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珍奇!強制シーメール化事件  作者: モッチー
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第12話:魔法少女の残業

pixiv版→https://www.pixiv.net/novel/series/7675147


ハーメルン版→https://syosetu.org/novel/266019/


小説家になろう版→https://ncode.syosetu.com/n5419hd/

本日、デンキウナギとヒョウアザラシを同時に兼ね備える巨大怪獣が死亡した。

白鳥の様なエネルギー翼を羽ばたかせながら舞い降りる強田の神々しさと強さに、他の魔法少女達がポカーンとしていた。

「正に鎧袖一触。何もさせないとは正にこの事ね?」

ただ、今回は巨大怪獣の斃し方に問題があった。

「でも……これだけ残っちゃ、間違いなく残業ね」

翔太の言葉に、あからさまに嫌そうな顔をする魔法少女達。

「えー!?強田ちゃん―――」

「ちゃん!?」

その途端、強田が怒る!

「俺は男でヤンキーだぞ!せめておっさんか野郎で呼べ!」

魔法少女達にとってはどうでも良い事であり、見た目的にもおっさんやジジイで呼ぶのは気が引ける。

が、ヤンキー漫画に登場する『強過ぎる糞外道』に憧れる男を自負する強田にとってはどうでもよくない事である。

でも、翔太の“残業”の言葉に嫌な予感がしている魔法少女達にとっては、やはりどうでも良いこだわりである。

「そんな事より強田ちゃん、さっさとアレを完全に消しちゃってよぉー」

物凄く悔しいが何を言っても無駄だと悟った強田は、取り敢えず何を嫌がってるのかを訊ねた。

「俺達、これから残業らしいが、具体的に何をすれば良いんだ?」

「強田ちゃんがアレをさっさと完全消滅させれば良いだけだよぉー」

段々腹が立って来た強田。

「いい加減にしろよお前ら……それに、このまま残して解体してやれば―――」

翔太が首を横に振りながら悲しげに言う。

「残業を長引かせたくなければ、そう言う考えは捨てた方が良いよ」

「は?」


翔太の言う“残業”とは、魔法少女管理委員会の隠語の1つである。

最初の内は確かに巨大怪獣の遺体を解剖して今後の対策を練ろうと考えていた事もあったが、巨大怪獣の身体の部位を高値で売る者が後を絶たず、不要な人物の戦闘エリア侵入を予防すると言う理由で、国連は渋々巨大怪獣の調査解剖を諦めた。

それ以降、魔法少女は巨大怪獣が完全消滅するまで巨大怪獣を監視する事を余儀なくされてしまったのである。


「つまり、悪質転売ヤー対策って訳ね?」

翔太から残業の意味を聞かされた強田は、急に他の魔法少女達とは真逆の行動をしている魔法少女達の事が気になった。

「それじゃあ、あそこで何かを運び出そうとしているのも、駄目って事か?」

そこにいたのは、巨大怪獣の体内から巨大ダンゴムシの様な物を取り出し、それを円柱型の瓶の中に入れる4人の少女達であった。

「うわぁー!言ってる傍から早速かい!?」

魔法少女達がその4人を問い詰めに駆け寄る。

「ちょっとちょっと!此処は関係者以外立ち入り禁止よ!」

「ほらほら!要救助者はさっさと避難所に戻って!」

が、4人は言う事を聞きそうにない。

「生憎……こっちも仕事なんで」

このままだと余計な仕事が増えそうなのでイライラしているせいか、魔法少女達の口調がどんどん乱暴になっていく。

「こっちは無関係者を危険エリアから追い出すのが仕事なの!」

「と言うか、余計な仕事を増やさないでくれる」

それに対し、4人組のリーダー格の女性が嫌味な事を言う。

「働いた?ほとんど」

突然指を指されて注目を一身に受けてしまう強田。

「あの方が1人で黙らせた様なモノじゃなくて?」

「……俺?」

呼び出しを食らった気がしたので、渋々口論の場に混ざろうとした強田であったが、

「ぐっ!」

突然力が抜ける感覚に襲われてしまい、翼を消していつもの戦闘服に戻ってしまった強田。

「やはり……地球の敵以外との戦いでは……本気を出せないのか……」

「強田!?」

突然の強田の不調に、魔法少女達が強田の許に集まる中、4人組のリーダー格が何故か困惑した。

「怨人の力、完全に使いこなしたのではないのか!?」

その言葉に、強田が姉を復活させようとした青年の事を思い出す。

「貴様ぁ……あの8歳のクソガキの仲間か!?」

4人組のリーダー格が他のメンバーに退却を命じた。

「これは……暢気に解体ショーをしてる場合じゃなさそうね?一旦、あの方の許へ戻る!」

「え!?まだ材料がこんなに―――」

「いいから帰るぞ!」

「はぁーい」

不満そうな返事をしながら瞬間移動で逃走する4人組。

「あいつらも魔法少女か……道理であいつらが本気を出さない筈だ」

「強田!?」

「強田ちゃん!?」

最早、ちゃん付けに対するツッコミすら出来ない強田であった。


病院のベットに寝かされた強田は、早速、ライラの尋問を受けてしまう。

「何が遭った?……やはり怨人に変えられた影響か?」

強田はただ一言、

「ああ」

強田が体を起こしながら続けた。

「あいつらに羽交い絞めにされて……()けなかった」

「それは、お前の体内に埋め込まれた死霊の仕業か?」

強田が悲し気に首を振る。

「いや……あのクソアマ共が俺の予想通りの奴らなら、あの男の姉が停める筈が無い。寧ろ、俺の背中を押していたかもしれない」

ライラは首を傾げた。

「じゃあ、誰が止めた?」

強田が悲し気に答えた。

「生霊の方さ」

ますます理解に苦しむライラ。

「何故だ?生霊の方はお前と共に戦うと―――」

「いや!それ故だ。未来からやって来た生霊は、これ以上魔法少女が減る事を恐れてる。だから、例えそれが悪党であっても手を出す勇気が無いんだ」

ライラは……恐る恐るながら意を決して訊ねた。

「その……未来で何が遭った?」

強田が悲し気に答えた。

「……俺達は本来、あの母島で叩務にボロ負けする筈だった」

「兵器推進善業が流したあの動画!それだけの威力が有ったのか……」

「恐らくあいつらは……それ以来、俺達の様な存在の力を借りられなくなっていったんだろう?あいつらの髪……あのクソエイリアンと同じくらい酷かったぜ?」

驚きを隠せないライラ。

「……なんて事だ!」

「だからあいつらは生霊となってここに来た。俺達の運命を変える為に」

ライラはもう何も言えなかった。


しばらくして、強田が強引に話題を変えた。

「ところで、例のクソアマ共は何者なんだ!?時期が短いから生意気な事は言えねぇけどよ、あいつらを見た覚えがねぇ!」

その言葉に、ライラの視線が厳しくなった。

「お前があの者達を見た事が無いのは当たり前だ。彼らもまた、違法に造られた魔法少女なのだからな」

身構える強田。

「確かにあの隕石の大半は、国連と我々管理委員会の管理下にある。だが、我々の監視の目をくぐり抜けて例の隕石を手に入れている者も、ほんの僅かながらいるのも……恥ずかしながら事実だ」

「つまり、盗んだ隕石の力で魔法少女に成った糞野郎が、あのデカブツに群がる転売ヤーと手を組んだって訳か!?」

ベットから降りようとする強田を見て表情が曇るライラ。

「どこへ行く!?」

「決まってる。あのクソアマ共の所だ。どうせ、俺達がどこで何をしているのか全部把握してるんだろ?」

強田の皮肉にあえて否定はせず、ライラは質問で返した。

「行ってどうする?その体でか?」

強田は少し悩んだが、

「……確かに未来からやって来た連中は嫌がるだろうが……」

強田の脳裏に、怨人製作用祭壇を使って姉を復活させようとした青年の顔が浮かぶ。

「俺的には……もうアウトなんだよ」


既に4人組の転送先を特定していた管理委員会は、対テロ用特殊部隊と共に4人組のアジトと思われる中国風の豪邸を襲撃していた。

「随分派手にやってるな!?」

遅れてやって来た強田に対し、松本がバツが悪そうに答えた。

「来たか!例の子供の正体が解った!」

「はぁ!?もう直ぐ黒幕とのタイマンだろ!?なのになんで今頃あのガキの事を話すんだ!?」

それに対し、松本が本当にバツが悪そうだ。

「それなんだが……色々と……遭って……な……」

少しイライラする強田。

「何だ歯切れの悪い!?いつもの傲慢さは何処に行った!?」

その時、夏芽とエレクトロンの声が響いた。

「いたぞ!祭高明だ!」

直感でそいつが黒幕だと判断した強田は、夏芽達の許へ急いだ。

「あの伝言役のガキの事は後だ!転売ヤー野郎をとっちめるぞ!」

バツが悪そうな松本が完全に出遅れた。

「いや待て!待てと言うに!」


夏芽達の許に到着した強田が叫んだ。

「出てこい!転売ヤー野郎!」

祭高明が、例の4人を従えながら階段をゆっくりと降りたが、その姿に対して驚き半分疑念半分と言った感じの強田。

「テメェは!?……母島で出会った盗人野郎を騙したクソガキ!?」

強田が誰と間違えているのか察した祭が恥ずかしそうに頬をかいた。

「ただの伝言役の小物に用はねぇ!俺が探しているのは、母島で余計な真似をした転売ヤー野郎だ!」

祭が恥ずかしそうに笑った。

「ははは。やはりそっちと勘違いしましたか……本当はそろそろ老後の事を考えなきゃいけない歳なんですが」

「そんな嘘に誰が騙され―――」

強田は、嘘を見破ろうと祭の過去をテレパシーで盗み視たが、

「……マジか……貴様が母島で余計な真似をした転売ヤーだったのか……」

それに対し、祭は冷静に答えた。

「ええ……私が祭高明です」

強田はやはり驚きを隠せなかった。

祭の姿は、どう診ても8歳くらいの男の子にしか見えないからだ。

だが、目の前の子供が姉を蘇らせようとした青年を騙した連中の黒幕だと解った時点で、もはや外見年齢と実際年齢の開きが大き過ぎる事などどうでも良かった。

「ならば直球で行くぜアウト野郎……貴様は何を企んでる!」

すると、祭が1枚の紙袋を取り出した。病院で貰える薬入れの様なモノだ。

「彼らの骨……骨粗しょう症に効果てきめんでね」

「それがどうした」

「だから、粉末にすると1g10円で売れるんですよ」

その途端、管理委員会が送り込ん魔法少女達と祭配下の魔法少女達が、ほぼ同時に臨戦態勢をとった。

「結局は金かい!……卑劣な転売ヤーらしい考えだぜ!」


その時、ガラガラヘビとイッカクを同時に兼ね備える巨大怪獣が祭の豪邸を強襲した。

「こんな時にかよ!?」

一瞬、祭の顔を見た強田が逆に納得した。

「いや……売り飛ばされた仲間の仇討ちか?あのデカブツ、案外可愛い所があるじゃねぇか?」

その間、巨大怪獣が円柱型の瓶を次々と破壊し、それを見た祭の配下の魔法少女達が慌てふためいた。

「あー!せっかく集めたのにぃー!」

だが、巨大怪獣はお構いなしに円柱型の瓶を次々と破壊する。

「いや……前言撤回!あのデカブツの目的は、ただの口封じかよ!?」

そんな中、祭が配下のリーダー格と何かを話していた。

「ですが、それでは損失と利益のバランスが……」

祭に迷いが無いと判断したリーダー格が、意を決してテレパシーで指示を送る。

「さあ……解体ショーへようこそ」

すると、1人目が斧を投げつけて角をへし折った。

「へへーん♪どうだ!?」

2人目は、ただ黙ってビリヤードの様な構えで光弾を次々と発射した。

3人目は、ゴルフクラブを五節棍に変形させて巨大怪獣を何度も殴打する。

「元譲姉さーん、今だよー」

元譲と呼ばれたリーダー格が、金剛杖から銃弾をマシンガンの様に発射し、その途端、巨大怪獣がもがき苦しんで泡を吹いて倒れた。

4人組の連携攻撃を観て背筋が寒くなる松本。

「強い……いずれ俺はこいつらを逮捕しなきゃいけないと言うのにか!?」

そして、4人組は祭を巨大怪獣の上に乗せると、巨大怪獣に大量の念を送った。

すると、

「巨大怪獣、超能力許容限界値を突破します!」

祭ごと骨を全て長距離転送された巨大怪獣が、フニャフニャに成りながら死亡した。

その状況に呆れる松本。

「体を一部を別の場所に転送したのか?そう言う戦い方もアリ……なのか?」

だが、強田はそれどころじゃなかった。

「クソ!待ちやがれ!クソ転売ヤーアウト野郎!」


結局、祭を取り逃がす事になってしまった強田が心底悔しがる。

「クソ!」

そして、ライラと連絡を取って祭達を捜索させようとするが……

「その前に……残業です」

一同が、祭達に敗れフニャフニャになった巨大怪獣の遺体を見た。

「あ」

「そうだったわねぇ」

祭は、管理委員会側の魔法少女達が巨大怪獣の遺体を護衛しなければならなくなる事まで見越し、その上で骨全てだけを別の豪邸に転送させたのだ。

「クソォー!早く消えてくれデカブツ!速くぅー!」

「と言うか、他の盗人が嗅ぎ付けて来る前に……」

他の魔法少女達が溜息を吐き、完全に祭にしてやられた強田の怒号がとんだ。

「があぁーーーーー!」

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