困ったときは先生に
結局俺の時間割は先生に勧められるままに日曜日を除いた週6日、7時限授業ということになった。ほかのみんなを見てみると…あれ?おかしいな。みんなもっと表がすかすかだぞ?尊の馬鹿はっと、全部埋めてやがる。ってか体育多っ!1週間に1つ、2つ、3つ…14コマある。あいつそんなに体育好きなのか。まあいい、馬鹿は相手にしない!祭璃の方はおや?週末に結構空欄が目立ちますね。とは言っても週5で7時限までとってるから土日をとらないようにしたんだろう。
「あの牧村さん。私生徒会副会長に立候補しようと思うのですが、責任者でスピーチしてくれませんか?」
責任者、これもやっかいな制度の1つだ。副会長選挙は大体の場合立候補者で優劣がつけられないことが多いらしい。簡単に言うと票が僅差。面倒なことにこの学校では、立候補したものは相手に30票差以上つけなければ当選できないという妙な制度がある。しかし立候補者は僅差。ならばと考えられたのが責任者制度。責任者は自分の立候補者を援護するスピーチをする。「行動が速い」や「そつがない」などだ。この責任者は立候補者から直接選ばれるので、責任者が変な奴だと立候補者もちょっと…と思われてしまう重要なポジションなのだ。類は友を呼ぶというやつだな。なのに
「なんで俺が?俺なんて変人代表みたいなもんだよ」
「そんなことはありません。牧村君は会長なんですからもっと自分に自信を持ってください。それにあなたは…」
顔を真っ赤にしてぶつぶつ言う祭璃。聞こえないぞ?
「とにかく牧村君、スピーチお願いします」
そう言って祭璃は走り去ってしまった。
「俺断ろうとしたのにな…はぁ、まあいいか」
仕方ない俺も男だ、か弱い女の子からの願いとあっちゃ断るわけにはいかねえな。えーっと選挙は4月10日で今日は4月9日っと。なんで前日に言うんだよ!流石に一晩は無理だろ…まてよ、強力な助っ人がいた。あの人に頼めばきっと何とかなる!そう思い俺は生徒会室へ駈け出した。
「先生!白鳥先生」
「…なんだ牧村か。ふぁーあ。人がせっかく体力回復の儀式をしているというのに騒々しく神聖な部屋へ入りおって、警備兵!こいつを連れて行け」
「警備兵なんていないでしょこの学校。神聖な部屋ってここ生徒会室で俺の部屋だし、体力回復の儀式って寝てただけじゃないですか」
「寝てたのではない。惰眠をむさぼっていた」
「なお悪いわ!話しを戻しますけど先生、スピーチの原稿書くの手伝ってください」
「スピーチ?お前また妙な演説しようとか企んでるんじゃないだろうな?」
「あれは事故です。今度のは責任者スピーチですよ。祭璃から頼まれちゃって」
「ということは祭璃は副会長に立候補する気なのか?」
「そうじゃなかったら頼みませんて。お願いしますよ先生」
(教え子の頼みを聞いてあげる教師ってポイントが高そうだな…その教え子は会長だし。もしかしたら何か便宜を図ってくれるかもしれない。ならば)
「仕方がない。仮にも私はお前の先生だ!やってやろう」
その日の生徒会室は1晩中明かりがついていたそうな。