こんな人魚姫はもっと嫌だ
王子様に恋をしてしまった人魚姫。声と引き換えに人間の姿を手に入れますが、王子様と結婚できなければ海の泡となって消えてしまいます。
(あの女さえ居なければ)
人魚姫は暗い瞳で王子様の求婚を受けた他国の姫を見つめます。(あの女が居なければ王子様は私のもののはず。そうだ、殺してしまえばいい。よし、殺してしまおう)
けれど間違っても自分が殺したことを周りに気づかれる訳にはいきません。
(そうだ、海の生き物に殺らせればいい)人魚姫はカジキに命じました。
婚約者となった姫が海に近づいた時、カジキが襲いかかります。後ろからものすごい速さで泳いできて飛び上がり鋭い嘴で一突きに心臓を貫いてしまいました。
ところが王子様は人魚姫ではなく別の女性に求婚します
(おのれ、おのれ)人魚姫は嫉妬と恨みをつのらせます。(もっと残酷に殺してやらねば)
人魚姫に命じられたサメがその女性の足に噛みつきそのまま海底深く引きずり込んでしまいました
(またしても別の女に)しかしもう海に近づくことはありません。しかたなく人魚姫は毒殺することにしました。海には毒を持つ生き物はたくさんいるのでいくらでも手に入ります。
今度こそはと期待する人魚姫に王子様が言いました
「僕の周りの女性は皆不幸になってしまう。僕は誰とも結婚しないことに決めました。あなたも僕のそばにいると不幸になります。すぐに出ていってください」
そう言って幾ばくかのお金を渡されました