第6章 激戦の闘技大会 ―中編―
エリナ「えぇぇぇぇぇぇ~!!!」
闘技場内は、全生徒が集まっており常に騒がしくはあるが
そんな騒がしさに負けないほどの大きな声があがる。
エリナ「何? イジメ?
私に何の恨みがあるのよぉぉぉ!!」
フィーネ達のところへ帰ってきたエリナだったが
亜梨沙の対戦の話を聞いた途端に、この状態である。
リピス「まあ、運が悪かったと思って諦めるんだな」
セリナ「・・・こればっかりは、どうしようもないです」
理由は、実に簡単だ。
亜梨沙の試合が、かなり良い勝負だったらしいのだが
自分は、控え室に居たために見逃したのだ。
しかも自身の対戦相手は、1階級の神族の女の子だった。
そんな子に真剣になれるわけもなく、ある程度様子見をしながら
優しく相手をしてあげただけなので、不完全燃焼である。
なので、せめて他人の名勝負を
1戦でも多く見れれば・・・と思っていた。
その出鼻が盛大に挫かれ、不機嫌さが増していた。
亜梨沙「・・・何があったんですか?」
ちょうど今、帰ってきた亜梨沙の目の前には
座り込んで地面に『の』の字を書く、神界第二王女の姿があった。
フィーネ「えっと・・・。
たぶん、気にしたら負けだと思うわよ」
亜梨沙「・・・なら見なかったことにします」
エリナ「ちょっとは、慰めてくれてもいいんじゃないかなっ!?」
そんなやり取りをしていると、周囲から盛大な歓声と共に
罵声が聞こえてくる。
魔族男生徒「さっさとくたばれ人族っ!!」
神族男生徒「めざわりなんだよっ!!」
そんな言葉にフィーネ達は、一斉に戦闘フィールドを見た。
第6章 激戦の闘技大会 ―中編―
和也「(相変わらずだなぁ)」
周囲の罵倒に思わず苦笑する。
まあいつも通りと言えばいつも通りではあるのだが
今回は、いつもより張り切った罵声が多い。
恐らく亜梨沙のせいだろう。
あいつが有名どころの1人を倒してしまったため
下手に罵倒出来なくなってしまった。
なら、もう1人の儀式兵装すらもっていない『落ちこぼれ』には
無様に負けて欲しいと考えているのだ。
そうすれば今まで通り『弱い人族』と罵倒出来るし万が一
襲ってこられても、そんな弱い人族なら
返り討ちにしてしまえばいい。
彼らからすれば俺は、あくまで見下せる相手であって欲しいのだ。
そもそも人族が戦争責任を押し付けられたのも
国内の不満を外に向けるためのものだった。
共通の敵を作ることによって自分達への敵意をそらす
間違いなく有効な手である。
まあその結果が今だ。
結局立場的に弱い人族は、それを受け入れるしかなかった。
だがそれを俺が今、受け入れる道理はない。
そんなことを考えていると対戦相手が歩いてきた。
?「・・・」
初めて見る顔の男の魔族だ。
恐らく1階級の生徒だろう。
彼の手には既に儀式兵装が握られている。
大振りの刃がついた直槍を持ちながら開始位置で立ち止まる。
俺も、紅を取り出すと刀身を生成して構える。
?「我が名は、アレン=ディレイズ!
『魔槍』の名を継ぐ者!!」
目の前の魔族は、いきなり大声で名を名乗った。
『魔槍』という言葉で思い出す。
そういえば、大戦争で『魔槍』と呼ばれた槍の名手が魔族に居て
対神族戦で猛威を奮っていたとか。
とある戦いで、神族の罠にかかった仲間を逃がすために
自ら囮となり、たったひとりで敵陣に突撃して300人ほどの神族を
巻き込んでの壮絶な最後と遂げた男が居たと。
アレンは、槍を回してから構えを取る。
その槍捌きは、見事なものだった。
セオラ「それでは、2階級 藤堂 和也
1階級 アレン=ディレイズの試合を開始します」
先生の声が闘技場に響く。
相手の気迫が伝わってくる。
セオラ「では、はじめっ!!」
開始宣言と共に歓声の波が周囲に広がった。
少し相手が、こちらに歩くようにして移動してくると
挨拶代わりと言わんがばかりに槍を連続で繰り出してくる。
鋭い連続攻撃を避けると、くるっと軽く後ろに回りながら
下がるように動くアレスの手元を見て反射的に後ろへ跳ぶ。
その直後、足首を狙っていたであろう下方ギリギリの
横薙ぎが通り過ぎていく。
上半身の大きな動きで思わず槍を見失うところだった。
すると今度は、上段の振り下ろしからの3連撃が来る。
こちらも全て受け止めるが、槍の撓りまで計算に入れた
見事な連続攻撃に、防戦一方になる。
元々、剣と槍では武器としてのリーチが違う。
しかも相手は、剣持ちとの戦いにも慣れているかのように
的確な攻撃で、こちらが懐に入ろうとする隙を潰してくる。
だが、このままでいい訳が無い。
真っ直ぐにこちらの急所を狙ってきた一撃に
横から大振りの一撃を重ねる。
アレン「・・・!」
横方向に槍を大きく弾かれて体勢を崩すアレン。
このチャンスに、一気にアレンの近くまで走りこむ。
和也「―――ッ!!」
それは直感だった。
急激に嫌な予感がして、姿勢を低く滑り込みで
アレンの横を抜ける。
するとその途中、ビュン!!という風切り音と共に
頭上を通り過ぎる槍。
かなり体勢を崩したと思っていたが、あれは誘いだったのだ。
アレンの後ろに回り込んだ俺は、振り向き様に剣を振る。
和也「くっ!!」
アレンは確かに、こちらに背中を向けていた。
だが、まるでこちらの動きが解るかのように、槍を後ろに引く。
勢いのついた石突が俺に襲いかかってくるも
それをギリギリで何とか避ける。
アレンは、槍を短く持ったまま振り返りながらの一撃を
振り下ろしてくる。
俺は、その一撃を『旋風』で返す。
アレン「―――ッ!!」
驚くアレンだったが、振り下ろした一撃で槍を地面に突き刺し
突き刺した槍を支点として棒高跳びのように跳躍して宙を舞う。
さすがの身体能力と言うべきか、それとも判断力を褒めるべきなのか。
お互いに攻撃を外した2人は、互いに距離を取る。
和也「・・・」
俺も無言で紅を構え直す。
ここまで魔族の癖に魔法ひとつ使ってきていない。
純粋な槍捌きだけで、これほどの相手と戦うのは
随分と久しぶりだ。
さすが『魔槍』の名を口にするだけはある。
アレン「・・・なるほど。
これは失礼した」
構えを解いたと思えば、こちらに謝罪してくるアレン。
和也「・・・」
こちらは、構えを崩すつもりはない。
そもそも基本的にプライドの塊である魔族が
よりにもよって人族に謝罪なんてするはずがないからだ。
何かあると勘ぐりたくもなる。
アレン「所詮は、人族。
魔法など使わずとも倒せると思っていたが
それは間違いのようだな」
和也「・・・いやいや。
そのままでも十分、倒せるって」
アレン「ふっ」
こちらの軽口に、少しだけアレンの口元から笑みがこぼれた。
俺は、ようやく構えを解く。
それを見てアレンは、槍を使いながら柔軟体操をし始めた。
和也「(・・・ああ、めんどくさくなりそうだなぁ)」
こちらも身体を解しながら、どうしようかなと考える。
少し異様な光景に見えたのだろう。
周囲の生徒達の罵声が消え、歓声も消える。
リピス「さて、ここからが本番ってところだな」
フィーネ「当然、和也が勝つわ」
セリナ「でも、相手もかなりの使い手みたいですよ?」
エリナ「それに剣と槍じゃ、武器としての相性も悪いからね」
フィーネ「それでも和也が勝つの。
私は、そう信じてるから」
自信満々に笑顔で言い切ったフィーネに
周囲で笑いが起きる。
実際、みんな口に出さなかっただけで信じているのだ。
和也が勝つことを。
互いに準備運動が終わり、向き合う。
アレンは再び槍を回し、いくつもの型を構えては
また槍を回すという動作を何度か繰り返した後に
槍を正面に構えた。
アレン「これより魔法を使用する。
・・・良い勝負を期待している」
思わず苦笑してしまう。
ここまで真っ直ぐに挑んでくる魔族なんて
見たことが無い。
本当に久しぶりに、純粋な勝負が楽しめそうだ。
アレンから鋭い殺気が放たれる。
そして一瞬見える見覚えのある魔力の流れ。
俺は、反射的に真横に跳ぶ。
ガリッ!!
地面を削る音と共に俺の居た場所の地面が抉れていた。
和也「・・・加速魔法か」
あの素早い突きは、間違いなく加速魔法だ。
アレンとか言う魔族の周囲に展開された魔力の流れは
亜梨沙のそれと、よく似ていた。
だからこそ反射的に避けられたとも言える。
アレン「・・・」
こちらの動きが無いことに加え、先ほどの一撃を避けたからか
微妙にすり足で重心移動をしながら
仕掛けるタイミングを図っているように動くアレン。
俺が足を少し動かした時
ジャリッ!
小石を踏み砕いたのか、少し大きな音が鳴る。
その瞬間―――
ビュン!!
風切り音と共に、アレンの槍が正面から来る。
正確に、こちらの急所を狙った3連続突きだ。
剣を合わせて軌道をそらし、回避すると
今度は、執拗に足元を狙う攻撃に変化する。
それを避けながら踏み込むタイミングを探すも
やはりそんなに簡単に、こちらの間合いに持っていけない。
真っ直ぐ伸びた一撃に剣を引っ掛けるように
相手の勢いを利用して後ろに大きく跳躍して距離を取る。
アレン「スピードアップ・ファーストッ!」
アレンは、掛け声と共に加速魔法をかけ直し
距離を詰めるために突撃してくる。
魔族は、元々補助魔法が苦手だ。
まあ大雑把な連中が多いという種族的なものもあるが
魔力が多いため、細々した制御が必要な補助魔法よりも
単純に魔力変換可能で、見た目も派手な攻撃魔法を選ぶ奴が
多いというべきか。
いくら元から速度も早いとはいえ、初級の加速魔法ならと思ったが
それでもトータルで一般の中級魔法ぐらいの加速度になっている。
それだけでも驚異的といえるが、まだまだ俺にも勝算はある。
いつも亜梨沙を相手にしている俺なら魔眼のレベルを
引き上げずとも十分に追えるのだ。
俺は、足元の小石を相手に向けて蹴り上げる。
だが蹴り上げた石は、アレスのはるか前方で落ちる。
一瞬何か仕掛けてくるのかと警戒したアレスだったが
スグに小石から視線を和也に戻す。
アレス「ッ!!」
目前に迫っていた紅の刀身部分に驚く。
走り込んでいる状態だったため、そのまま姿勢を低くして
何とか回避するも、大きく体勢が崩れてしまい失速する。
一瞬、小石に意識が向かってしまったため回避が遅れたのだ。
体勢を立て直そうとした瞬間―――
ドスッ!!
鳩尾に走った激痛にアレスの身体は、くの字に曲がる。
何時の間にか、和也が左肘をアレスの鳩尾に入れていた。
そしてそのまま左腕を上に勢いよく上げる。
アレス「ぐあっ!!」
くの字に曲がったせいで高さが下がっていた顔面に拳の裏が入る。
綺麗に裏拳が顔に決まった形だ。
更に追撃の回し蹴りがアレスに迫るも
何とか地面を転がって避ける。
立ち上がろうとするも、剣を何度も振り下ろされ
立ち上がることが出来ない。
アレス「ハァッ!!」
寝転んだ体勢のまま、槍を地面スレスレで横に薙ぐ。
和也「くっ!」
避けそうとした和也だったが、間に合わずに足を払われ
地面に倒れる。
倒れる瞬間、刀身部分をアレンに投げつける。
それをアレスは、後ろに逃げるように地面を更に転がりながら避ける。
和也が立ち上がろうとした瞬間、今度は片膝をついたままのアレンが
槍で突いてくる。
スグに再展開した紅で槍を弾く。
体勢が崩れたアレンに紅の刀身を投げつけようとする。
アレン「ウインド・アローッ!」
そんな体勢から使えるのかと
関心してしまうほど状態から放たれる風の刃。
和也「ちっ!」
風の矢は、不可視であるという厄介な特性があるが
生活レベル程度の魔眼でも、ある程度は捉えられる。
出現した風の矢に刀身を投げつけ、爆発消滅させる。
爆発の煙が、2人を包む。
ガンッ!!
キンッ!!
ガガッ!!
何かと何かがぶつかる音が闘技場内に響く。
誰もが試合に見入っていた。
少しして風が吹き、煙が消える。
するとそこには視界の悪い中でも戦い続ける2人の姿があった。
アレンの槍を横から蹴り上げ、体制を崩してから剣を振る。
それを槍の持ち方を変えて逆に剣を横に弾こうとする。
だが、アレンがそれをフェイントだと気づいた時には
紅の刀身が消えており空振りに終わる。
逆に空振りにより隙が生まれた脇腹に和也の蹴りが入る。
しかし、痛みに耐えながら振られたアレンの左拳が和也に迫る。
和也の顔に拳が当たる手前で、腕を片手で掴んで止める。
何時の間にか紅をしまっていた和也は、もう片方の手で
アレンの胸元を掴むと、そのまま投げ飛ばす。
和也は、スグに紅を持つと追撃として
またも刀身をアレンに向かって投げつける。
大きく投げられたアレンは、地面に背中から叩きつけられる。
痛む身体を酷使して、スグに立ち上がるアレンは
目の前まで迫ってきていた紅の刀身を槍で弾く。
そしてお互いに、相手をけん制するように
得物を構えたまま見つめ合う。
アレン「・・・」
アレンの槍に魔力が収束する。
槍の穂先のみが緑色に輝く。
アレン「これで決めるっ!
ウインド・クローッ!!」
その叫びと共に高速の突きが迫る。
体捌きだけでは避けきれないと判断し
剣で弾こうとするが・・・
和也「なっ!?」
その一撃は、速度だけでなく非常に重い。
そして何より紅の刀身が押し負けているのだ。
魔力同士の衝突が起きるも、紅の刀身が削られ
ついには槍が紅の刀身を貫く。
和也「っ!!」
身体を捻って回避動作を取るも、肩をかすめた一撃で
肩口から血が出る。
そしてアレンの一撃による風圧で後ろに吹き飛ばされ
地面に叩きつけられた和也。
和也「・・・ふふっ。
あはははははっ!!」
大声で笑いながら立ち上がる和也に
槍を構えて様子を伺うアレン。
和也「・・・これは確かに申し訳なかった。
俺も謝罪しよう」
アレン「・・・何の話だ?」
和也「これほどの使い手。
確かに手加減しては申し訳ない」
そう言うと和也は、紅を片付け
腰に下げた刀を抜いた。
黒い刀身をした真っ黒な刀。
和也「・・・そうだな。
俺もせっかくだから『名乗ろう』。
風間流、藤堂 和也だ」
和也は『黒閃刀・鬼影』を構える。
和也「魔眼、完全開放」
魔眼の力を完全に発揮する。
その瞬間、全ての景色に違う『色』が現れる。
突然、目の前の相手が気迫をぶつけてきた。
その気迫の鋭さにアレンは無意識に1歩下がる。
和也は、軽くステップを踏むように相手に迫る。
アレンは槍を握り直すと、けん制するための
速度を重視した突きを繰り出す。
しかし和也は、まるでそれが解っていたかのように
綺麗に避けると、そのまま懐に入ろうとする。
何とか槍を引き戻しながらも、持ち手を変えて
横薙ぎに槍を振るうアレン。
アレン「―――ッ!?」
全てを見切っているかのように、またも姿勢を低くして
完璧に避けた和也は、そのままアレンに蹴りを放つ。
胸を蹴られ、後ろに数歩下がるアレスだが
更にまた距離を詰めようとする和也の隙を
狙い澄ませた一撃を放つ。
だが、それすら完璧な回避をする和也。
更に距離を詰めた和也は、走り込んだ勢いのまま
アレンの鳩尾に、刀の柄を叩き込む。
一瞬呼吸が止まるような一撃を受けて
倒れそうになるも、大きく跳躍してこちらと距離を取ろうとする。
だが、それを許すまいと和也が追いすがる。
アレン「ウインド・クローッ!!」
無理をして追いすがると予想していたアレンは
その瞬間を最大のチャンスと捉え、必殺の一撃を放つ。
アレン「―――なっ!?」
それは確かに、誰が見ても完璧に相手を捉えた一撃のはずだった。
和也は剣で受け止める・・・フリをしてそのまま相手に向かって走った。
必殺の一撃に対して、前に突っ込んだ勢いを維持しつつ
体を回転させるように捻りながらギリギリで避ける。
そしてすれ違いざまに体を回転させた遠心力を利用した
全力の一撃をアレンの側面に叩き込む。
アレン「ウインドシールドッ!!」
必殺の一撃を回避され、圧倒的な隙が生まれる。
その隙を狙われ、回避出来ない旋風の一撃を防ぐため
ガシャン!という弾装の音と共に風の盾を展開するアレン。
だが―――
ブシュッ!!
肉の切れる音と共にアレンの胴から血が吹き出る。
和也「風間流『旋風』」
和也の呟きと共に、まるで紙のように何の抵抗も無く切り裂かれた
風の盾が消え去り、アレンは地面に倒れこむ。
判定ネックレスが砕けて傷を癒していく。
セオラ「し、勝負ありっ!!
勝者! 藤堂 和也!」
一番初めに我に返ったセオラが、勝利宣言を叫ぶ。
セオラの声を聞いても、観戦している生徒達は
その大半が唖然としたままだった。
何とか我に返った連中も
『あの魔族が弱かったんだ』と言い始める。
そう言わなければ、自身の精神的な均衡が保てないのだろう。
和也が控え室に歩き出したあたりで
セリナが呟いた。
セリナ「和也くんの戦いをゆっくり見たのは、初めてですが・・・。
彼は、本当に儀式兵装を持ってないのですか?」
エリナ「やっぱり、凄い・・・」
リピス「今の勝負、魔族の槍使いが弱かった訳じゃない。
・・・和也が強すぎるんだ」
メリィ「さすがですね。
まさかあれほどの実力をお持ちだとは・・・」
それぞれ信じられないという様子で和也のことを見ている。
魔眼を使っていると知らない者からすれば、完全に相手の動きを
見切っているとしか思えない動きだ。
亜梨沙「あの人は、よく私を天才だとか
さすが師範代などと言いますが、私からすれば
あの人の方が天才です。
お爺様が『アレは化け物だ』と言われるのも解る気がします」
亜梨沙の祖父であり風間現当主の風間 源五郎は
和也の才能を恐ろしいと感じている一人だ。
魔法が使えない和也は『魔法を必要としない技』しか習得出来ない。
なので自身の幅を可能なかぎり広げようと、数少ない技を
徹底的に修行し続けた結果、風間流の全ての基礎剣術と
体術を習得するに至った。
和也自身は、魔法が使えないことで自分は凡人だと思っているが
周囲からすれば、天才以外の何者でもないのだ。
フィーネ「和也、カッコイイ・・・♪」
和也の活躍にウットリしているフィーネの少し後ろの方で
『マグレに決まっている』と周囲に不満げに語るヴァイス。
そんなヴァイスの言葉に苦笑しながらも、和也を見つめる者が居た。
ギル「・・・ははっ。
こんなの見せられたら、もうダメでしょ」
学園フォースで上位の実力者と呼ばれる者、ギル=グレフ。
ギル「藤堂 和也。
絶対に俺と戦ってもらうぜ」
そう呟くと、ギルは観客席から姿を消す。
それから少しして、闘技場内は騒がしさを取り戻す。
儀式兵装のぶつかる音が響き、魔法の爆発音が轟く。
勝った者は、己の強さを誇って喜び
負けた者は、リベンジを誓い涙を流す。
そうして、長かった闘技大会の個人戦が終了した。
第6章 激戦の闘技大会 ―中編― 完
ここまで読んで頂き、ありがとうございます。
正直、この和也VSアレンは困りました。
何度対戦を書いても、思い通りにいかず
アレンが勝手に三枚目になったり、残念キャラになったりと
キャラが安定しないどころか、試合結果も必殺技も
書いているうちに変更ばかりが起きて
当初予定と大幅に違う内容になってしまい
書き直すということを何度も繰り返したため
予想外に時間が、かかってしまいました。
簡単に表記するなら
6章中編を書く
↓
アレンが違うキャラになる
↓
書き直す
↓
試合展開が、おかしくなる
↓
書き直す
↓
またアレンが違うキャラに
↓
書き直す
↓
何とか形になる ← 今ここ New
という感じですかね。
よく『キャラが勝手に動く』という表現をされますが
正にその通りだと実感しました。
いや、物語を書くって難しいですね(笑)