表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
宵の文目  作者: けら をばな
第二話 「よかったら、わたしと居てくれないか?」
36/51

二十四

 ニギはルベロスから降りてコノハへ駆け寄った。

「衰弱しているにおいは感じ取っていたが、まさかこれほどまでとは……」

 ルベロスは沈痛な表情で血だらけのコノハから顔を背ける。ニギはコノハを抱き抱える。全身に刃を突き立てられて、顔は蒼く、隈は濃く、今にも消え去ってしまいそうだ。

「お前……どうして……」

「どうしても何もない! 喋るな馬鹿コノハ!」

「駄目だ……逃げろ……こいつらは普通じゃない……」

 辺りに散らばったバラバラの四肢と胴は、かたかたと震えて、元の姿へと戻ろうとしている。

 成る程、普通じゃなさそうだ。

 しかし、逃げると言う選択肢は彼の中にはない。逃げ切ったところで、助けは間に合いそうにない。このままじゃコノハは死ぬ。

 そう。それならば、死ぬ前に……為し遂げる!

「フヨウ……聞きたいことがある。コノハは何のためにここへ来た?」ニギは聞いた。

「おい、そんなことを言っている場合じゃ」というルベロスを遮って、

「ここで秘宝が祀られているとの情報を得た。その情報が本当かを確かめること、並びに《秘宝》が存在するならばそれを譲ってもらえるように頼み込むこと。それがコノハさんに与えられた使命」と、フヨウは何かを察したように答えた。

「そうか」ニギは頷いて立ち上がった。「ぼくが不在でも、フヨウ、君とルベロスとで、コノハを守れる?」

「やる。守って見せる」フヨウはいつも通りの眠たげな瞳で、力強く頷いた。

「……そっか。信じる」

「お前、まさか……」コノハも何かを察した。

「宣言する。今からすることは、あくまでぼくの独断専行だ。コノハもフヨウもルベロスも、関知しない」

 ニギはひとりと一匹と虫の息に背を向けた。

「駄目だ……そんなこと言ったら、あそこに居られなくなる……そしたら……」

「黙ってろ! 半人前の癖に偉そうなことばっかり並べやがって!」

 ニギは背を向けたまま叫んだ。その肩は震えていた。

「ニギ……」返す言葉がない。

「……コノハ、あんたは言ったはずだ。わたしが生きているうちは人殺しは許さない、と。ぼくに人殺しをさせたくなかったら、生きろ」

 辺りの肉片が大方、元のとおりに戻りつつある。フヨウはそれを眺め考えた。

「……ニギ。ちょっと待って。ぼくと、それからルクの能力のこと、少し話したい」

「……お願い」

 一刻を争う事態だが、フヨウもそれは分かっている筈で、だからこそそれが必要なことだとニギは理解した。

「うん。こいつらとやり合うために、きっと必要なこと」

 フヨウは、ほんの一瞬だけコノハとこの正体不明の不気味なものたちの戦闘を見ることができた。確実とは言えないまでも、己らの能力と比較し仮説を立てた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ