表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
85/156

第八十話 楓ちゃん、クラスメートと入浴する

楓視点です。

 フォークダンスのあとはお風呂でした。お着替えとアメニティグッズを荷物から出してまとめます。


「楓、もうみんなお風呂に行ったわよ?」

「はぅぅ、すぐ行きます」


 芹さんに呼ばれたため一緒に脱衣場に向かいました。三つ編みを苦戦しながら解いていると、着替え中の百合さんや牡丹さん達が手伝ってくださいました。


「はぅぅ、ありがとうございます」

「別にいいわ。それより楓たん、一人で脱げる?」

「手伝ってあげる♪」

「まずはその野暮ったいジャージからだよ」

「は、はぅぅぅぅ!!」


 小さな子供のように服を脱がされ、わたしは半泣きになりながら浴室に入室しました。浴槽はそれなりに広く、二十人くらいなら一度に入れるため、各クラスが順番で入浴します。


「あ、楓たんだ」

「名護山さんもいるね。スタイルすごっ!」

「百合って意外と出るとこ出てるよね」

「南条さん、モデルみたい」


 皆さんがわたし達に視線を向けてきました。逆にわたしは目の前に広がる光景と、自身の体型との相違に深く落ち込みました。


(はぅぅ、わたしだけお子様です)


 比較的小柄な百合さんや川平さんでも、ちゃんと膨らみはありますしくびれてもいます。わたしみたいに寸胴な子は誰もいませんでした。


「楓、なんで落ち込んでるのよ?」

「芹さん、さすがにあなたがそれ聞くのは残酷よ」

「いや、牡丹だって大概だからね!?」


 身長は平均ですがグラマラスな芹さんと、背が高くバランスのいい牡丹さん、さらに小柄でも女性らしい体つきの百合さんに囲まれたわたし。はぅぅ、お胸が揺れるなんてびっくりです。お母さんもスレンダーな方なので、見るのは人生初かもしれません。


「でも現実離れしてるって言うなら、一番は楓だと思うけど?」

「まあそれはそうだけど」

「艶々で枝毛一つない黒髪、ぷにぷにすべすべなお肌。どっちも欲しくても手に入らない」

「えっ、皆さんお顔こわいです......きゃぁぁぁぁっ!!」


 お風呂場にいた女子全員から、お肌をぷにぷにされちゃいました。はぅぅ、お嫁に行けません。


「本当楓たんのお肌は羨ましいよね。肌年齢いくつなのかな?」

「いくらなんでも年相応か、少し下じゃない?」

「これで見た目の方に近かったら、完全にフィクションですって」

「はぅぅ」


 実は調べていただいたことはあるのですが、見事に見た目通りでした。思い出して悲しくなってきました。


「その反応、お肌もお子様だったのね。可哀想になってきたからみんなで洗ってあげない?」

「そうだね。あたしは髪洗いたい! 枝毛がなくなりますように」

「じゃあ私は体を。お肌すべすべになりますように」

「ダイエットが成功しますように」


 わたしは何一つ出来ないまま、皆さんに体を洗われちゃいました。拝みながら触れるのはやめてください、特に御利益なんてありませんから!


(はぅぅ、綺麗にされるのは嬉しいですけど、恥ずかしいです)


 少しぬるめの、わたしにはちょうどいい温度の湯船に浸かるわたしでしたが、意外と深く溺れそうになったため芹さんのお膝に乗せて貰うことになりました。はぅぅ、お胸が背中に当たって柔らかいです。


「楓たんの抱き心地はどう?」

「ほどよく温かくて柔らかいから、かなりいいわよ。試してみる?」

「ありがとう。楓たん、こっちに来て」


 牡丹さんのお膝に移りましたが、座った感触が芹さんよりも柔らかいです!


「芹さんはアスリート寄りだから、座り心地は私の方が上」

「次はあたしだよ」

「じゃあその次座って♪」


 皆さんのお膝に一通り乗せられたあと、どなたか一人を選ぶことになりましたが、わたしは川平さんを選びました。小柄でちょっと体温が低い方でしたので、温める目的です。


「楓たん温かい。調子よくなかったけどなんか元気になれそう」

「ありがとうございます」

「体調不良なら仕方ない」


 充分暖まったところで、全員でお風呂から上がりました。ただその、当たり前のように体を拭かれ体操服を着せられましたけど。あのっ、一人で拭けますし着替えられますから!


「はぅぅ、わたし子供じゃないですのに」

「これで打ち解けられると思えば安いものって思って諦めなさい。正直アタシも着替えさせたいもの」

「あの、芹さんもですか?」

「悪いかしら?」


 一番のお友達にまで着せ替えたいと言われた以上、観念するしかありません。


「その、今度から体育の時間、お着替えお任せしてもいいですか?」

「いいの?」

「やりたいとおっしゃるのでしたら」


 わたしへのお着替えをきっかけに、クラスの女子の結束がさらに高まることになるのでした。お部屋に戻って就寝時間までは、好きな人の話題になりましたが、いつの間にか恋人のいる方々から、同棲する際の注意点へと話が変わりました。


「そう言われましても、家事を分担したりお互いの時間を作ったりは最初からしていましたし、そもそもお部屋違いますから意外と一緒にいませんから......参考にならなくてすみません」

「充分参考になるわよ。ねえ?」

「同棲し始めたカップルが破局する理由が、聞いててなんとなくわかるわ」

「いきなり一緒の部屋に住むと、これまでは見えてなかった部分が急に目立って来るから、別々の部屋で住んだ方が長続きするってやつだね」

「へー、そうなんだ。つまり楓たんと彩姫は長く続くと。よかったね、楓たん♪」


 最終的に全員からわたしとあやくんの仲を祝福されました。その、ありがたいですけど、いわゆる恋バナってこういうのじゃないですよね?

お読みいただきありがとうございます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] あらまぁ、せくしー回ですか。読んでて照れました。 楓ちゃん完全に着せ替えお人形さんになってますね(笑) そして、楓ちゃんがうらやm… 失礼しました汗
2020/09/22 01:11 退会済み
管理
[一言] かえちゃん、俺も抱っこしたいわぁ あっ、お風呂じゃなくていいからっ!(笑)
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ