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桑都エケベリア  作者: 富良原 清美
4,素敵なお仕事
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39/40

4-17,素敵なお仕事

次→9月6日(土)20時


少しでも楽しんでいただけましたら、一言からでもコメントを頂けると嬉しいです。あなたのコメントで白米が進みます。

「……来たぞ、浄心門じょうしんもん!」


 私の叫びを無視してか、はたまた本当に聞こえなかったかは知らないが、とにかく燧石ひうちいしが声を上げた。


 ハッとして正面を見れば、確かに大きな門が見える。鳥居みたいだ。吉松院きちまついんのそれの2、3倍あるが。

 古びた木造造りのその門は、しかし絹のタペストリーで豪華に飾り立てられ、こちら側とあちら側を何か決定的にわけ隔てているかのように鎮座している。上部中央に「霊気満山れいきまんざん」なんて物々しい文字が飾られている。


(確か、浄心門を潜るとすぐに……)


 ジャッ!!


 相変わらず続く極太の直線攻撃をさけながら奥を見やると、道が二股に分かれている。左側が急な階段で、右側が緩やかにカーブして奥まで続く坂。


 あれがさっき言っていた、


「男坂と女坂!」

「あァ、もうすぐだ!とっとと行くぞ!」


 言い放った燧石の体が、ぐらりと傾く。絶対に意図的じゃない傾き方だ。


 今のあいつに攻撃があたったら、ヤバい。それが例え、平常時ならかすり傷で済む程度のものだとしても。


 だから。


「燧石っ!」


 私は弾幕の隙間を縫って無理やり彼女に近づき、袖口を掴む。


「んっ!」

「なっ、あぶねェだろっ!」

「余裕!私強いし!」


 強がりに決まっているが、でも、この状態の燧石と坂で別れてしまったら……。なんだか嫌な想像をしてしまう。


「一緒に行くよっ!」


 血が付着するのも厭わず、私は燧石の腕にギュッと抱きつく。やっぱり、こいつは温かい。


 朱色の瞳を丸く見開きながらこちらを見た燧石は、


 ズバッ!!


 吹っ飛んでくる弾幕をかわしながら半分驚いたように、半分納得したように口を開いた。


「ンじゃ、男坂を一気に上がるぞッ!」


 視線の先には、分岐の左方面。「男坂」と呼ばれる急な階段が上まで伸びている。


(根性根性根性っ!)


 その階段を見て感じてしまった一抹の不安をなんとか押し殺し、私は気合いを入れ直す。

 私のために血を流している嫁を横にして根性見せられないほど、自分は腑抜けではない。


 弾幕のパターンが変わっていないことを確認し、上を見上げる。


(いち、に、さん、いち、に、さん)


 行ける。「さん」の「ん」のタイミングでジャンプ。足が着いたタイミングで二段蹴ってまたジャンプ。

 何となくの予想をつけて、階段前十数メートルで間合いを取る。


(いち、に、さん)


 上を見ながらカウントを始める。ちらりと燧石に目をやるが、大丈夫、動けそう。というか、次に彼女の身体が傾いたら私が支える。例え、少し被弾してしまったとしても。


(いち、に、さん)


 次。次で跳ぶ!


 脚に力をかけると、やはりキリキリと痛む。できるだけ軽く、全身のバネを使って跳ぶのを意識。パチンと頬を叩く両手の横を、弾幕が通過する。


(いち、に、さ-


「させるか!」


 少年の声が響いた瞬間、私は絶対に跳んじゃいけないと察した。


次→9月6日(土)20時


書いたり書かれたりしました。

富良原きよみです。


カクヨムでも投稿予定です。同じ名前です。好きな方で読んでいただけますと。


執筆用のツイッターはじめました。(@Huraharakiyomi)

ここまで読んでいただける皆様ならきっと仲良くなれると思います。


では。

富良原より

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