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無駄な苦労は所詮無駄

 徹夜で原稿を書き終えた俺は、まだ眠気で機能していない目をこすり、教室に赴く。昨日寝たのが朝の5時。起床時間は8時だ。起きるの遅!っと思うだろうが1時間目は8時40分から。しかも俺は学校の敷地内に住んでいる。これでも早いくらいだ。寝ぼけ眼をこすって教室のドアを開けると

「おはよう、牧村君」

「牧村ー、おせーよ。早くこっち来いっていいもの見せてやるよ」

「牧村君おはよう。生徒会室暮らしはどう?」

「悠平、今日は体育があるなぁ?体育は俺の1番得意で1番好きな科目だからな。いくら苦手な数学が4時限あるからってそんなことじゃあ俺は止められないぜ。テンション上がってきたー!」

こんな感じにみんなが話しかけてくれる。前の世界では考えられなかった変化だ。俺は挨拶をすることもないし、されたこともない。べつにしなくてもいいや。と思っていたが今は違う。こんなにも挨拶は人の心を温かくするのだ。それがわかっただけでも大きな収穫だ。そして我が親友尊よ

「『今日は体育があるな』ってお前、お前がそう時間割に書いたんだから当然だろ!しかも毎日体育あるし。毎日テンション上げてんのか?お前のテンションは何段ギアなんだよ!あと数学を4時間入れたのもお前だぞ?責任はちゃんと持て」

「冷てーなまったく」

そんなやり取りをしていると、すぐ目の前に幼いながらも整った顔立ちに加えて肩まで伸びた淡い栗色の髪の毛を持つ少女が微笑んでいた。

「牧村君、スピーチは考えてきましたか?今日はよろしくお願いします」

俺は胸を張って答える。

「まかせとけって。白鳥先生と一緒に徹夜で考えたからな。ばっちり」

『白鳥先生と一緒に』というところにものすごく不安の感じるのですけど…他に人材がいなかったんですか?」

「他に人材って…あとは尊くらいかな。でもあいつでいいのかい?」

「嫌です!」

これはまたはっきり答えたね。尊、お前の恋路には障害物が多いみたいだぜ。そこに放送が入る。

「これより生徒会選挙を始めたいと思います」

おかしいな?生徒会選挙は学年全員が体育館に行ってから始まるはずなんだが…前を見ると先生も首をかしげていた。

「今回の選挙は立候補者が1人ということなので、選挙は行いません。繰り返します。今回の選挙は―――」

「やりましたよ牧村くん。ありがとうございます。おかげで当選することができました」

これで決まったってことは…俺の徹夜で書いたスピーチはどうなるんだよぉぉぉぉ!先生も缶コーヒー握りつぶしてるし。…先生、怖いっす。とりあえず俺たちはストレス発散のために、有頂天になっている祭璃の後頭部に向かって拳を振り下ろした。

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