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起爆

見積もってあと3、4回更新で完結。大晦日は準備だから今日も徹夜っすか……言ったのは自分だし更新サボってたのも自分だから何も言うまい。来年からは定期更新にしたいな(願望)

その後も飛来するミサイルがあったが、私の能力で火薬系統攻撃を無効に出来るのだから問題はなかった。むしろ何故水素で飛べると思ったんだ年時。


私は紅葉桜へと言葉で指示を出して母艦へと戻っていく。インカム越しに行われていた室咲と真希の会話に少し腹が立ってしまった。当然と言えば当然の事なのだが、私は室咲の私に対する対応が真希に対しての対応が違う事に苛立ちを感じる。私と会話している時よりもフレンドリーだった。私の事は重い人だという認識があるのか。被害者と加害者の関係は同じの筈だ。しかし、その方向が違うだけでここまで変化するものなのか?むしろ被害者は加害者を恐れるのが普通じゃないか。


───室咲は、私が怖いのか。一つの結論に達する。自分の耳と目を奪った張本人が怖くない訳がなかった。


「精神的ダメージが一番大きいのは私なんかじゃない。どう考えても室咲ではないか。どうして私はそうなのに、悲劇のヒロインなんかを演じようとしたんだ。私は阿呆か」


ぼやかずにはいられなかった。私の愚かさを改めて実感する。どうして私はここまでダメなのだろうか。自分を卑下しなくはなかった。約束だったから。しかし、これは卑下とは言わないだろうと私は自分自身に言い聞かせる。過小評価なんかではない。これは正当な評価だ。私はどうしようもなくダメで、私はこんなにも弱かった。支えられていないと私は壊れてしまう。そう理解しておきながら、私は。


『和音。早く戻れ。あんまし散ってるとこっちが面倒だ』


インカムから聞こえた年時の声で意識が現実に引き戻される。気が付くと羽を広げたまま母艦から離れていて、ゆっくりと下降している事が確認出来る。どうして私はこうも鈍いのだろうか。自分の事を第一に考え過ぎている。むしろ、自分以外を意識していないと形容した方が的確なのかもしれない。与えられた加速の翼を起動させ、私はその推進力で母艦へと上昇していく。浮遊の羽で微調整をしながら私は自分の異常さに打ちひしがれていた。


「年時。ハッチを開けろ」


『はいはいーっと。まぁそのまま其処に居てくれや。俺達も準備すっから』


「一体何の準備だ?」


『いやさ、超歓迎されてっから一発お見舞いしてやろうかと。元々そのためにコレ作ったんだわ』


そうとだけ言うと。年時は一方的に通信回線を閉じてしまった。ハッチは程なくして開き、私は一息吐くと操縦席に深く腰かける。それなのにハッチは閉じる様子がなかった。


「………開いてる方が危険なんじゃないか?鏡という利点をなくしているようなものだぞ」


『うーっしおっけ。はァい皆、聞こえる?年日ちゃんだよ。待機しててね。あと、その部屋に置いてある武器はぜーんぶ持っちゃって。勿体ないから』


私は呟いた直後にインカムから年日の声が聞こえた。回線が復活したらしい。疑問を覚える事もなく、私は周囲を見回して目についた機械の類を回収する。音声による指示はこういう時に不便だ。強制する必要がないときに限って言えばの話だが。


『てな訳だ。早く準備しろ、この母艦を捨てるぞ』


いや急展開過ぎるだろ。何故だ。私は疑問の前にツッコミが先に出てきた事に驚愕する。しかし、こうして突っ込まなければならないほどにまで突拍子もない事だとは言える。私自身がこの展開についていけていない。ここから先は私は介入しないと決意し、インカムの音声に集中する。


『何でかだけ聞かせてもらえへんか製作者様?』


『ほら、着陸とか出来なさそうじゃん?だったら着陸しなきゃいいじゃん』


『理由になってねェよ兄貴』


『だってそうだろ?戦地に乗り込むだから当たり前じゃん。つか、お前らはまた一匹一匹蟻を潰していくつもりなのか?俺にはそんな面倒な事は出来ねェわ』


『そんままぶつけて吹っ飛ばす気か年時。お前の思考回路には頭が上がらねぇよ』


『その、私たちはどうやって着陸するんですか?発想がおかしいのは前から知ってましたけど』


『お褒めの言葉感謝しますわァ。てなわけでよろしくな、飛行可能なお二人さん』


『……また飛ぶのかよ面倒じゃん。お前ら俺の負担とか考えてねぇよな?俺めっちゃ酷使されてるよな?』


『いいじゃん別に。どーせそれくらいにしか使えないだろ?使えるもんは使ってなんぼだぜ。むしろ、俺としちゃァお前が苦しんでる所見るの辛ェから』


『今は忘れてくれへんかな製作者様?うちだって色々あるんやし』


『………悪いな』


『臭ェよバカ。さっさとしろ。加速装置の制限時間はそのまま活動時間に影響するから注意しろ。年日はバッテリー増量型だけど』


『他に人は居ないのか?てかまぁ急だったから仕方ないか』


『当たり前じゃないですか。考えれば分かりますよ室咲さん。バカなんですか?両脇に機体を抱えてまだ人を抱えられるんですか?凄いですね、尊敬しちゃいます。というより、母艦は捨てる為に用意したって年時さん言ってたじゃないですか。人員なんて乗せたら死んじゃいますよ?戦争しに行くのに無駄な人員を連れて行った所で何が出来るんですか?最悪私たちが世界制圧に失敗したとして死んでしまっても半分の東側の人たちは平穏に過ごせるようにっていう年時さんなるの配慮にも気が付かないんですか?室咲さんは一度日本語を勉強してはいかがですか?言葉には裏が存在するんですよ。西側から来た貴方には分からないでしょうけど!』


『ここで発散するんじゃねェよ綾火。あとそれ私怨入ってんだろ』


『んじゃま、カウント始めるぞ。………和音さーん。聞こえてますかー?』


「さっさとしろ阿呆」


インカムから間延びしたカウントが開始される。こうして見ていると、私の思いがどれだけ重いものなのかが理解出来る。年時と年日の口調は私たちを楽観視させるためにわざとやっている様にしか聞こえなかった。軽い調子に話せば、自然と気分も軽くなる。聞いているだけでも随分と楽になったなと思う。


『3』


そういえば私は残る四人のうち二人を背負わなければならないのだった。気付いて私は気を張り直す。言ってしまえば、私が失敗してしまえばそこで戦力は半分となってしまう。避けるべき失態だ。


『2』


年時の思惑には頭が上がらない。どうせ彼奴の事だろうから、私たちが死ねばそこで停戦を持ちかけられる様にはしているのだろう。最悪でも半分は救われる。私に直接言えば反対することは分かっているから、このような形をとったのだろうか。適当に降参して、六人ともが平穏に暮らせる配慮までも欠かさない。それが天才たる所以なのだろう。


『1』


私は世界を変えたかった。私だけ幸せで良かったのなら、私は兵士を殺して衣服や食料を奪い取り兵士の保養所で一生を終えていただろう。それが可能であったから、私は変えたいと思ったのかもしれない。人間は高みを望む生き物だ。手を伸ばせば届く事を私たちは実行しようとする。だから私は、半分なんてもので妥協しなかった。


『0』


「紅葉桜はハッチを出て羽を広げ、室咲が抱えていない2機を両脇に抱えて浮遊して」


言葉で指示をだして、紅葉桜を動かす。その言葉が現実となって事象を起こした。飛び出した感覚は数分前に味わったというのに、未だそれを快感だと受け取る。青と白のみで作り出された景色に私は酔う。紅葉桜が自動的に動き出し、母艦から落下してきた2機を手で受け止めると脇に抱える。浮遊の羽を行使して浮遊を開始する。活動時間に変動はほぼない。本来このために作られた様なものだから当たり前か。


『年ブラザーズを引くとは縁起がいいな。和音様は室咲氏を壊したい様で』


インカムから年時のニヤニヤとした声が聞こえる。一度しか見たことのない、年時の機体【ガマズミ】。灰緑色にワンポイントの赤色が目立つ、【接続】に特化した異常な機体が左の腕に抱えられているのが確認出来た。


「傷を付けられて強くなるのが人間だ。怪我をすればするほどに、その欠点を補おうと強固になるだろう?」


『けけ、それで壊れなきゃいいけどなァ。年日ちゃん保証しねェよ?』


『五月蝿ェよ年日。もうじき爆発するから見とけ』


年日が嫌がらせの様に介入してきた。確かにその通りだった。傷付けられて成長するが、傷を付ける過程で崩壊したのであれば話は仕舞いだ。


私は浮遊の羽を使いながら滑空し、雲を抜ける。直ぐに海が目の前に広がる。澄み渡っていて、戦争中とは思えないほどに綺麗な海に私は小さく感動していた。


『ほらいくぞ。カウントは3つだ。3、2、1』


年時がカウントを始め、私は視線を海から島へと移動させる。


「加速装置起動。旧英国領へと向かって加速」


スピードは緩め、と脳内で勝手に付け加えて飛行を開始する。


『0。起爆』


インカムから年時の声がして、それと同時に旧英国領上空に、今まで乗っていた母艦を視認する。母艦が島に着陸すると、母艦に火が確認出来た。水素が、着火する。


「ははっ、脆いな人類」


『そーんな人類がおっきな事するからこうなるんだよ。むしろ利用してるだけじゃないかな?水素って地球に存在する物質だし。利己的と捉えるべきかなー』


年日が私に皮肉を言うように言葉を続けた。


『ま、粗方片付いただろ。実質トップは死んじゃいねェだろうけどな』


「して、どうやって殺すつもりだ?隠れているのであればどうしようも出来まい」


『はっ、乗り込むしかねェだろ』


年時は鼻で笑ってそう言った。



次回予告。


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