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銃の効かない操縦士  作者: 木樵蝋梅
14日目
33/65

ーーー真希は

新章突入だよ!この章一番今までの中で戦闘描写(笑)が一番多いかもだよ


今回は無いがな(白目)

赤髪八重歯、二本の刀、濁った片目。そして、恐ろしいほどの戦闘力(乳)。真希は私たちに寝返った。大きな理由は綾火。幼少時代に一悶着あって、所謂姉妹関係だったらしい。羨ましい。


ひとまずそこは置いておこう。彼女にも能力が備わっていた。時間操作。あらゆる物に対しての時間を操作できる強力な能力だ。だが、自身の速さを上げる為もは、その速さに筋肉がついていかねばならないらしく、しかも、その際の空気抵抗も操作できない。つまりはあまり速くしすぎると、空気抵抗に負けて体が壊れるらしい。


それが、私に対して三倍速までしか使わなかった理由だそうだ。


「だったら、私の速さを極限まで遅くして殺したほうが確実で早くないか?」


「あっ」


馬鹿だった。


しかし、応用性も多様で実践でも有用である事から(?)東軍で小隊の隊長をしていたらしい。しかも能力所持者の。速さに関して言えば、驚く程の才を放つ真希にとっては、私のようなただ一つの事にしか適応されない残念能力者など、数瞬で殺せるだろう。


それをしないのは何故だろうか。


私としてはそれを是非聞いておきたい物だ。しかし、下手に刺激しては本当に殺されかねない。今は信用してしまった。疑いをかけるのも適当になってしまうだろう。


ところで、東軍の情報は持っているだろうか。結成から既に二週間が経過した。年時の機体調整と、その他諸々の人員の手配、武器調達など、様々なことに時間をかけてしまった。時間が過ぎていくほどに、多くの無意味は命はきえていくと知っていてだ。情けない。


「ちょ、和音姉コレ見ろってェ!さっき兄貴が作ったんだけど超やべェんだって!」


そう言いながら、年日が室内に飛び込んでくる。喋る度にガムが音を鳴らしているのが不快だった。


「年日。いいから口に入れたガムを吐き出してから言ってくれ。さっきからくちゃくちゃ五月蝿い」


「チッ……いいじゃんガムくれェよォ。年日の勝手じゃん?」


「というかチュッパチャップスはどうした。年日はアレが好みだったと記憶しているのだが」


「ん。飽きた」


「早いわ!何でそうも嗜好を変えるんだ!」


「だって甘ェもんは好きだけどさ、別にチュッパチャップス限定って訳でもねェしなァ」


年日・B・グリモア。年時の実の妹で、白髪紅眼のアルビノ少女である。彼女の能力は、触れた機械の構造を瞬時に把握し、操る事が出来る能力だ。年日にとっては、機械と名のつく物は全て手足のようなものだろう。


しかし、欠点もある。酷使すれば脳に異常が生じ、意識を失う点だ。元々脳に負担をかける事が多い能力だが、年日の場合はそれが顕著に現れていた。そもそも、年日の能力は自然発生ではない。薬品によって半強制的に備わった能力だ。強い願望、思い込みが能力になるのが普通だが、それを人為的に行われた実験台の一人。


もしかすれば、年日は機械に触れる事さえも嫌いなのかもしれない。私には理解しかねるが。年日は勿論のこと、誰も本当は戦争なんてしたくないはずだ。兎も角、私はこの争いを一刻も早く終わらせたい。


年日は右手に、通常よりも一回り程大きなハンドガンを持っていた。色は純白。銃口は赤く彩られていて、年日用にモデルされたものであることが解る。年日が嬉々として見せに来たハンドガンは、年時が作った物だと年日は言った。何作ってるんだよ。調整してるんじゃなかったのか。年時の作る物は、確かに良いものだが、どこか使用者に不便な点が出てくる。年日も大丈夫だといいが。


「ところで、何か変わった物なのだろう?」


「そォなんだよ。和音姉。ま、見とけって」


そう言って、年日はハンドガンを上に向けて引き金を逆に引いた。何かのスイッチだろうか。


「years day,first」


と、年日が言う。直訳すると、年日一番目。多分詠唱する必要はまったくないが、雰囲気という物は大切だ。私の能力にも何か付けようかな。反射するときとか。


ベクトルチェンジっ!


……駄目だ。ダサすぎる。止めておこう。


年日の詠唱の後、白の銃はガシャガシャガシャ!と音を立てて形を変えていく。銃身は長く、長く、長く。恐らくはライフルの類だろう。年日はその銃の銃口を私に向けた。


「じゃじゃーん!スナイパーライフルー」


そして引き金を引いた。……ってぇ!年日!?何故撃ったの!?しかも私にむけて!


「何しているんだ年日!?いや私には火薬系攻撃は効かないけどそれはないぞ!?」


「いや、和音姉だからしたんだよ」


「何故!?新手の虐めか!?」


「だってェ和音姉ってこういうのにしか意味ねェじゃん?だったら年日の的になってもらおうかなーっと」


「動機が軽すぎる!?襲うぞ年日!?」


「てへっ☆年日はもう兄貴に汚されちゃいました☆」


「貴様ら兄妹は一体どういう関係なのだ!?」


気が抜けすぎだろう。戦争に参加していることをちゃんと理解してくれ。ま、私のまた、能力を所持している。


無銃力空間、と私は勝手にそう呼んでいるその能力は、火薬に関する攻撃を全て無効化するという能力だ。確かにこの事態では便利そうな能力だが、それは間違いだ。ナイフで刺されても死ぬし、火薬を使用しない攻撃方法……例えば弓とか、つい最近わかったレールガン等の遠距離射撃でも簡単に死ぬ。まぁ、どちらにしても生身の時にレールガンが飛んでくる事はないだろう。主には銃弾だ。


デメリットとして、私も銃を使えない。触れているだけで能力が発動し、銃弾を放つ事が出来ないのだ。その為に、近接武器に限定され、ナイフを多多用する。私の趣味もあるが。


「years day,second」


「ちょ、止めろ!もう撃つんじゃない!」


「えェー……何でだよ和音姉ェ?別に痛かねェだろ」


痛く無くても気分が悪いわ。私的な意味で。


「………いいか?幾ら私だからといって、それが嫌なんだ止めてくれ」


「チッ。わァーったよ。和音姉のいけず」


いや知らんがな。


……真希の口調がうつった。真希はとある島国の西側出身らしい。いや、関係はないが。


まぁ、年日用の武器が作られたくらいだ。じきに上位個体も完成するだろう。年時の仕事速度は早いからな。たまにとんでもないものを作るが。………ん?一体何を作ったんだっけか。


いいか。ささいなものだろう。/目を背けるな。


年日は部屋を出て行った。因みに今は何時もの司令室。そのカメラに写っているのは、それぞれが思い思いに遊んでいる小さな子供たちと、友人と談笑する少年少女だ。仮初めだとしても、平和そのものだった。穴の中にいるときよりも断然心地いい。あとちゃんと食料あるし。


「おっと。真希を呼んで聞いてみないとな。それで期間の調整も出来るだろうし」


私は司令部の備わっているマイクを使って館内放送(?)的な事をして真希を呼び出す。さすがにカメラは個室についておらず、そこだけは年時もしようとしなかったようだ。その代わりにまぁ……隠しマイクは付いているが。


私も広場にさえカメラがあれば良いとは思っている。反乱分子はあってはならない。秘密裏に処分するつもりだが、今の所はそんな人物はいない。私はマイクのスイッチを入れ、顔を近づける。


「んっ……ん゛ー……マイクテストー。うむ。真希・E・ディグニティ。少し話がある。司令室まで来てくれ。以上」


やはり、年時には通信機器を付けて貰うとしよう。真面目に館内放送だけでは、私の気が持たない。少し話が長くなるだろうか。珈琲か、紅茶か。珈琲は泥水の様に不味かった。というか苦かった。年時の物だけだと信じたい。


まぁ、私は紅茶しか置いてある場所を知らないが。砂糖は一杯、ミルクは無し。ティーバックで申し訳ないがl、仕方あるまい。


「来たで」


「早っ!?」


「いや近くにおっただけやから……」


突然背後から話しかけられたらびっくりするだろうが。それくらい理解しておけ。私を驚かさないでくれ真希……


「それで、うちの話があるんとちゃうかったん?うちは綾火と一緒に喋っときたいんやけど」


「まぁ、まぁ。そう急かすな。茶でも飲みながらゆっくりと話そうではないか」


私の嫁をそう安々と貸すか馬鹿。勝手に嫁を使うな。綾火は私の嫁だぞ。私は綾火の妻だ。


私はティーバックを入れたカップに湯を注ぎ、砂糖を入れてくるくると掻き混ぜる。最近砂糖の消費が激しいのは年日が使うからだ。自由にしてくれて構わないが、幾らなんでも使いすぎると思う。


「はぁ………しゃーないな。それで、アーンドランはうちに何の話があるんや?」


「なに。簡単な事だ。こちらに寝返った理由でも聞いておこうと思ってな」


ただ、綾火の為という理由だけでは、私は満足しない。二大勢力の一つを裏切ってまで危険を冒す必要はないだろう。私たち第三勢力が束になっても敵わないのだ。三つ巴にはほど遠い。私なら、綾火が欲しいだけなら無理矢理自分の所属する勢力に引き込む。真希の心情は上手く読み取れないが、何か決定打となる理由がないと行動はしないだろう。


「そんなん決まってるやん。ちはあそこが嫌いやってん」


やはり馬鹿は馬鹿だった。呆れてから茶を啜った。


「それだけで危険な事をしたのか?はぁ、義姉さんはそんな短絡的な考えを持ってよくまぁ生きていられたな」


「アホ。んなわけないやろ」


すっ、と人差し指を立てて唇の上に真希は移動させる。私にだって理解できる仕草だった。私はコクッと頷いて承諾した。真希はそれからポケットから黒いビー球位の大きさの球を取り出した。何だろうか。


それを、人差し指と親指で潰した。機材……だろうか。金属の破片が飛び散る。ついでに赤い鮮血も………おい。


「確かにそれは一度はやってみたい行動だが血が出ているぞ!大丈夫なのか!?」


「オゥ………痛てて……無茶したらアカンな」


「全然大丈夫じゃない!?」


「これ、何だと思う?アーンドラン」


「ここでスルースキルなの!?」


とりあえず止血しろ。絆創膏と消毒液は大量にあった筈だ。これでもここは倉庫と言うこともあって、食料と医療系統の道具は沢山あった。細菌で即死なんて事はほぼないだろうが、それでも治療は大切だ。


「っと………いらんいらん。うちは能力で新陳代謝を加速させればそれで治るから。んで、このさっき壊したのは、マイクロフォンナノ。小型マイクや。初めはスパイでもしようかと思てたよ」


ナノと呼べる程小さく無かった気がするが、そこには突っ込まないでおこう。成る程、スパイか。これなら簡単に抵抗することもなくこちらに入った理由が明確になった。だが、それだけではない筈だ。だが、スパイにしては、自身の能力について説明しすぎだと思う。嫌いという理由だけでこちらに加入した理由としては不適当だ。


「あー。大丈夫やってマイクはここにくる前にはもう壊してたから。音なんか拾てへんよ。そんなに睨まんとってぇーな」


考え事をしている時の私は睨んでいる様に見えるらしい。集中するときは一点を見詰めるからだろうか。兎も角、マイクを壊して本隊を裏切ってまでここに入るにはリスクが高すぎる。情報も少ない。そう呼べるものは、東軍は研究所をコンピュータに警備を任せており、人がほぼいなかったこと。時間を稼いでおいて、後ほどに人員がくる。その人員が真希」だった。彼女の能力を過信して一人で向かわせたのだろうか。それに関しては私には判断しかねる。能力は強大であるほどに持ち主は慢心するものだ。能力がなくなれば、封じられればどうしようもない。それは私にも言える事だが。


「理由はそれだけではないだろう?地位も確率していたのにな。義姉さんは流石にそこまで馬鹿ではないはずだ」


「いい加減その義姉さんて呼ぶん止めてくれへん?寒気するわ変換面倒だし」


「な、何を言っているのかさっぱりだなぁー……」


「普通に真希って呼びぃや。どうせ今の状況じゃあ苗字も名前も適当だろうし。ディグニティは噛みそうやしな」


「私はアーンドランと呼ばれているのだが、それについて弁明するつもりはあるか?」


「ない。うちはアンタを和音なんて呼ばへんからな?うちはアンタと綾火を一緒にしたくないんや。だから、一生アーンドランって呼ぶで。うちが綾火と結婚する」


「ふっ……姉妹間で結婚なぞ出来るわけなかろう……」


「言っとくけど、義妹やからな?しかも籍とかあらへんし」


やばい。この人すっごい殺したい。私の狂気仕事しろ。


「わかったから真希。今その話は止そう。ところで真希、私は理由が聞きたいのだ」


まったくホンマ…と言って、真希は溜め息を吐いた。


「遠まわしに言わんでもええよ。要するにうちから東軍の情報を聞き出したいんやろ?それくらい分かってたわ。アーンドランは変化球投げるのがヘタクソやなぁ。真っ直ぐストレートしか投げられへん。しかも、ストレートしか打たれへん。真っ直ぐすぎるええ子や」


「私だって少しは考えているぞ。気を使って遠まわしに言っただけだ」


「嘘や。ホンマはちに殺されるのが怖かったんやろ?アーンドランは銃弾しか防げないそうやし、うちやったらそれこそ、アーンドランがゆーたみたいにアンタの時間を遅くしてナイフで殺せば問題ないやろーし」


「……っ」


「それこそ、銃弾しか防がれへん能力でよく生き残ってたもんやで」


「お、怒らないのか?」


「?なんでうちが怒らなアカンの?」


「私が嘘を吐いたからだ。信用していない証だろう。どうしても……できないのだ。元があちらの出身という事だけで……私は父さんも母さんも共に戦争で亡くした様なものだ。連れて行かれたのさ……生きてるか死んでるかさえ分からない。思い出はこのバンダナと指輪だけしかないさ。ただ……優しかった事だけは覚えている。真希が直接関わったなんて事はないと分かっているのに……でも……」


そう。私には身内なんていない。勿論、他の子供たちにもその境遇の者はいるだろう。もっと酷い者だっているかもしれない。だけど、その偏見だけでも、私に恐怖を与えた。


怖い。ただ関わる事が怖かった。今まで殺してきたのとは訳が違う。関わりを持つのは、私の全てを晒すのと同意になる。話しているだけで、全てが嘘のように感じてしまう。言動も仕草も、表情も全て。その度に疑ってしまう。


もしこの言葉に裏があったら、

もし、この仕草が何かの合図だったら、

もしこの笑顔が私に付け込む為のものだったら。


そう考えるだけで、私は不安になった。これは結果論だが、真希は『良い人』だった。真希は心を閉ざさずに私と会話しようとしていた。それなのに……私は…………!!


次回予告


ーーーこれが、一人目


通称、デウス・エクス・マキナ、真希・E・ディグニティ

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