後悔の結果
「はい、私は小学生のときからいじめられており、いつも独りでした。私は独りであることにたいして耐性があるので、無理に交友関係を広げようとは思いません。独りはいいものです。何しようと邪魔されることがないですし、何より自由です」
ふたたび静まり返る面接会場。しかし俺はそんなこと気にしない。いや気にする必要がない。今重要なのは香月祭璃に勝てたかどうかだ。
(少し押しが弱かったか?いや、大丈夫、俺は勝ったはずだ)
ちらと左を見る。案の定自分の左だけ空気が違う。
(ていうか香月の目、輝いてるよ!そんなに俺の答えが気に入りましたか)
(さすが私が認めてしまっただけのことはあるわね、牧村君。…評価は最悪だろうけどね。残念だよ…一緒に入学できなくて)
「以上で面接は終了します。お疲れ様。合否は手紙で通知しますが、合格者の方はもう1度こちらにお越しください。何か質問は?…無いようですので解散」
こうして、俺の受験は幕を閉じた。
数日後―――
面接の終わった日から悠平は部屋に閉じこもってしまった。
(終わった。よくよく考えてみたらあの答え方じゃ評価最悪に決まってる。くそっ、香月祭璃―――いやあいつのせいじゃないか。どうしよう)
「悠平、聖皇学園から手紙きたわよ。降りてらっしゃい」
(とうとうきやがったか、よし、俺も男だ。落ちたら落ちたできっぱり諦めてやる)
「ゆうへーい、合格通知が入ってるわよー。すごいじゃない」
「俺が行く前に開けんなよ。えっ、合格?まじか…あの答え方で合格って意外にレベル低いのか?」
「3月10日に説明会があるから9時前にお集まりくださいだって、そこで制服とか教科書とか全部そろうらしいわよ。あとこれ、1次と2次試験の得点開示だって。1次…900点中900点…すごいじゃない悠ちゃん満点よ!満点」
(あの満点てやつは俺のことだったのか…そりゃそうか模範解答とまったく同じように書いたからな)
「2次の結果は…10段階評価中…2点…」
「………」
「あなた面接どうしたの?まあ受かったからどうでもいいけど」
(適当だな、おい!)
母さんはいつもこうだ。どうでもいいことに執着したかと思うと、大事なことを平気で流す。付き合うのが本当に疲れるよ。俺もその血を濃く継いでるんだけどね。
その後居間に足を踏み入れ、仏壇に向かっていつも通り報告する。
「父さん、合格だって」