一
にっこりと笑う、眼鏡とそばかすが印象に残る女が、壇上を、音楽もないのに所狭しと舞っていた。自分の片腕を切り落として、詰まった綿を取り出して、捨てた。
「〝死にたい〟と〝生きたくない〟とでは、意味がまったく違う、などと物分かりが良いような言葉を吐いたところで、誰も救うことはできません。金を吐き出すつもりがないのなら、どうか、その唇を結い合わせて下さいな」
女は腹を掻き切って、綿を取り出す。
「ひとは、楽な方楽な方へと向かって参ります。当たり前でございます。金持ちとて同じでございます。金を出すより口を出しがちでございます。それが、己の首を絞めるだけだとも知らずに」
女は足を切り落として、綿を取り出す。両足がなくなったのに、それでも舞い続ける。
「みんな、あなたに興味はございません。あなたの懐に興味があるのです。それならば、あなたとは何でしょうか。お金も、あなたの一部となり得るのでしょうか? いえ、しかしながら銭に名前は書いておりません。描かれているのは、額面と、意味の無い、興味も無い肖像画だけ」
女は首を斬り落として、中から綿を取り出す。
「紙幣など、ただの紙切れ。ならば、何処にあなたが存在しうるか? すなわち、お金の使い方でございます。お金の使い方に、あなたが宿るのでございます。……さて、詰まらない話など終えましょう。どうせ、長々話したところであなたの財布の紐は相変わらず固いままなのですから」
頭を真っ二つに斬って、ぐりぐりと綿を取り出した。
「さて、物語もようやく終盤。ここまでお付き合い頂き、ありがとうございました。まだ、読む気なのでしょうか? もっと時間の使い方があるのでは? しかしそれも良いでしょう。好きになさい。あなたは、自由なのですから」
綿が真っ赤に染まると、女もとうとう動かなくなった。




