ミスtake1
結局この日はずーっとぼーっとしたままだった。何に対してもやる気が起きない。家に帰ってからもやる気なく床に寝っころがり、ただ流れゆく雲を見続けていた。そんな俺を見かねてか母さんが
「悠ちゃん大丈夫?お医者さんに診てもらう?」
と訊いてきたが…無言。何も耳に入らない。
(夢の続きって見れたっけ?調べてみようかな…)
俺は力なく立ち上がるとパソコンのある自分の部屋へと、足取りも重く向かっていった。
「えーっと、『夢の続きを見る方法』っと…以外にあるもんだな。3,160,000件…1番上から順に全部見ていくか」
俺はこう見えて非常に我慢強いし根気がある。小学校入学の14日後からずっと独りで生きてきた俺の実力は推して知るべし。
「『夢の続きを見ることは不可能です』っふざけんな!俺のやる気を下げるんじゃねーよ。けどもう34ページ目か。諦めよう」
なに、気にすることじゃない。またいつもの日常に戻るだけさ…いつもの日常に…そう思い俺はベッドメイキングをしてすぐに寝に入った。下へ下へ………
「悠ちゃん、悠ちゃん早く起きて。時間よ、入学式に遅れちゃう」
「うーん」
「悠ちゃん『うーん』じゃなくて早く起きて!」
「わかってるよ…学校でしょ。まだ6時じゃん。こんなに早く起こさなくても…学校まではチャリで5分なのは母さんも知ってるでしょ?」
「何言ってるの悠ちゃん?スーパーマンじゃないんだから自転車5分で聖皇まで行けるわけないじゃない。ひょっとして早郷中学校に行く夢でも見てたの?みんなはそっちに行くけど悠ちゃんは違うでしょ。それはそうとして早くしなさい。もうギリギリなんだから」
そう言い残して去っていく母さん。
「まさか、夢の続き見ることができたのか?…俺スゲーじゃんやればできる子だったんだな、俺!遅れるのはまずいし、早く支度して行くか!俺の中学校へ!」
制服に着替え、バックも持ち、上靴や校章を確認…よし。完璧だ。
(さて早く1階で飯食わないと遅刻しちまうな)
そう思った俺は換気のために窓を開け、網戸にすると飯を食べるため1階に下りて行った。部屋のドアを閉めると同時に、机の上の紙が空を舞い、部屋のどこかへ消えた…