赤サギと呼称される私の最も憎く許せない詐欺師
皆さんは赤サギと呼称される、女性を専門に食い物にする詐欺師が存在するのをご存知だろうか。
これからの事は、筆者である私の実体験である。
昔私は、とある縁から知り合いになった侠客の女が経営するクラブに用心棒兼チーフマネージャーとして在籍していた。
その時にその店に在籍していた、百合子という一人の女性がいたのだが、その女性は幼少期に両親を亡くし、半ば一家離散状態のまま今日まで生きてきて、この店で唯一の肉親の妹さんの紗子さんと巡り逢ったのですが、それまでの二人の生活環境は想像を絶する過酷なものであった事は、容易に予測できた訳である。
姉の百合子さんは、愚連隊に、妹の紗子さんは、走り屋にと、二人とも社会のはみ出し者として、地の底を舐め、泥水を啜り生きてきた。
そして二人は店で再会を果たし、共にこの店の従業員として、切磋琢磨して行くはずだった……
しかし、悲劇は突然訪れた。店に馴染み、バリバリと業務をこなしていたのだが、とある男が彼女に言い寄った事が悲劇の幕開けだった。
一見好青年に見えたこの男だったが、店最年長で、恋愛の伝道師を自負する英美さんを始めとする私達は、彼女に黄色信号を出していたのだが、愛は盲目とはよく言ったもので、完全に彼のかりそめの愛情表現に魅せられてしまっていた彼女には、私達の言葉など、届くはず無かったのである。
結果彼女は、見事にその男のかりそめの愛情表現に騙され、情緒不安定に陥って、自家用車を運転時に車事橋の欄干を突き破り、自らの二十年と少しの生涯に幕を閉じたのです。
Fin
これは、完全な実話です。
当時少なからず、彼女に淡い恋心を抱いていた私にとっては、四十年と少し過ぎた今でも、胸を締め付けて、想い出せば涙が出る哀しい想い出です。