44/51
五
ニギは家でごろごろと本を読んでいた。
やることがない。やるべきことが見つからない。まあ、前ほど切実じゃあないけど。
掃除、やった。洗濯、やった。料理、だいたいやって、コノハが帰ってくるくらいで揚げ物をやれば良い。
うーん……。ごろんと横になる。
ぼく、ちゃんとコノハの役に立ってるかなぁ……。
「……ニギ、ニギ」
ゆさゆさと揺さぶられてニギは目を醒ました。
夕の日差しに照らされるコノハの顔がそこにはあった。紫の髪は、影の部分の紫を一層濃くしていた。
「……!」
既にコノハは仕事から帰ってきていた。
「ごめん、寝ちゃってて……」
コノハが帰ってくる前にやろうと思っていたのに……。ニギは申し訳なさそうに、というか悔しそうに俯く。
「すぐ夕飯の支度するから。……ごめん」
「いやいや、何を言っている。やってくれるだけでも助かっているのに」
「でも……」
「いいんだ、本当に。本当なら……お前はちゃんと学校へ行って……」
「いいんだ」ニギは首を横に振った。「ぼくはコノハの役に立ちたい。コノハの負担になるようなことしたくない」
「ニギ……」
ふたり俯く、静かな夕暮れ。




