5.とりあえず職探し その1
レイさんの裸体を脳に焼き付けた俺は今レイさんに背中流して貰っていた。
『カブロウ様、お加減は如何でしょうか?』
『あっ、はい!綺麗な女性に背中を流して貰える日が来るとは感動で涙が止まりませんよー』
『カブロウ様はお上手ですね、私が綺麗だなんて』
『いえいえ、レイさんは綺麗ですよ?髪も肌も白くて美しいですし、結婚するならレイさんみたいな人が良いですね』
『ふぇ!?け、結婚!?カブロウ様となら・・・』
俺が本音で語るとレイさんは顔を真っ赤にしながら小声で何か言っていた。
『そ、それではカブロウ様!次はままま、前の方を』
『ちょっ!?レイさん!?前は自分で洗えますからー!』
俺は落ち込んでいるレイさんからタオルを受け取り体を洗い再度湯に浸かる。すると突然誰かが風呂に飛び込んで来た。
『はははっ!やっぱりカブロウ様だ!私の様な美少女と入浴出来るなんて幸運だな!』
『チッ!』
入って来たのは巫女様だった。レイさん今舌打ちした?
気のせいだろう、しかし巫女様は見事に平らな体だなぁ
何も感じん。
『そういえば巫女様って名前なんて言うのか聞いてないんですが?何と呼べば?』
『阿呆とか馬鹿でよろしいですよ』
『うぉい!?レイ!お前とは一度しっかりと話をした方がいい様だな!私の名はミコだ!』
『え?つまりミコ巫女様?』
『言いづらいから皆には巫女様で呼ばせている』
なるほどね、それにしても親御さんももっと別の名前があったろうに
『巫女様、体を洗いますので早く来て下さい』
レイさんはタワシの様な物を持っていた。
『レイ、お前の持っているのは馬用のブラシではないか!?そんなので洗われたら皮が剥がれるわ!』
『カブロウ様を楽しませる為の冗談ですよ。早くこちらに来て下さい』
巫女様は渋々レイさんに洗われている。俺はそろそろ風呂からあがる事にした。
『巫女様とレイさん、俺は先にあがらせて貰いますね』
『はい、お食事の用意が出来ましたらカブロウ様のお部屋に運ばせて頂きますので』
『ギャー!!?レイ!泡が目に入ったー!!』
騒がしい浴室を出て着替えて脱衣所を出るとシスターさんが立っていた、レイさんが念の為に案内人を待機させていたらしい、俺は案内され部屋に戻るとベットに倒れ込む。
『ふぅ〜、明日は仕事と宿探ししないとな、それにしてもこのパンツ風呂に入ったのに全然濡れてないな』
パンツを触って濡れてないか確かめていると口の周りの布が開いた、食事の時どうしようかと思ったが流石エロス様の下着だ。
『あれ?これと同じ下着をここの女性は履いてるって言ってたな・・・オラワクワクすっぞ!』
と馬鹿な事を言っているとレイさんが食事を持って来て大きめのテーブルに並べていく。何故か3人分あったが巫女様が来てレイさんと3人で食事をする、誰かと食事をするのは久しぶりで嬉しく感じた。
『それでカブロウ様は今後どうするのか考えているのか?』
『そうですね、まずは仕事と宿探しですかね、お世話になりっぱなしも心苦しいので』
『カブロウ様、我々はずっと居て頂いても構いませんよ?』
レイさんが上目遣いで俺を見てくる。美女の上目遣いは危険だ皆も異世界に行ったら気を付けろよ?
『ではこの部屋を借りるというのはどうだ?カブロウ様がこの部屋を宿代わりにして働けば良い』
『それです!巫女様が初めて良い事を言いましたね!』
レイさんは嬉しそうに巫女様の提案に賛同する。
『まぁ、カブロウ様なら寄付金を募れば店が建てられるぐらい貰えると思うがねぇ』
『カブロウ様がお店をやるのでしたら私はカブロウ様のお店で働きます!』
レイさんは俺の手を掴み胸に押し当てる。いつかお店を持つ事を目標にした瞬間である。
『面白そうだから明日寄付金集めやってみよう!』
『面白そうって、巫女様お店建てられたとしても何の店やるのかさえ決まって無いですよ?』
『飯屋とかはどうだ?カブロウ様は料理は出来るか?』
『う〜ん、料理は多少は出来ますが料理屋ならお米が欲しいですねー』
『コメ?コメとは美味いのか?』
『俺のいた国の主食ですね、ライスも聞いた事ありませんか?』
『ライスならあるぞ?昔女神エロス様からテンムスと言う物が食べたいと神託を頂いたのだが、作り方が分からないらしく、ライスはあってもエビテンと言うのが分からなくてな』
テンムス?エビテン?あぁ、天むすの事か?材料さえあれば出来るけど作ったら女神様降臨するよね?と考えていたらまたも手紙が落ちて来た。俺は手紙を開き読む事にする。手紙には(食べたいから早く作ってね)と書いてあった。
『カ、カブロウ様?そ、そのお手紙は?』
『あぁ、これですか?女神様からの手紙です、天むすを早く作ってだそうです』
手紙は消滅しなかったので俺は手紙を巫女様に渡すと飛び跳ね喜んでいた。レイさんは手紙が欲しかったのか床に倒れ込んで巫女様の持つ手紙を見つめていた。