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絶望挨拶と痛い視線

 式は順調に進行していき、新入生代表挨拶となった。

「新入生代表ならびに会長就任挨拶。新入生代表牧村悠平くん」

「はい」

(あー、緊張するなぁ。でも大丈夫、俺には昨日徹夜して書いた原稿が―――ない。おや?胸ポケットもズボンのポケットにもどこにもない!もしかして家に忘れてきたのか?Oh my God!いかん消極的になるな俺。こういう時小説の中の人物はどんなことをしていたか冷静に思い出せ―――」

俺は1時期不登校になったことがある。理由はお察しください。そのときにはまっていたのがネット小説(オンライン小説)だった。もともと読書が好きだった俺は、この世界にどっぷりはまってしまった…まあこんなことはどうでもいい。とにかく解決法を探さなければ。

(っ、思い出した。あれでいこう)

この挨拶はちょっとした冗談のようなものだが…しかし今の俺にはこれしかねえんだよ!だがこの冗談というのが難しい。中途半端が1番引かれちまう。自信をもっていくのが1番のポイントだ。あとはこの場に笑いの神様が降臨してくれるのを願うだけ…よしいくぞ!男牧村悠平一世一代の大勝負だ!

「えー、みなさんおはようございます。新入生代表兼生徒会会長の牧村悠平です。突然ですがみなさん後ろを見てください。 次に右を見てください。次に左を見てください。 …はい、ありがとうございます、最後にまた前を向いてください。今のは首の運動でした。というのは冗談で、僕には全校生徒を動かす力があります!この力を生かしてこの学園をより良い学園に変えていこうと思います。以上、新入生代表兼生徒会会長牧村悠平」

シーン、水を打ったように静まり返る会場。ここまで白けたのは小学校の卒業式で校長が歌を歌って以来だ。だが、やるだけのことはやった。笑いの神様には嫌われちまったが、俺は今最高に輝いていると思う。そう自己陶酔していると会場の隅から笑い声が。かなりでかい。この声は―――

「ハハハハハっ腹が、腹が裂けるっ。あハハハハハ」

うん。白鳥先生だね。先生、視線が集まってますよ。ほら『この人駄目だ』みたいな痛い視線ですよ。気にせずに笑い続ける先生。爆笑ってやつだな。その声のせいか会場にも徐々に声が戻ってきた。

「今年の会長ははずれね。もっといい人が他にもいるでしょうに。なんでよりによってあんな―――」

「やめとけよ。会長は俺たちを罰することができんだぞ。入学早々退学になりてーのか?」

「そうじゃないけど…」

この挨拶で『今年の会長は何を考えているか全くわからない。ある意味恐ろしい』という噂が立った。

一方香月祭璃は

(流石牧村君。会場の空気を一発で変えるなんてなんたるカリスマ性。ますます格好いいですわ」

と悠平の評価が上がっていた。

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