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正直な想いは、

はいはーい更新してなかったよー☆


まぁ文化祭でそれどころじゃなかったんだけどね


取り合えず、後これ入れて二回でこの章は一回切れるよ!


次の章には新キャラが出るんだから

室咲は目を覚ました。今までの間寝ていたことに少々ばかり驚きを覚えながら、一体どのくらい寝ていたのだろうと起き上がって時計を探した。大体二時間ほどたっていた。


目を見開いて体に異常はないか確認する。室咲は眠ることを良しとしていなかった。


完全に無防備な状態では襲われた時に反応できないから。彼が西から逃げてきたことの理由のひとつでもある。


先程まで、自室にいたはずの自分がどうして移動させられているのか、何があったのかと思案する。


と、ここで失った右目に激痛が走った。「………痛っ…」と声が小さく漏れる。和音によって抉られた右目と左耳。


ゆっくりと優しく傷口を手で触れようとすると、自らが処置した布の代わりに包帯が巻かれていることに気が付いた。目を閉じて緩くなっていた包帯を巻き直そうと手をかける。


「だっ、大丈夫か……?室咲」


「ん?………あぁ、やったのは和音だな?ちょっと包帯緩いぞ。まぁ巻き直せばいいけどさ」


室咲の目と耳を奪った張本人である和音は隣に座っていた。室咲は和音のしたことを大して気に止めていないようだが、和音は違った。


室咲が傷の状態を見るための鏡を持ってくるように頼もうと和音を直視した。


全裸だった。


「ちょま、和音!?服着ろよ服!!」


室咲は目線をそらして斜め上を見る。一方和音は立ち上がって腕を後ろで組んでモジモジと恥じらっている。しかし、その表情はどこか不安そうだった。


事実、和音は心配だった。


部屋に戻るとベッドで寝ている室咲を見て不安で一杯だったのだ。


そこで和音は医務室に運び、今この状態に至る。


それから目を覚まさなかった室咲を心配し、どうすれば許してくれるだろうかと必死に考えた結果、武装を解除して抵抗は一切せずに室咲に任せる、というものだった。


許してくれるなら、貞操どころか命すらいらないと思っていた。


「す、好きに………してくれ室咲…………私は、室咲に何をされようとも………構わないと思っているのだ………私を殺そうが犯そうが私は………」


室咲は激怒する。違う。そういうことをしてほしかったわけじゃない。目なんてもういい。耳なんていい。ただ、わかってほしかっただけなのに、それでも言わないとわからないのかコイツは、と和音の鈍感さに怒った。


パァン、と肌と肌とがぶつかる音。室咲と和音から発せられた音だった。室咲は怒りで一杯の表情をしていた。まさに怒りの権化だ。


室咲はベッドの毛布を和音に渡して和音の目を見つめる。


「あー駄目だ。何にもわかっちゃいねぇ。和音。テメェ、綾火がぶちギレた理由も俺の話した内容も何もわかっねぇんだろ。わかってるわけねぇよな。初めからそんなこたぁ一切考えてもねぇもんな」


和音は室咲の眼光に耐えられず、思わず目をそらした。これ以上見ていると死んでしまうようなほどまっすぐで優しい目を室咲は和音にしていた。


和音の精神は脆い。常人のように普通に過ごしてきたのではなく、狂気で心を守っていた為に、狂気のない彼女は何よりも弱かった。


ーーーー何故に、何故に、私がこんなにも反省したのに。何もかも室咲に委ねようと思ったのに。


どうして、私を否定するのだ……?


和音の目の奥から涙が込み上げてくる。嫌だ。殺したくない。怖い。もう傷つけたくなんかない。殺れ。殺れ。否定するものは殺せ。嫌だ。殺せ。嫌だ。殺せ。嫌だ。コロセイヤだころせいやだ。


「ぃ……ゃ……ぃゃ………だ……殺せ……嫌だ殺せ嫌だ殺嫌殺嫌殺嫌殺嫌……」


和音の口からは最早言語にすらなっていない声が漏れていた。涙が目に溜まる。


口端が歪む。和音は毛布の他には何も纏っていない。グッ、と毛布を強く握って狂気を押し殺そうとした。


手を自由にすればまた室咲に危害を加えることはわかりきっている。体を自由にすれば殺してしまうかもしれない。


わかっている。それなのに和音の足はベッドの方へと進んでいく。その間にも和音の狂気は本人を蝕んでいく。嫌だ。殺りたくない。


毛布を握っていた和音の手が離れ、ベッドへと伸びていく。それに抗うようにシーツを掴む。その握力は少女が出せる程の強さを遥かに越えていた。


しかし、室咲に恐怖心はない。


まだ和音は狂気に抗うだけの精神を持ち合わせいる。ただその和音(りょうしん)だけを信じて室咲は行動することができた。


「殺嫌殺嫌殺嫌殺嫌殺嫌殺嫌殺嫌殺嫌殺嫌殺嫌………………………!!!!!」


絶え間無く和音の口から発せられる声は理解出来なくとも狂気に対抗していることだけはわかった。手が伸びていく。室咲へと近づく。その室咲は動じない。手が足を這う。腹を這う。胸を這う。首を這う。


「………和音」


「嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌なの嫌なのに嫌なのに………!!!!!」


首で和音の手は止まる。それ以上はまるで進めないように壁があるかのように動かなかった。ピクリとも動かない。


涙は、流れていない。


「和音。答えがわかんねぇなら教えてやる。簡単だよ。テメェが自分を卑下したから(・・・・・・)だ」


和音は顔を上げて室咲の目を見た。真摯で、まっすぐで、優しい目。真剣なことは誰もがわかるようなそんな目。


和音の表情が崩れていく。口端は吊り上がっていたところから少しずつ、下へ、下へ。


「俺はそんなの許さねぇ。勿論綾火のそこでキレたんだよ。この身がどうなっても構わないだぁ?良いわけねぇだろ!!」


室咲は和音の頭に手を回し、和音に額に自分の額を当てる。ビンタされた時とは違う、体温が伝わる。


目の前には互いの顔があり、額を合わせているせいで目を反らすことはできない。


和音の手から力が抜けた。狂ったような力はなくなり、和音はふっ、と小さく息を吐いた。涙が目の奥からあふれでてくる。ただし、これは狂気の涙ではない。


「もういいか?無理に話さなくてもいいから、少しでいい。返事しろ」


室咲は平常心を装っているが、顔をうっすらと赤らめている。


コクンと和音は頷いた。その拍子に涙が目からポタポタと流れ落ちる。嗚咽混じりに和音はうん、うん、と返事をした。


室咲の知っている和音ではなかった。室咲の知っている彼女はこんなにも弱々しくなかった。和音は凛々しく、プライドが高い人間だったはず。室咲はこの時初めて和音の本性を見た。


「(コイツも、年相応な女の子なんじゃないか)」


本当はこんなにも弱いのに、虚勢を張って人を殺し、数多の人間を束ねていたのか、と室咲は実感した。


「なぁ、和音……俺……もう、おかしくなってんのかな……どうしてか……体が熱いんだ」


室咲は体勢を崩さないようにして言った。室咲は限界だった。理性ではなく、精神として。


眠ることは出来ず、思考を止められない。つまりは考えたことに答えが出るまで考え続けるのだ。彼の性格上そうしてしまう。


「室……咲……?アタシには……何もわからないのだ……」


和音の口調が変わっていた。しかし、室咲はそれに気付くことなく話し続ける。


「和音といると、体が燃えるように熱くて、何でも出来そうで、何でも許せそうなんだよ……」


ふぇ?と和音はすっとんきょうな声を出す。離れようと首を動かしたが、室咲の手がそれを阻んだ。


和音はその感情を知っている。


好意だ。


あからさまな好意を室咲は和音に向けている。和音は(綾火を除けば)敵意や殺意を向けられて育ってきた。好意に違和感を感じる。慣れない感情に和音は困惑していた。何より、今の和音は脆い。


「こういうのってさ……初めて、なんだよ……エロいこと考えたりしたことはあるけど、そういうのとはまた違う熱さなんだ」


室咲は和音の頭を自信の左胸に運んだ。耳でトクトクと心臓の音を和音は感じている。通常時よりも早い鼓動だった。和音は反抗することを止めた。和音の心臓もトクトクと鼓動を早めている。


「和音……俺、お前の事がーーーーーーーーーーー」





「お願い。言わないで」




和音は室咲を制止した。室咲は目を見開く。和音は恥ずかしそうに俯いた。


「それ以上は、言わないで。アタシ……弱くなっちゃうから」


室咲はキュッと口をつぐんだ。言いたいことは言ったんだ。嫌なら、断るならいい。と室咲はベッドから降りて部屋を出ようと地に足をつく。


その際に、和音をベッドに横たわらせた。和音は赤く染まった顔を隠そうと毛布を目の下まで上げている。うるうるとしている瞳は室咲の眼球と耳を奪った少女には思えなかった。室咲は扉に手をかけ、外に出る。


「む、室咲」


「話は終わりだ。好きにしろ。二度とすんじゃねぇぞ。女と耳のことは気にすんな」


「あ、アタシは!約束は……守るから……」


「…………もういいんだ。じゃぁな」


和音はベッドから飛び出し、室咲の服の袖を掴んだ。出ていってほしくなかったのか、縁が切れることに恐怖を覚えたのかは定かではないが、和音は不安そうだった。


「待って」


「んだよ……終わりだっつってんだろ……」


室咲は和音の手を払い除ける。室咲は惨めだった。一人で舞い上がって、振られて、感情的になっている自分は誰がどう言おうとも一番嫌いだった。


「室咲……アタシは……」


「俺に一体何を求めてんだよ!!?」


室咲は振り返らずに絶叫する。その目は少しばかり潤んでいる。


室咲の精神は磨耗していた。理由は狂わなかったから。室咲は最悪の気分に向き合って心を守ろうともせずに身を守るためだけに人を殺してきた。


あと幾つかのマイナスイベントがあるだけで室咲は壊れるだろう。それほどにまで精神が磨り減っている。


今彼を支えていたのは和音だった。


しかし室咲はぐっ、と耐えながら足を地につける。殺してはいけない。その一心で室咲は奥歯を強く噛んだ。


和音はその室咲に対して何も出来なかった。限りなく今の和音は弱い。そんな状態では止めようとも出来なかった。


そんな彼女は室咲の背中に優しく抱きついた。額の時のように体温が伝わる。


和音よりも大きいはずの室咲の背中は、いつもより小さく見えていた。


「その好意は……アタシ、受け入れたい。でも……人は平等に扱わないと………ううん。したいんだよ。でもそれをしちゃうと全員を受け入れないといけない。だったら……もしもって………もしも、死んじゃったら、アタシ………何も出来なかったって……泣いちゃうかも、しれないから……全員を愛したい。それには器がまだ小さいの……だからってそれで、受け入れたら……それは本当の愛じゃなくって……偽物だと……思う。だから………だから!今は……できない」


「…………………そうか」


室咲は力を抜いた。


ーーーそうだよ。和音はどんなに知らなくっても、どんなに弱くなろうと、優しいのには変わりないんだ。


「だから……今は忘れて欲しい。でも、アタシに器が整ったら……きっと」


「約束、してくれる……のか?」


不安だった。支えにまで見放されたら、ここで断られたら、と思考はマイナス方面に回る。


「アタシが出来るようになったら、終わったら、すべて果たすよ。アタシ、もう決めたから」


「………ありがと。なら、俺も約束させてくれ。和音を絶対、狂わせたりしない。戻れるようにしてやる。狂った時は、俺が守り通す」


じゃあな、と言って室咲は部屋を出ていく。


「熱に当てられてらしくねぇ事言ってんじゃねぇよ俺……」


小さく呟いた。


弱い人格を強い人格で装った少女は見ていてつらかった。あんなに弱い人間をトップにしていたのかと思うと情けなくすらなる。


と、室咲は角を曲がろうとした時に曲がることを失敗してドン、と肩が壁にぶつかった。


眼を奪った少女は脆かった。眼を奪った少女は許せるはずがないのに許せてしまった。しかもこうも簡単に。


「どうして……何故………!?」


怖い。このままでは自分が彼女の為に死ぬこともいとわないような人間になってしまいそうで、それは彼女を守れたとしても、彼女は悲しむだけで。


こんな感情はいらない。いらないんだ。命に関わる程の危険な感情だ。いらないんだ。必要ないんだ。…………少なくとも今は。


今はいらないんだ。必要ないんだ。忘れろ。終わったらでいい。それまでは一切思い出すな。必要ない記憶だ。引きずると死ぬ。


忘れろ忘れろ忘れろ忘れろ忘れろ。


「………っ痛……何してたんだ?俺……」


side out


「そうだよ。いらないんだ。必要ないんだ。アタシが言い出した事なんだ。いい。これでいい。忘れろ。人格を作れ。封をするだけでいい。それだけで、アタシは救われる。アタシは……wアタシは……私は」


私は。和音・F・アーンドランだ。



次回予告


「兄ちゃんは……どうなりたいの?」


年時の妹。能力所持者、年日

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