3-2,神以外が永遠だと思わないこった
次→5月17日(土)20時
ちゃんと追ってくれてる人いますよね。
ね~~~~(爆裂笑顔)
「えびっちゃんは諦めなぁ〜?ああにゃったら動きやしないんだから」
三人麻雀を楽しみつつ、主にサラちゃんがえびさんの勧誘も頑張っていると、しばらく調理場にこもっていたオーナァが戻ってくる。
「あっち側にお熱だからねぇ」
「あ、ほんとだ!じゃあもう無理ですね〜むぅ」
さっきまであんなに頑張っていたサラちゃんが、何かに気づいて急にやる気を失う。
「えっ、どうしたの?」
「あ、おゆきちはまだ知らんか」
オーナァは私に目線を合わせてえびさんを指さす。
「ほらぁ、目元見てみ」
「あ……」
一瞬ドキッとする。えびさんの目は、まるで作り物のような違和感を覚える目に変わり果てていた。玉に糸を巻き付けてできたような、ざらざらで人形のような目。なるほど。あの目は一回見たことがある。
あの日、私がお口付けをしたあの日。燧石も確か、あんな目を。
「編み目を広げてる、ってことか」
「あ、知ってた?おゆきっちゃん」
オーナァはなぁんだ、と指を下ろす。
「えびっちゃんは底の人間をのぞき見るのが趣味でねぇ、白玉とか地酒の作り方も覗き見て覚えてきたのよ」
「あ、そうなんだ」
オーナァはニヤっとする。
「そそ……そして今晩のメイン、このナポリタンもねっ!」
お皿にデカ盛りナポリタンどーん
「「お、おおー!!!」」「ウマソッ!」
オーナァは得意げに、いそいそとナポリタンを配膳する。出来上がったばかりのナポリタンは湯気を立てていい匂いを店中に巡らす。こんなのが出てきてしまえば、麻雀なんてすっかりそっちのけである。
「ふふん、このナポリタンはただのナポリタンじゃないのよ?その名も、『八王子ナポリタン』!」
「八王子、ナポリタン?」
「そそ。ナポリタンに刻み玉ねぎをた~っぷり載せるのよん。これもね、覗き見のえびっちゃんの入れ知恵」
「覗き見のえびっちゃん。」
「ころすぞ」
「えびさんさまさまです〜。これ美味しいんですよね、嬉しいっ!」
「作りがいがありますよん」
「玉ねぎ刻んで載せるだけで何だって八王子ですもんねぇ!」
「サラたん、言っちゃダメ」
「ダメッ」
そんなこんなで夕食の支度が整う。カラフルなテーブルクロスに花瓶。お酒とナポリタン。しかもタダ。言うことなしだ。
「おゆきち以外はお代貰うからね」
「つけで」
えびさん
「つけでっ!」
サラちゃん
「チュケデ」
酒太郎
「……は?」
「あん?」
「ん?」
「ンッ?」
間。
「お前ら金払えーー!!!」
パチンっ
「「「いただきまーす」」」
「イタダクッ!」
扉、ガラガラぴしゃーんっ
「ちょっと待てェーー!!!」
「「「うわーーっ!!!?」」」
叫びながら、コントかよ……と冷静に突っ込む自分がいなくもなかった。
「うるせぇーっ!!!って毘沙門君?夕飯食べに来たのかにゃ?珍しい」
まだまだあるぜ、とナポリタンを指さし、オーナァは客を歓迎する。が、
「おい、おゆきちッ!」
ずびしぃ。真っ直ぐに私を指さす。
「いつの間におゆきち浸透してんの?」
「何やってンだおゆきち。帰ンぞ」
「……は?」
なんでやねん。
「んぇ?」
「帰っちゃうんですか?おゆきちさん」
「え、いや……?」
いきなりやって来てなんだこいつは。随分と怒り心頭なようだが覚えがない。
「いや、今から夕食なんだけ-」
「お前は」
燧石が話を遮る。
「今日一日、何をしていた」
「いや、何って」
「あァ、誤魔化すなよ。俺は知ってるぞ?まず正午過ぎに起き!」
うっ
「飯より先に酒を飲み!」
ううっ
「底を上手く覗けないとかなんとか言い訳して日課をサボりここに入り浸り!」
うううっ
「見たところ麻雀で遊ンでたようだなぁ……楽しかッたか?基本的な生活知識も学ばず遊びほうける時間は!」
ぐさぐさぐさ。
アツアツのナポリタンを前に、急に説教が始まる。結構な正論ではあるが、急にこられてやられっぱなしでは立つ瀬が無いと、私は反論を試みる。
「だ……だってぇ!寝るのとか、食べるのとか、新鮮ですごく楽しかったから?それにほら、まだ口に来たばかりというか?」
「一日くらい休め、とは言ったがなァ。一週間遊び暮らせとは言ってねンだわ」
ぐさぐさぐさぐさ。
(あ、駄目かも……)
「そもそもなァ、俺、毎朝法華経読ンでるって言ったよなぁ?聞きに来いよ!」
うっ
「あの日の翌日すら聞きに来ねェとかおい!あれは来る流れだったろ!」
ううっ
「いや、流れとか知らんし……。だって何時からだっけ、あれ」
ごにょごにょ
「七時半」
「早い無理!!」
「早くねェ!!」
「……どーでもいいけど」
心無しか、少し量が増えた八王子ナポリタンをオーナァが寂しげに見つめる。
「ナポリタン冷めるよん」
「「後で!!」」
「あ、はい」
「ご馳走様ですっ!」
「ゲキウマ」
「あ、はい」
すでに食事を終えた面々を横目に、私は再び言い訳を試みる。
「い、良いじゃない別に。時は無限な訳だし、ゆっくりさせてよ」
「神以外も永遠だとは思わねェこったな。掃除、鍛錬、農作業。半日で終わると思うなよ」
「あ、あんたには関係ないでしょ」
「吉松院の管理やってたの俺な!?我らが主に命じられてから百何十年!今綺麗な布団で寝れンのは誰のお陰だ、あぁ?」
「はぁ?た、頼んでないし」
「じゃあこれからは自分で掃除しろよ」
「…………」
「ほらぁ!ほらァ!!」
「う、うるさい!」
KO負けかもしれない。燧石が呆れたようにはぁ、とため息をつく。
「まぁ、こんな女どもに任せた俺の責任でもあるか……。ほらおゆきち、帰ンぞ」
「つくづくあんたも失礼にゃあ……」
唐突に矛先を向けられたオーナァ。不憫すぎる。
「えぇ~」
「あ?」
「いや、生活態度は?反省すべきかもしれないけれど?何で帰んないといけないのよ。食事は別にいいでしょ」
「お前なぁ……」
燧石はさっきよりも呆れたような表情を見せる。
「流石に自覚もてよ……嫁としての」
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書いたり書かれたりしました。富良原きよみです。
カクヨムでも投稿予定です。同じ名前です。好きな方で読んでいただけますと。
執筆用のツイッターはじめました。(@Huraharakiyomi)
ここまで読んでいただける皆様ならきっと仲良くなれると思います。
では。
JKよりJD派の富良原より




