11話
「バッコルさん!!!」
「バッコルっ!」
「バッコル!」
3人は思わず叫んだ。
「大丈夫です。こんなの痛くもありません。」
しかし、セリフとは裏腹にかなり痛そうだった。
バッコルさんは短剣を抜こうとするが抜けない。
俺と一緒だ。おそらく、不思議な力でくっついて離れないのだろう。
「リン!俺の守りはいいから、バッコルさんを治すための神を出せっ!」
「御心配には及びません。」
バッコルさんの体が一瞬発光したかと思うと、短剣は消えていた。
いや、短剣は電気に変わったっていう表現が正しいか。
「あれ、おかしいですね。電気が私めの傷口から一切離れない」
確かにバッコルさんの傷口には、微かながら空気の震えが見える。
恐らく、体に害のない電気に変換したのだろう。
それに当たっていてもバッコルさんは少しも痛くなさそうだった。
「多分だけど、あの女の人の能力は何かと何かをくっつける能力ですね。」
「そして、する意味もないのに、いまだに解除しないということは、解除する方法はないんだと思います。」
なんだと!?
じゃ、俺はこのお題全てをクリアーしなければならいのかよ。
俺は諦めて箱から手を抜く。
複数枚の紙がくっ付いて出てくる。
「見事、見破ったな。」
「だが、見破ったとて勝てるわけではあるまい。」
確かにそうだ。
バッコルさんは戦えないだろうし、俺とリンと椿でこいつをボコるしかない。
「勝てなくても、やるっきゃねぇだろ!」
「リン、とりあえずバッコルさんの治療を頼む。」
「そうしたいのは山々なんだけど…」
「ケンと戦った時、照にいに傷を治す類の神は使っちゃったから使えないんだ…」
そうか、あの時俺が生きてたのはリンの神憑依のおかげだったのか。
いや、確かリンは誰かの心臓を食べたらもう一度同じ神を使えるんだっけ?
要は、早くあいつを倒して心臓を手に入れたらいいんだ。
「わかった、仕方ない。じゃ、俺の加護をしてくれ。」
「わかったよっ!照にい!」
「能力発動!風神憑依!」
俺の体が軽くなったのが感じる。
「この神は動きを早くする神。出来るだけ早く勝負を終わらせて、バッコルの治療するよ!」
「わかった、リン、ありがとう」
「動きが早くなったって無駄よ。くっつけ「そうはさせないですよ。」
椿が言葉を遮り、メリー向かって小銭を投げる。
それは途端に電気に変換され、メリーの心臓部を射抜く。
「うっ、くっ…つ…」
しかし、電力を更に上げたのだろう。
喋る間もなくメリーは黒焦げになった。
「くっ、メリー…。」
これで一気に形勢逆転だ。
俺は一の首元を掴むために間合いを詰めようと近づいた。
その時だった。
突如、俺は後ろにものすごい力で引っ張られた。