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1年生総代

 居間へ入ると仏壇がある。父さんはもうこの世にいない。俺が産まれる前に交通事故で死んでしまった――らしい。だから俺は写真でしか父さんを見たことないし、声も知らない。けど――

「ただいま、父さん。今日の試験よくできたよ」父さんに報告すると肩の荷が下りたようになる。不思議だ。

「さあ、ご飯にしましょう」

 母さんの声で俺は部屋を出た。

 数日経ち、家に聖皇学園から郵便が届いた。結果は――まあむろん合格。

(これで落ちたら俺の1年はなんなんだ、ってことになっちまうからな…)

「よかったじゃない、悠ちゃん。努力が実ったのよ。これであとは面接だけ。もう合格まで一直線ね」

母さんが涙を流しながら言った。去年は悔し涙だったが、今年は違う涙だろう。だが、1つ問題がある。

(去年1次で落ちたから、面接のやり方がわかんねー)

母さんはもう合格したような気になっているが冗談じゃない、これからが本番だ。

(2次試験は来週か…しっかり準備しないと)こうして悠平の戦いは幕を開けた。

「ずいぶん人が減ったな」

まあ無理もない、聖皇学園は毎年倍率が20倍を軽く超える超有名校だ。しかし全体の9割以上が1次試験で落とされるので2次試験はめっきり人が少なくなるのだ。

「まあそんなこと気にしてる場合じゃない。どんな質問にも答えられるようにしないと…」

時間が経つのは早いもので、すぐに面接開始となった。666番は前の方なのですぐに順番が来てしまう。

「でもまだ時間はある。最後にチェックしないと――ん?」

後ろから囁くような声が聞こえる。

「おい、知ってるか?1次試験満点のやつがいるんだってよ!やばくない?」

「まじかよっ!あのテストで満点―ってことは900点か?化け物だな」

「そいつ確実に合格だろうな。でもそうすると1年生総代だから新入生代表挨拶やるんだろ?くくく、ご愁傷様」

「それに、生徒会会長もやらされるんだぜ。勉強するために入ってんのにそんなのやらされちゃたまんねーよ」

そう話す2人

(そういえばそんな制度があるんだよな聖皇学園(ここ)

聖皇学園は進学校としては珍しく、学校生活のほとんどを生徒に任せている。体育祭や文化祭は勿論、時間割、登下校の時間も自由という「完全な生徒主体」を掲げているのだ。この制度の人気は非常に高く、勉学に意欲のあるものは1日の大半を授業に費やすためより成績が伸び、意欲の低いものは遊びほうけてしまうため成績の急降下、赤点、留年、退学という成績のジェットコースターに入ってしまうので、そうならないよう生徒全体の勉学に対する意欲が増す――らしい。もう1つ面白いのは学年ごとに生徒会や部活が分かれていることだ。まあ部活の方は人手が多い方がいいので合同で活動する部活が多いようだが。1,2,3年の生徒会役員はそれぞれが対等の立場であり、生徒主体の気風もあってか絶大な権力を有している。聞きかじりなので詳しいことはわからんが生徒会の力はすごいものらしい。

「会長になるとすごいんだろうなぁ。号令ひとつでみんなが動いてくれる。壮観だろうな」

「254番、427番、532番、666番、A教室に入ってください」

「「はい」」呼ばれて席を立つ。

(しかし俺の666番も悪魔を表す不吉な番号だけど、427番はひでーよな。死、に、な番じゃん)

「右から順に席について」

面接が始まった。

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