旧英国領にて
次回予告が機能していないのは、作者の僕にでさえ先が読めないからです。結末は決まっていても、その過程は一切決まっていない。だからもっと原稿は溜めておけといったんだ(逆ギレ)
上陸すると、そこは既に死地だった。何もかも吹き飛んで、母艦の落下地点が円上にクレーターとなって広がっている事が分かる。落下地点が中心ではなくて、隅の方だったこともあってか、ぱっと見ると月の形にも見えなくもない。戦争が終わった後の事を考えるとなんとも悲惨に残るのだろうな、と感想を抱いた。
『後の事は考えなくていい。ただ今の事を考えろ。ここは戦場だぞ』
年時の声がインカムから響いた。簡単に私の思考が読まれている。それほどにまで私は動揺しているのだろうか。あの爆風で一体何人の命を奪ったのだろうか。あの爆発で一体どれだけの『先』を失わせたのだろうか。
『余計な事は考えなくていいぞ和音。もう西は死んでる。人間的にな。出身の俺が言うんだから間違いないだろ?殺せ。罪はない』
でも、それは罪に問われる事はないにしても、私を確実に崩壊へと繋げるものじゃないか。私はもう狂いたくないんだ。狂ってしまえば、また仲間を殺してしまいそうで。
『和音さん。私と平和に笑ってくれますよね?ここで終わりだなんて言いませんよね?だって和音さんはそうだったじゃないですか。今更嘘だなんて言われても認めませんからね』
そうだったって何だ。私はここで終わりだなんて言うつもりは一切なかった。だけど私は、ここで終わっても良いと思っている。だって、年時が失敗しても平和になると言ったから。そういう風に手回しをしていると言ったのは貴様じゃないか綾火。
『アーンドランはここで死んだらアカンで。綾火に凄い人と思われているうちは何が何でも死なせへん。アンタが綾火の中で生きつづけるとかうち許さへんから』
貴様だけだよ。そこまで正直に私を批判するのは。心地良いものだ。批判者は私に必要な存在だった。私を否定的な観点から評価して、私を誤った方向へと何があっても進ませない。それが正しい批判者だ。
『んー……ここって年日も強制的に言わなきゃいけねェタイプ?うっわ面倒。そうだな、和音姉、早く帰ってチョコレートフォンデュでもしようぜ。食材は祝いで、機材は年日達がもつからさ』
明るく言ってくれて嬉しいよ。私は普通だから、沈む事もあるさ。だから貴様は、私の調律者と言った所だろうか。私を私で在らしてくれる重要な人物だ。
「誰一人欠ける事を許さない。そうしたら最後、私も死ぬからな」
『うっわ、和音姉まさかのメンヘラ勢とか……近寄らんとこ』
空気ぶっ壊すな貴様。
『来るぞ、構えろ』
そう言われて私は機体に指示を出す。視線を前方に送ると、そこに広がっていたのは私たちの持っている様な機体軍ではなかった。普通に、極めて一般的に広がっている軍事力。戦車に飛行機にヘリに。重機械も沢山見られたが、それ以上に確認されたのは『生身の人間達』だった。一瞬だけ理解が遅れる。私にはどうしようもなくて仕方のない、国の事情だとは分かっていてもそれを異常と汲み取る事が出来た。そう言ってしまえば私たち六人もおかしいだろうが、私たちにはこの機械がある。生存率はおかしい程にまで跳ね上がっている。元に今現在死者はいない。
『言っただろ。コイツ等はおかしいって。人間的に死んでるって。命を数だと思ってる。確かに人海戦術は歴とした戦術だけどな、今の状況を見ただけで生身では対向出来ないと分かるだろ?東軍だって生身で人を送り出してたけれど、あれは俺らが生身で送り出してたからだ。人海戦術は相手が人であることを前提とした数で押す戦法だ。だから、軍を相手にできるような相手には無意味だと言ってもいい』
西の異常を初めてこの目で確認する。
『もっとも、コイツ等はそこに無意味があることを楽しんでいる。死ぬ所を見て楽しんでる。自分はそれに触れないまま、死ぬ時の絶叫に、絶望の表情に喜びを感じている。これはどうなんだ?そうだな。お前もそうだったな和音。だけど、今は違うよな』
私は今、私が異常と理解している。怖い。私はただ、殺しを楽しめる人格があっただけだった。むしろそうでなければ私は私を保てなかった。国全体がそうだともで言うのか?殺しを良しとするその思考が国全体に蔓延しているとでもいうのか?
「───左右両方のレールガンを構え、背中に携えたレールガンを口に咥えて引き金を引けば」
詠唱を行う。私のするべきことはたった一つだった。西を壊すこと。西は許容出来ない。自分の再現体が蔓延るこの世界は壊すしかないのだと、私は直感的に感じ取ってしまった。
「して両腕のレールガンは口に咥えられたレールガンのレールとなり、電磁でレールを形成すれば」
もう、殺すしかないのだと。
「フルバースト───!!」
中央にあるレールガンを射出して最大出力を叩き出す。10秒きっかりのラグのあと、それは放たれて橙色の閃光はまっすぐに人の集団の中心部分へと伸びていく。声が聞こえない程の遠距離であるが故になにも感じていない。こうしなければならないという義務感だけが私を支配していた。
『ひゅぅー……いきなりぶっとばすやんアーンドラン。ほな、うちも行ってくるわ。綾火はまた援護してな』
『姉さんは気を抜かないでください』
そう言って2機は離れていく。
『んじゃま、年日も行ってきます。兄貴は適当に重機ハッキングでもしてろyな。邪魔で邪魔で』
『俺は本来戦闘要員じゃねェんだって。それしか出来ねェのは分かってるけど」
そう言って、2機は離れていく。
『和音。絶対に意識するな。コイツ等は人間じゃねぇんだ』
「何を今更。私と同じ考えを持っている生き物が人間なわけなかろう?」
そう言って、私か加速の羽を蠢動させて駆けた。
次回予告
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