「いつ見ても青信号」
~あらすじ~
高校1年生の仲良し4人組・賀茂、岡森、杉本、春山の男女4人は、試験期間中の午後の教室に残って勉強会を開いていた。途中、飲み物を買いに外へ出た賀茂は、すれ違った上級生2人組のある発言に疑問を覚える。
それは、
「いつ見ても青信号なんだ。だから、待つ羽目になる」
という不可思議なものだった。賀茂たちはこの発言の意味を考えるが、事態は思わぬ方向へ転がっていく――。
という、『九マイルは遠すぎる』を意識した作品になっています。私が初めて読者企画を試みた話でもありました。推理小説によくある、【読者への挑戦状】を付けたりして。
時系列的には、私のダークサイドが炸裂した前話の、少し前のお話。明るめの話を書きたくて、少し過去に遡った形です。
実はあの話、友人から聞いた話が元になっています。ここではR君としておきましょう。
R君の趣味はランニングで、家に帰った後、夜の街を走るのが好きだそうです。ご飯を食べた後、9時ごろに走りに行くのだそうな。
R君は作中の志野原同様、不思議な体験をします。それが、いつ見ても青信号。橋上駅から出た時に見える信号が、いつも青なのです。その子は不思議に思っていました。
「いつ見ても~」とは違い、家を出る時間は一定ではなかったそうです。それなのに、どう考えても青信号を見る回数が多い。そこで彼はある実験をしたそうです。
その交差点で、信号の周期を測ることにしたのです。つまり、腕時計に付いたストップウォッチ機能で、信号が赤になる時間の長さ、青になる時間の長さ、そして歩行者用信号が青になる時間の長さを計測しました。
結果は、車が通る時間の合計よりも、歩行者がわたる時間の方が多かったそうです。だから、ふと見た時に青信号である確率が高かった。単純な確率の問題で。
事実なんてこんなもんですね。これじゃあミステリにはならんかなー、とその時は思って代わりに違う解決を考えたわけですが、今思えば、R君の行動は十分怪しいかも。
夜の交差点、信号が青になっても渡らず、じっと腕時計を見ている男……。
さて――皆さんなら、どんな解決を考えますか?




