番外編:カブラの休日 前編
書きたくなったのでまたもやノリで書きました。
「師匠ー!
朝だぞー!」
「カブラの最愛の妻が起こしに来てあげたんだから早く起きてよー。
それとも僕が起きざるをえない状況にしてあげようか?」
「よしチウっち!
奥の手でいこうぜ!」
「ええ、カブラったら本当に寝ているみたいですし」
「(実は起きてます。
なんか面倒くさそうなので寝たフリしてるんだけど二人ともこんな日曜の朝早くから起こしに来なくてもいいのにな)」
はい、今日も元気な俺、マンジ・カブラです。
昨日は仕事が山積みだったので遅くまで起きてたもんだから今日は昼まで寝ているつもりだったのだが、可愛い弟子と妹に叩き起されようとしている。
だが俺がその程度で目覚めると思ったら大きな間違いだ!
意地でも昼まで寝てやる!!
「「せぇ~の♪」」
ヴィィィィィィィィィン
バキャバキャバキャバキャ
「うぉぉぉぉぉぉぉぉぉーい!?
二人ともそれはさすがに反則だろう!!」
寝たフリをする俺に対して二人はチェーンソーを俺の頭に振りおろしてきやがったのだ。
俺はただ強いだけで頭をグチャグチャにされて生きていられるほど人間やめてねぇぞ!
「お!師匠起きたか♪
おっはよー♪」
「カブラったらこんなにいい天気なのにいつまで寝てるの!
朝は家族揃って食べないとダメでしょ!」
「いやいやいや、俺を殺す気かよ!?
俺が昨日遅くまで働いてたのは知ってるだろう」
「クスクス♪
殺す気だなんてカブラったら可愛いわね。
殺すどころか今日の朝ご飯は僕が生まれて初めて料理に挑戦して作ったから一番にカブラに食べてもらいたいというこのいじらしい乙女心がわからないのかな?」
「おう、今日の朝飯はすげぇんだぜ師匠。
あたしも手伝ったけどこれでもかってくらい最高の材料を使ってるからさ♪」
なんかアスカの俺の呼び方の『師匠』ってのがすでにあだ名みたいになっていると感じるのは気のせいなんだろうか……
チェーンソーで起こしに来るなんてとても師匠を敬ってるように感じないんだけどな。
「わーかったわかった。
じゃあ今起きるからみんなで朝飯にしよう。
そのあとは今日はせっかくの休日なんだし、みんなでお出かけでもするか?」
たまには家族サービスしないと師匠としても兄としても面目が立たないしな。
「わーい♪
師匠とお出掛けなんて久しぶりだなチウっち。
今日はうんとおめかししなくちゃな♪」
「嬉しいよカブラ。
やっと僕の魅力に気づいてくれたんだね。
クスクス♪
今日はせっかく成長した街を見て回りましょう♪」
「とりあえず朝飯な。
二人が作ってくれたんなら期待してるからよ」
その後、朝食を済ませた俺達は街中をぶらつくことにした。
料理の方はとても初めてとは思えない最高の出来だった。
「なぁ師匠。
せっかくの休日なんだしサチ姉さんも一緒に誘わねえか?」
「ふむ、確かにあの人はカウンターに座っているだけという仕事らしい仕事をしない人だし誘ってみるか」
「カブラ、僕としてはアスカを排除して二人っきりでホテルへ直行ってのもありだとおもってるんだけど、どう?」
「はい、物騒な考えは捨てろ。
今日は二人に家族サービスするために出かけるんだからあまり我儘言うようなら俺は家に帰って寝るぞ」
ったく、チウちゃんも昔の引き籠ってた頃よりはずいぶんと活動的になったけどそれも良し悪しだな。
カランコロン
「いらっしゃ~い♪」
「おう、サチさん久しいね。
今日はせっかくの休日だからサチさんも誘って遊びに行こうと思ったんだけどこれからどうですか?」
「残念。
私は昼からこの地域周辺の他のギルドマスターとの会合があるから抜け出せないのよ。
まったく月に一度の会合がカブラ君たちの休日と被るなんて不幸だわ。
まぁ、どうしてもって言うならカブラ君の命令で抜けたって他の人たちに伝言残しておくけど♪」
「いやいや、そこまでして誘ったりはしないよ。
サチさんもけっこうファンが多いから他のギルドマスターから恨まれちゃいますって」
とりあえずカウンター席に座り、飲み物を頼むことにする。
「俺はハチミツのミルク割りでお願いします」
「じゃああたしはミルクのハチミツ割りで」
「僕は牛乳に蜂蜜を混ぜたものをちょうだい」
結局は全部同じ物なんだが微妙に違うのだ。
サチさんクラスともなれば客の好みを把握するなど日常茶飯事らしい。
「ところでアスカちゃんとチウちゃんは最近どうしてたの?
カブラ君もだけどなかなかお店に顔出してくれないからけっこう寂しかったのよ」
「あたしも最近は弟子の修行が忙しくてな。
弟子を持って初めてわかったけど教えるってのは想像以上に大変なんだな」
「僕は最近発明品の盗作が出たから訴訟問題なんかで忙しかったの。
もちろん相手は表でも裏でも二度と再起不能になるまで搾り取ってあげたわ。
クスクス♪」
アスカもだいぶ師匠ってのが板についてきて安心してたがチウちゃんはまだ目が離せないな。
俺がいない間にそんな事をしていたなんて。
注文の品が来てからは話もはずみ、俺は久し振りの休日をエンジョイするのだった。
ノリノリだったので勢いのままに書いていたらあまりにも長くなったので後編に続きますw