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宵の文目  作者: けら をばな
第二話 「よかったら、わたしと居てくれないか?」
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二十七

 何処へ行こう。

 ニギはとある公園の片隅にひとり座っていた。コノハと行った本屋のすぐ近くにあった。行く宛てがなくて、結局ここに来てしまった。前にコノハに買って貰った本を抱えて、しんしんと降り積もる雪の下、俯いて膝を抱えていた。

 何処にだって行けるのに、何処にも行けない。それは矛盾でも何でもない、むしろ何も持たない彼にとってはごく自然なことだった。

 どうすればいいのだろう。

 彼は、生きたいと思った。いや、違う。生きたいと思う自分をようやく自覚できた。

 ぼくは、ずっと生きたいと思っていた。それが分かった。それなのに、今、こうして生きるすべを失って途方に暮れている。どうすればいいのだろう。やるべきことが見つからない。

「見つけた」

 声に驚く。一番聞きたかった声だから。貌を上げて姿を認めて更に驚く。コノハは全身傷だらけで、着物も血でべったりと彩られている。

「え、ちょ、ちょっと、え? え!」

 ニギは立ち上がってあたふた。

「なに、何やってんのあんた!」

「それはこっちの台詞……でもないか。お前の台詞で合ってる」

「いや、いやいや、ひとが折角助けたのに、何、一日も経たないうちに死にかけてんのさ!」

「うーん、三対一だぞ? 手加減してくれたっていいのに、あいつら言葉を額面通りに捉えやがって」

「いや、おいコノハ! お前ちょっと、――」

 コノハはニギの言葉を遮って、彼のからだを抱き締めた。

「……わたしも、あそこを追放された。《四高翁(しこうおう)》のうち三人を八つ当たりで半殺しにしたからな。当然の結果だ」


ダン「(全身包帯まみれで)手加減しろよ、あの野郎め」

ルミネ「(綿が飛び出す自分の頭をちくちくと針で繕いながら)いやー、流石コノハさんですねー。三人とも死んだっておかしくなかったですー」

ルク「(ベッドに突っ伏して)ぷしゅー……。ほんと、もーやだ」

ランダ「……この会で最強の三人なんだよな?」

サクラ「うん、やっぱりアイツおかしいわ」


「……行く宛てもない。身寄りもない。お前と一緒だ。わたしひとりで生きていけるか、不安しかない。だから……こんなわたしのために、よかったら、一緒に居てくれないか?」

 コノハは耳許で優しく囁いた。

「……うん」

 ニギは、ギュッとコノハを抱き締め返した。


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