評定
二回更新するから一回ここで。区切りがいいし
ふっ、と昔の事を思い出していた。異常が異常となっていた時の事。魔女狩りという名目で人を娯楽の為に殺していた故郷。あの異常の血が、俺には流れている。無意識的に俺はその異常を求めているのかもしれないと考えていた。狂気に犯されていた時、俺は正義を真っ当するためと言いながら暴走し、殺した。何だってこんなことをしなくちゃいけないんだと、俺の思考はぐるぐると回っていた。
「おいクソ坊主」
そんなことを考えていると、真希から声をかけられた。
「んだよクソアマ」
「殺すぞ」
「何故!?」
意識が一気に現実世界へと引き戻される。真っ青な海に肌を焼く日光。そしてなぜか水着になった格面々。確か水泳訓練を始めたんだっけか。いいからその首元に当てた物騒な刃物を仕舞ってください死んでしまいます真希さん。
「アンタな?ぼけぇーっとして何しとったん?まずすることあるやろ」
「んー……あ、準備体操かわかっ」
「殺すぞ」
「冗談が一切通用しねぇ!首締めるのもやめろ!意識は戻っても苦しいことは苦しいんだぞ!!」
声をあげて抗議する。背後からがっちりホールドされていた。背中にとんでもないものが押し付けられていたが、気にしては負けだと思って思考を殺した。
「……ほな、アーンドラン。さっさと出てきぃ。んな所隠れとっても見えとぅさかいに」
背後にいた和音に声をかける真希。和音は綾火の後ろに半身で隠れ(ていない)、
「そんな……バカな。私の陰術は人間が察知出来る程稚拙なものでは……」
驚愕の表情で出てきた。何がしたいんだコイツは。
「アンタよりちっこい綾火に隠れられるわけないやん何ゆーてるん」
そりゃそうだよ。俺にも分かる。わなわなと体を震えさせながら、和音は綾火の後ろから諦めてその体を晒す。赤くそまる頬に、華奢な体躯は、どこか儚げに感じる。今手を伸ばせば折れてしまいそうな繊細さと、幼い印象を与える顔立ちに、今まで見ていた和音と見違える。
「……………ぅ」
恥じらいを隠せずに、小さくうめき声をあげる和音。こういう反応をされると、俺は和音をオンなだと再認識してしまう。邪な感情は切り捨てようと首を振って邪念を振り払う。俺が見つめているせいか、股を閉じてモジモジ賭している。腰にパレオを巻いている事に今気がついた。左側に結び目がある所為で、右側の太股が外気に晒されている。普段から軍服を着用していて、肌を日頃露出させない彼女の肌は白玉の様に白かった。それであって、今までの歴戦を語るかのように、太股についた筋肉が程よくついていて、官能的な雰囲気を醸し出していた。
「そ、そんなに見るな……恥ずかしい」
いつもの凛とした声ではなく、どこか幼い、1オクターブ高い声。一度封をした記憶で聞いた、和音の声。偽りのない和音本来の口調は、狂気の影響を受けて変化している。狂気と分かれる為に行っているのか、単に本来の人格が狂気の影響がないところにいるのか、俺には理解出来ない。そんなことはどうでもいい。可愛らしく、というか、可愛い。
「ん。可愛いぞ和音」
「な───ッ!!」
和音はその場で赤面して………殴られた。正確には平手で頬を。そう形容するのもおかしい程の弱い力で俺を平手で叩いた和音はそのまま振り返って何処かに走っていく。ただその場から離れたかっただけなのだろうが、それでも和音の変化がしっかりと感じられた俺は満足だった。今まではただ流していただけの褒め言葉を正面から受け止めて、それに赤面する和音。そして、振り返り様には笑っていた。狂的な笑みとな違う、純粋無垢な笑顔。サティの様に、悪意を一切感じなくて、ただ善意のみで作られた綺麗な笑顔。
ひりひりと頬が痛みを今になって訴えてくる。軟らかく痺れさせるような痛み。そんなのもにすら和音の変化を感じ、一人幸せに酔っていた。
次回予告
恐怖の対象だ




