二
真っ暗闇な舞台。
不意にその中心にスポットライトが灯される。そこに立つのは一人の青年。髪は特徴的な紫で、小馬鹿にするような笑みを浮かべてこちらを見つめている。
おもむろに両手と口を開く。そこから流れ出してくる所作と言の葉は、あまりに芝居がかっていた。
「さてさてお立ち会い。退屈なショウの始まり始まり。手前の時間をドブに捨てる覚悟は出来たか? どっちにしたって話は始まっちまうけどな。手前の意思とは関係無しさ。まあそんなのいつものことさ。慣れっこ慣れっこ。
だろう? 世界はいつだってオレたちの意思も事情も汲んじゃくれねえ。
さて、前口上は舞台の説明だと相場が決まっている。このオハナシだって変わりゃしねえ。
はは、まァ既に始まっちゃ居るが。
この舞台、時は、いつだか分からない。時代なんぞ関係ない。先ず手前らの生きる世界とはまったく世界だと思ってくれりゃ間違いは無い。
いろんな種族がこの世界にゃ住んでいるが、それなりに頭のできる奴を大まかに別けたら三ツになる。ヒト族、妖魔、神。オハナシが進んでいきゃあ分かってくるだろうな。まあ分からねえままかも知れねえが、問題はねえさ。
ああ、科学技術はそれなりに進んでいる。大空を力強く飛翔するドラゴンをミサイルで撃ち落としたり、野を駆ける白虎を銃で撃ち殺し毛皮にしてオークションにかけたり、器量の良い種族に催眠をかけて手前の奴隷にしたり。各地の馬鹿が相変わらず馬鹿やってるってだけは、手前らの世界と何ら変わりねえ。
どうだ分かり易くって良いだろう? 親切だろう? 褒めても良いんだぜ。手前なんざに褒められても一銭にもならねえけどな。
さ、飽きねえうちにさっさと話を始めちまおう。それが良い。その方が善い」
青年の体は何十倍にも膨れあがって、大口を開けて我々をまさに飲み込まんとした。
「干むる勿れ。ただ、享受せよ」
ばくり。暗転。




