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二十
「ニギ!」
バイクに跨がったフヨウが爆音とともにやって来て、珍しく声高にニギを呼んだ。ニギは眉を顰める。
「どうしたんだ、急に居なくなったと思ったら急に現れ――」
「ニギ、コノハさんが危ない」
ニギは目を見開いて一もなく二もなくフヨウの後ろに跳び乗った。予期していたかのように、バイクはニギが座ったと同時に走り出した。
「アイツ、最近見ないと思ったら……コノハはどこへ行ったって?」
「《ビスビニア大森林》へ」
「本で読んだことがある。ざっくり言うと、危険なところだ」
「戦闘員は、コノハひとりだって」
「馬鹿じゃないのかアイツ!」
「もっとも、今回は単なる交渉で赴いたに過ぎないし、そういう場合相手に警戒心を与えないために、武力を最低限とすることは理にかなっている。もっとも今回その判断は馬鹿としか言いようがないけど」
「説教ばっかりして来たくせにアイツ! 移動手段は?」
「《ムニラ湖》って知ってる?」
「うん。《ビスビニア大森林》の丁度真ん中に位置する、滅茶苦茶大きい人口の湖だ」
「よく知ってるね。感心感心。そこへ水上機で着水予定」
「……間に合うの? ねえ、超音速機は使えないの?」
「使えるけど……そんなの降り立てるところ無いよ?」
「……ぼくに考えがある」




