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067:入江の砂浜2

 貝をたくさん拾ったら遊んで良いと言われた子供達だったが、私が【合成】で作った木製の入れ物に続々と貝が積み上げられていった。


「もう十分じゃないかな?」


 私の言葉に幼い子供達の間から「え~! もっと、やりたい~」と、不満の声が噴出した。浅瀬の海での貝拾いは幼い子供達に妙に好評な様子だった。


「あっちも夢中みたいだし……」


 別の場所ではエルフや獣人族の女性達による海藻の収穫作業が、ロゼの助言の元に行われている。


 何故それほど大量に行われているかと言うと、私が海水から【分解】と【合成】を駆使して大量の塩を提供した事がきっかけだった。


「木で干場を組んでる……本格的に干し海藻を作るつもりみたい……」


 ロゼが大鍋を持ち出してきて海藻を塩茹でし、天日干しする事を提案して女性陣がそれに賛同した事で作業分担が行われいる。


 サリーナさんを筆頭に多数の女性達が参加していて、エミリやリナ、そして、エリスやロゼといった年齢の近いもの達も寄り集まって一緒に作業を行っている。年齢が近いので随分仲良くなったようだ。


 私が屋根とそれを支える柱だけの建物を設置した事で、日差しが上手く遮られる作業場として機能していた。とても好評なようで、お喋りを交えながら皆がとても愉しげに作業を行っている。


「おい! 坊主! こっちに小魚の群れが凄い数だ投げ網を頼むぜ!」


(あっちではロウが小魚の群れに網を投げてるね……)


 やって来たガルフ達にケン達が池で捕まえた魚を、私が【合成】で塩焼きにして振る舞ってみたところ、獣人族もエルフ達も魚の味に目覚めてしまったらしい。


「肉よりも、エルフにはこのアッサリした塩加減の魚の味がとても新鮮で合っているように思う」


 サザン族長まで重々しい表情でそう言い出した。だが獣人族達も熱心に海の魚捕まえようとしているので、皆が新しい味覚に新鮮な喜びを感じているのは間違いなさそうである。


 私の役割は皆がやり過ぎないように制御するストッパー役に徹する必要がありそうだった。


◻ ◼ ◻


 夕方になって作業は一段落して落ち着いたので、精霊樹の村の調理場で、ある程度の調理を行い、砂浜で貝や魚の塩焼きを行った。


「海鮮スープ出来上がりましたよ~」


 ロゼがエリスと共に大鍋を石門を通って運んできた。精霊樹の森で採取された調味料や根野菜と海藻を用いたスープだ。精霊樹の村の食生活も海の幸のお陰で一気に幅が広がったように思う。


「これおいしいね!」「いろいろ、はいってるよ!」ナンとミンが鼻と耳をピクピクと動かしながら声をあげた。


 他の孤児院の子供達もすっかり精霊樹の村に馴染んでいる様子だ。エルフや獣人族の子供達だけでなく大人達とも交流している姿がそこかしこで見られた。


 特に老人や老婆達が子供達を可愛がってくれているようだった。エルフは長寿の為、年齢が分かりにくいが、獣人族は人間よりも寿命が少し長いくらいらしいので老いた者の区別がつきやすい。


(寄宿学校に家族のいないエルフや獣人族に住んで貰うのも良いかもしれない……積極的に運営に関わらないとしても、大人の目が多いに越したことはないはず)


 家族がいない事情は様々だろうが、子供達との交流は良い慰めになるだろうし、年長者がエミリしかいない孤児院の現状は問題だった。


「ビスタさん、皆とても幸せそうです。精霊樹の村の方々は私達にとても親切にしてくださいますし……何よりここはとても活気があります。本当にありがとうございます……」


 近寄ってきたエミリが私にお礼を言ってきた。砂浜には精霊樹の村の住人が全て集まっている。さほど広い砂浜ではないので、この人数でも集まるとかなり賑やかに感じるのだ。


「私は連れて来ただけだから……それよりも相談だけど、寄宿学校に精霊樹の村人に幾人かでも住んで貰おうかと思っているんだけど?」


 私はさっき考えていた案をエミリに説明した。


「実は、サリーナさんからも、似た話をされました。私としてはとても助かるお話しなのでビスタさんに相談してから返事しますと答えたんです」


 どうやらサリーナが、気を回してくれていたようだった。


「それなら、サリーナに人選を任せた方が良さそうね」


 サリーナが関わってくれるなら、少なくとも女性陣は孤児院の子供達を積極的に受け入れてくれるだろうと安心した。私の言葉を聞いたエミリは、早速、サリーナの元に相談に向かった。


 そして交代のように私の元に寄ってきた者達がいた。ガルフとサザン族長だった。


「ビスタ、この海辺の恵みのお陰で、俺達の生活の基盤はある程度の目処が立ったと思う……だからそろそろ考えなければならない」


 ガルフにしては珍しく真剣表情だった。次いで言葉を発したのはサザン族長だった。


「この場所がどのような状態でここにあるのか、我々には理解できない……もしかしたら悪意ある者達……所謂、魔族どももここには手を出せないのかもしれない……」


 サザン族長の言いたいことは私にも予想はついた。だが私は黙って耳を傾けたのだった。


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<自由都市のダンジョン探索者 ~精霊集めてダンジョン攻略~>

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