5話
ガチャッ
隣の個室が開く音がする。
よかった…。こっちまで来なかった…。
(こっちまでこなくてよかったね、テルにい)
え?なんで俺の心の声がわかったの!?
てか、リン喋ってないのにどうして声が聞こえるんだ!?
(それは私の能力でテレパ神に憑依してもらったから)
てれぱしんって…。
もはや何でもありかよ…。
(日本には八百万の神がいるっていうからね。)
まさか、八百万全部呼び出せるのかよ。
テレパ神とか絶対八百万の神の中で超マイナーな方だろ…。
「これが女子トイレの中かああぁぁぁぁ!」
「一度入ってみたかったんだよなあああぁ!」
隣からすごいでかい男の声が聞こえてきた。
いやいや、何女子トイレに平然と入ってんだよ!
てか、ここ女子トイレだったんかよ!!
(当たり前じゃん、私、女の子なんだから男子トイレにワープするわけないじゃん)
まー、ですよね
男子トイレにワープする方がおかしいですよね
「ちょっと、そんな変な行動やめてよ…。誰かに見られたら恥ずかしいよ…。」
気弱そうな声が聞こえる
恐らくこの変な奴のパートナーだろう
「うるせ、うるせ、お前は見張りさえしとけばいいんだよ!」
「んんんんーーー、いい匂い!」
「なんで僕こんな変な人のパートナーになっちゃったんだろ…」
「なんか言ったか?」
「いや、何でもないです」
横にいるのはどうやら変態らしい。
パートナーも不遇だな。
こんな変な奴のパートナーになってしまって
(テルにい、どうする?まだこっちに気づいてなさそうだし奇襲かける?)
いやいや、だから俺は殺すのなんて嫌なんだって。
(じゃ、手を組むの?)
ぶっちゃけ、あいつとは手を組みたくない。
ただ、誰も殺さずにこの場を切り抜けるには手を組むしかないしな…
でも、あいつ超変態そうだしなー…
同じ考えをグルグル俺の中で考えた挙句一つの結論に辿り着いた。
よし、さっきみたいに空間神使って逃げよう!
(ごめん、それはムリかな…。)
(一度使った神は誰かの心臓を食べるまで使えないんだ…)
なんだよ、それ
殺さないと逃げれないって本末転倒じゃねぇか
あ、でも八百万の神がいるんだから他に逃げるのに特化した神いるだろ?
(私まだ9才なんだよっ!八百万も神覚えてるわけないじゃんっ!逃げる為の神は1人しか覚えてないっ!!)
痛い痛い!頬をつねるのやめてくれっ!!
なにが9歳だよ!全然、9歳の力じゃないだろ!
さて、行き詰まった…
どうするか…
(やっぱり殺すしかないんじゃないかな?)
くそ、もうそれしか道はないか…
その時だった。
女子トイレの電気が突如落ちた。
え?リンがやったのか?
(いや、私じゃない)
(一体、誰が何のために?)
すごい緊張感が漂う。
だがそんな中相変わらず隣の男は欲情していた。
「うほおおおぉぉぉぉっ!!」
「電気が落ちたんだよ。敵が近くにいるかもしれないから少しは警戒しようよっ!」
「うるせぇ!黙ってろ!チビ!!」
「はぁ、もうホントにやだ…」
本当に隣にいるパートナーかわいそうだな…。