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作者: アーク

ミリタリー多めです。

間者

帽子屋

ハンス


分かりにくい内容ですのでかみ砕いてからお読みください。









帽子屋「この銃は、洗練されたボディに似つかわしくない、人ならざる何かのための発射機構が構築されている。が、発砲すればとても気持ちいいのだろうと私の体が訴えている。これは、欲しい、あぁ、欲しい。」


ハンス「・・・ほぅ、その銃を気に入ったかね?物珍しいのは当然だ。その銃は私が製作したのだ、ゆえに世界に二つとない銃だよ。」


帽子屋「・・・赤の前掛けに長めの茶髪、化け物じみた銃を扱うために発達した上腕筋と鍛え抜かれた手の甲の腱。そして特徴的な右瞼から右頬にわたり、顎にまで届きそうな刀傷。・・・やはり。」


ハンス「それで?真夜中にこんな片田舎のガンショップを訪れるとは、唯のガンマニアでも無かろうに。さて、どんな化け物をご所望かな?」


帽子屋「いえいえ、本日は私としても不本意なのですが、ビジネスの話でございます。ご紹介遅れたことをお詫び申し上げます。私は、神聖ローマ同盟共和国国防軍機械装甲課取締役アルバルト・ダンテス。他の者からは『帽子屋』と呼ばれております。」


ハンス「ほぅ、で?その帽子屋とやらは私に何の用があるというのかね?私は見ての通り趣味で銃を弄っている唯の老いぼれだ。さては、こんな私にまた戦地に立てと?」


帽子屋「まさか。そんなことはございませんよ。寧ろ戦地に赴き、死なれるのが困るのです。あなたに、あなたにしか出来ないことを頼みに来たのです。」


ハンス「そうか、私にしか出来ないことか。要は、化け物を倒す(ばけもの)を作れと?」


帽子屋「ええ、僭越ながらその通りでございます。是非とも貴方の製作した、『対戦略的災害級怪物専用銃パーシュパタ』を我が軍に標準装備として配備したいのです。」


ハンス「()字軍(けもの)、か?それは私も知っている。しかしだ、それと銃の販売は別問題だ。まだ誠意が足りてない。まだ欲が足りていない。まだ渇望が足りていない。まるで足りていない。この銃はそんな奴に譲ることなどできやしないな。」


帽子屋「・・・我ら神聖ローマ同盟は端的に言うなれば、レジスタンスのようなものなのです。雑多な銃火器しかなく、捧げるものは我らの血肉しかありません。しかし、そんな我らにロンギヌスの如き銃をお見せになられたあなたに初めて、ローマ以外にも捧げたいと思ったのです。これは、神聖ローマ同盟共和国国防軍の創意でもあるのです。どうか、我らに神を、いや、()字軍(けもの)を殺害する得物をお与えください。」


ハンス「ハハハ・・・そうか、ロンギヌスか。お前らにはそう見えるのか。私は以前、ロンギヌスを一度だけこの目にしたことがあるが、あれは凄まじかった、美しかった、何より欲しくなってしまった。あれほどの武具を所有することがどんなに気持ちいいことか、と。体が震えた。しかし、私は作ることが出来たのか。いや、出来てしまったのか。お前たちにとってのロンギヌスを。・・・いいだろう。帽子屋と言ったか。」


帽子屋「左様でございます。」


ハンス「私の製作した『戦略的災害級怪物専用銃パーシュパタ』はまだ量産が可能なレベルの銃だ。一個師団分のパーシュパタならば半年もかからず配備できるだろう。」


帽子屋「それは、了承と捉えてもよろしいので?」


ハンス「まぁ、待て。帽子屋、同盟の兵力は?」


帽子屋「三個師団分かと」


ハンス「兵装は?」


帽子屋「純銀製マケドニウム弾核に法儀式済み水銀弾頭を用いたFMJ弾をカービン銃、突撃銃、機関銃を中心に装弾させております。」


ハンス「領地は?」


帽子屋「元イタリア、ローマを中心にオーストリア、チェコ、ポーランドを軍事国境とし、エルサレム、元ロシア、現バチカン皇国と同盟を結んでおります。」


ハンス「そうか、ならば私がパーシュパタの量産に手を付ける条件は・・・そこにいる不届きものを始末することだな!!っち!外したか!」


間者「よく気付いたな。鍛冶屋よ。」


ハンス「ふはは、二発目は食らってくれよ!っ!?ジャムったか、帽子屋!こいつをデコッキングしてリロードしておけ!・・・久方ぶりに回転式(リボル)拳銃(バー)を触ることになるとはな。」


帽子屋「了解しました!こいつはかつて米国において近中距離銃撃戦闘を予想して作られたショットガンに属するものか。・・・っく、ショットシェルが融解してるのか。」


間者「騎士団長の命により鍛冶屋、貴様の首を頂戴する。」


ハンス「こいつは素敵なご案内だな。騎士団長命令での暗殺依頼とは、こちらも驚いたよ。そちらの騎士団長はあれか?『蘇った悪魔』によって選抜された正統なる騎士というやつか?そんな奴が暗殺者を寄越すとは道理には反しているが、理にかなった行動だ。だが、短刀では銃には勝てんぞ暗殺者!」


間者「確かに貴公のおっしゃる通り。故に、これ以上言葉は要らぬ。」


帽子屋「シェルの融解は次弾を装填することで擦り剥がし、デコッキングの回数は増えるがリロードを多少無理でも行う!!そして撃つ!」


ハンス「そうか、だがどうするんだ?暗殺における必須とも言うべき隠密行動がとれていないのは事実。さらに、この距離において、いくら暗殺者でも銃弾を躱すのは不可能だ!」


間者「しかしそれは、失策だったぞ?」


帽子屋「んなっ!?銃口に短刀を貫通させたのか!」


ハンス「っぐ!シリンダーを握り込むとはな!」


間者「影に紛れるだけが暗殺ではないのだ。では、頂く。」


帽子屋「敵の懐を確認しないのは感心しませんね?暗殺者。」


間者「当たらん。っ!?これは・・・毒か。」


ハンス「よくやったぞ帽子屋、それでこそだ。さて、暗殺者よ。お前は見るからに麻痺毒にかかっているだろうな。言葉が紡げないだろう?そこで取引だ。ここで貴様が知りうることを語るのであれば生かすことは可能だ。だが、拒否するのならば、魂は刈り取られる。どうかね?」


間者「かt・・・(首を振る)」


ハンス「そうか、やれ。」


帽子屋「御意。」


ハンス「・・・ふっ、見事だ。一切の躊躇いを見せず、切り捨てなければならないと判断されたものを容赦なく、悉く殲滅するその意識、行動、素晴らしいな。帽子屋。」


帽子屋「感謝の極み。」


ハンス「こいつの使っていた短刀からするに、やはり十字軍、か。」


帽子屋「ええ、そうですね。『第十一次遠征十字軍』が関係していますね。こいつの言っていた騎士団長とやらはそうなのでしょう。」


ハンス「そうか、『蘇った悪魔』もそういうことか・・・。」


帽子屋「ええ。ゆえにパーシュパタが必要なのです。」


ハンス「そう、だな。」


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