやばっ、この先は……っ)

しくった、左右に逃げ場がない。背中越しの弾幕を感じながら上に飛ぶ。降りれる場所は、

(あそこしかないよな……)

手すりの上。木製の手すり。

ふわりと見える跳躍だが、人間離れした高さ。細い手すりがその高さからの着地に耐えられるわけがない。降り立った瞬間に、明らかに壊れるしなり方をするのが分かる。

(そうだよ……なあっ!)

「勝負あったなァ、痴女っ!死んどけっ!」

赤髪のハイになった声が聞こえる。

花びらのような段幕展開を突っ切って、更に一回り大きく、赤い大弾。分かりやすい直線。


お?あっは。


「ごめんなあ、手すりとかもろもろ」

バゴッ!!!

人二人分もあるような大弾が、私がいた所に着弾した。

次→4月22日(火)20:00


やっとこさ戦闘が書けるぜ!

書いたり書かれたりしました。富良原清美です。


カクヨムでも投稿予定です。同じ名前です。好きな方で読んでいただけますと。


執筆用のツイッターはじめました。(@Huraharakiyomi)

ここまで読んでいただける皆様ならきっと仲良くなれると思います。


では。

JKよりJD派の富良原より

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ