10話
「さて、それじゃ早いとこ引こうか。誰か来たら厄介だ。」
「はい、そうですね。」
俺は、箱の中に手を入れた。
紙が何枚か入ってる感じが伝わる。
おそらく人数分の15枚と言ったとこだろうか。
俺が1枚、紙きれを取った時だった。
まるで魔法のように、俺の手に紙きれ全てがくっついた。
「ククク、哀れだな。」
黒いシルクハットを被って黒いローブを着た男がレジの下から体をだした。
どうやら、隠れていたらしい。
「さっすが、一さん!かっこいい!」
男の横からバニーガールの女の人が出てきた。
「これでお前は、この箱から手を出す事が出来まい。」
「箱から手を出した瞬間、数多の災難が降りかかることになるからな。」
「チェックメイトだ!」
「そうはさせません!」
「そうです。私の主の仲間には指一本触れさせませんよ。」
「そうだ!そうだ!私たちが代わりに相手するよっ!」
「み、みんな…」
「本当にありがとう…」
「ふん、3対2でも全然余裕だな。」
「ハンデにもならん。」
「そうですよ、私たちのペアは最強なんですから!」
「先手を取らせてもらうぞ。」
一は短剣を懐から取り出し、俺目掛けて投げた。
やばい!
だが、俺は咄嗟のことで何もできない…
「能力発動!包み神憑依っ!」
俺の周りに何やら白いモヤのようなものが包み込む。
そして、短剣はそのモヤに触れた途端、その場で静止をした。
「包み神は、特定のものに近づけさせない能力だよっ!」
「これで照にいを気にせず戦えるよ。」
いやいや、だからそんな神絶対いないだろ…。
「リンちゃん、ありがとう!」
「バッコルさん、電気をお願いします。」
椿はポケットに手を入れ、たくさんの小銭を一に向かって投げつけた。
「承知しました。お嬢様。」
そして、その小銭は全て電気に変換され一の元へと飛んで行った。
が、次の瞬間全て別方向へ電気は飛んで行った。
「メリー、恩にきるぞ。」
「主を助けるのは当たり前よ。一々感謝なんていらないわ」
どうやら、メリーの能力のせいらしい。
あいつの能力は一体なんなんだ!?
「どうする?能力分からないしうかつに手出せないよ」
リンがバッコルさんに尋ねる。
「リン様の言うとおりで御座いますね。このままではジリ貧。勝ち目がまるで見えませぬな。」
「ふん、もう手詰まりか。では、こちらから行くぞ。」
また、短剣を取り出す。
それを今度はバッコルさん目掛けて投げる。
「私めにそのような攻撃当たりません。」
バッコルさんが横に逸れて短剣を避ける。
が、避けれなかった。
短剣が避けたバッコルさんの元へ、目掛けてカーブしたのだ。
グサッ
短剣はバッコルさんの心臓部に突き刺さった。