恩人
激しい痛みが体を襲った。
男に襲われたルークとフランを助けた私は、銃声を聞いた敵たちが、部屋に入ってきて、私は肩を撃たれ負傷した。なんとか、私を撃った男は殺ったが、他にも敵はいるはずだ。
「うぅ・・・」
肩を撃たれた痛みのせいで、私は苦しみ悶え動けない。血が溢れ出てきて、脳裏に死を思い浮かべた。
「わ、私に任せて・・・」
フランはそう言って、ドアに向かって拳銃を構える。いつ敵が入ってきてもいいように。
しかし、彼女の手は過度な力が入り、小刻みに震えている。汗も酷くかいているような気もするし・・・。もしかして彼女は人を撃つのが怖いのだろうか。
肩の痛みが、だんだんなくなってきたと思ったら、今度は視界がぼやけ始める。
「飛鳥、大丈夫か!?」
ルークは、必死に血が出てる肩を手のひらで抑えて、止血しようとしといる。
痛みはなくなったが、目の前のルークが、ぼやけてよく見えないし、声を出す力もでなくなった。
それを最後に私は気を失ってしまった。
「っきた・・・!」
フランはそう呟くと、一発だけ発砲した。銃声が小さな空間で轟く。
しかし、銃弾は敵に中らなかった。
「・・・え?」
目を見開き、思わず声が出る。
そして、フランは直感した。私は撃ち殺される。と。
既に男は、フランに拳銃を向けていた。女だからってと加減はしないぞ、と言っているようなニヤッとした表情だった。
「・・・・・・!?」
フランは目を瞑むり、死を覚悟した。
一発の銃声と、男の断末魔はほぼ同時だった。
「大丈夫か?」
フランは目を開けると、目の前にいるのは、M16A3アサルトライフルを持つTシャツと長ズボンという軽装の男だった。
「もう大丈夫だ、ほかの奴は逃げていったからな」
「・・・。」
フランは少しの間、ぼーっとして動かない。奇跡的な出来事に放心状態になっているんだろう。
「彼女は大丈夫か?」
軽装の男は、気を失っている私に目を向けた。
「いえ、分かりません・・・さっき肩を撃たれて・・・」
ルークは応えた。
「血が溢れ出ているな。早く止血しないと危険だ」
男は応えると、トランシーバーのようなものを取り出し耳に当てた。
「ああー・・・。三人いる。一人は、肩を撃たれて気を失っている。放っておくと危険だ。ああ。頼んだ」
男は、トランシーバーのようなものをポケットにしまい、ルークたちに言った。
「安心しろ。お前たちは助かったんだ」
「助かった・・・?」
少し遅れて、フランは小さな声でつぶやいた。
「今から君たち三人を安全な場所まで送る。そんなに遠くないし、仲間もたくさんいる。負傷している子も、早く手当しないと手遅れになるかもしれないだろ?」
男はそう言うと、気を失い倒れている私を背負った。
「く、この子のバッグには何が入ってるんだ?重すぎるぞ・・・。」
「ああ、俺がバッグとボウガン持ちますよ」
ルークは、背負われている私から、ガンバッグをそっと取り外し、自分で背負う。
「早くしないと感染者が湧いてくる。既に声が聞こえてるがな。」
「急ぎましょう」
落ち着いたフランは、そう言って私を背負っている男の後ろをルークと一緒についていった。