第二十話:ラストバトルinヒロシマ
なんだかんだでついに完結かぁ~。もっと短い話になるかと思ってましたが、鍛冶屋関係でやりたいネタってけっこうあったんだと気づかされる作品でした。
警察からの追ってを逃れた俺達三人はかつてアスカが親しくしていた鍛冶仲間の家に厄介になっていた。
「なんか悪いな、突然押し掛けちまって」
「い、いやそんな……オイラはアスカちゃんのためならどんな苦労だっていとわないから……」
家を貸してくれた少年、ヒマ・リクキチ君14歳は顔を赤くしながら言う。
アスカは鈍いから気付いていないようだがこの少年はアスカに惚れているようだ。
そしてそのアスカがべた惚れしている俺に羨ましげな表情を浮かべながらも丁寧な対応をするあたり、こいつはお人よしだな。
……実に面白い♪
「何にしても助かるよ。
俺は今トーキョー都のシブヤ村で鍛冶屋をやっているアスカの師匠のマンジ・カブラだ。
よろしくな」
「リクキチ、師匠ってば本当にすげーんだぜ!
お前も一緒に弟子入りしないか?」
「……オイラは今のままでいいです。
鍛冶屋と言ってもオイラが作るのは包丁とか日常生活に使う刃物が専門ですから」
そう言いながらも視線はチラチラとアスカに向いている。
ふふふ♪とりあえずそのアスカに対する好意を利用して手伝ってもらうとしますか。
その夜アスカとチウちゃんが寝たあと、俺はリクキチ君と二人で内緒話に興じることとなった。
「さて、君はアスカのことをどう思っているんだね?」
「は、はい!オイラはアスカを愛しています」
ほっほぅ、こいつ弱腰なだけかと思ったらアスカに対する気持ちは本物のようだな。
だがこれは好都合。
ちょっくらその気持を利用させてもらおう。
「ではちょっと俺のやることに手を貸してくれないか?
なぁに、大したことではない。
アスカのためにもやらねばならないこと何でな」
「ならばいくらでもオイラを使ってください!
オイラはアスカちゃんのためなら何でもできます!!」
「うむ、その心意気やよし!
実は頼みごとというのはな……ごにょごにょ」
リクキチ君は話を聞いた後すぐに行動に移ってくれた。純粋な奴だな。
あとはリクキチ君が作業をしている間に総理官邸に乗り込んで直接話をつけに行きますか。
翌朝、アスカとチウちゃんを連れて総理官邸に乗り込んだ俺達は出てくる警備の人間を片っ端から薙ぎ払い、総理大臣に会うことに成功した。
「一応はじめまして、と言っておこうか。
あんたからはいつも刺客を大量に送られていたからいちいち挨拶なんざ不要かもしれないがな」
「なんじゃと!?
ワ、ワシを誰だと思っておるのじゃ!
天下のニホン国の総理大臣、ゴンサーレス・ペケなるぞ!」
テレビで見てたから総理大臣の顔は知っていたがあくどい顔をしているな。
こいつは権力に酔ったタイプの爺さんだろう。
「おいペケじい。
俺は正直お前なんかを潰す必要もないし、シブヤ村を街にしてくれさえすればそれでいいと思ってたんだがさすがに何度も何度も刺客を向けられるのはうっとうしいんだよ。
だからお前を総理の座から落とすためにここに来たんだ」
「な!?
貴様ごとき若造にそんな力などあるはずがないだろう!!」
あれ?まだこの爺さんってば俺に勝てるとでも思ってるのかな?
だが残念。俺は正攻法で片をつけにきたんだよなぁ♪
「この映像を見てもまだそんな事を言ってられるかな?」
俺が総理と話ている間にアスカが用意をしていたプロジェクターで映像を流し始めると途端に総理大臣の顔色が変わった。
それは以前から俺の信者に集めさせた総理大臣と各官僚の不正を行っている映像だった。
あんまりにも俺に刺客が送り込まれるもんだから逆にこちらも送ってみたら警備がザルらしく総理達が色々とわる~いことをしている映像が手に入ったのだ。
さすがにこのデータを公に公開すれば総理は辞めざるを得ないだろう。
「ま、待ってくれ!
その映像に映っているのはワシの姿を偽装した奴に違いない!
ワシがそんな不正をするはずがないだろう!!」
「ふふふ♪窓の外を見てもそんな事が言えるかな?」
総理大臣が窓の外を覗いてみるとそこには街中から集まった鍛冶屋達が座り込みを行っていた。
「俺達鍛冶屋にとっての生き神様に手出して死ぬ覚悟あるんかコルァァァー!」
「総理大臣なんてクソじゃー!」
「俺らのカブラ様に手を出す奴なんぞが総理大臣をやってる間は仕事はせんぞぉー!」
ふふふ、昨日の夜リクキチ君に頼んで総理が俺を嫌って嫌がらせしていることを回覧板に書いて回してもらったら一晩で街中に情報が広まったというわけだ。
さすがに鍛冶屋が全員ストライキを起こしたら総理もどうしようもないだろう。
おまけとして以前チウちゃんに人づきあいの練習のためにブログを始めさせたんだが、歌って踊れる魔女っ娘アイドルとしても人気になったため、魔法関係のチウちゃんのファンまでやってきている。
「どうだ総理よ!
諦めて俺の村を街にするのだ!」
「くくく、かくなるうえは……」
総理は懐から銃を抜いて俺に向かって発砲してきた。
と言ってももちろん避けたんだけどね。しかし総理ともあろう者が軽率な行いをしたもんだ。
「あーあ、やっちまったよ。
このあとどうなっても俺は知らないからな」
俺のセリフのあとに怒号が響き渡り、外で待機していた鍛冶屋と魔法使い達が一斉にブチ切れて首相官邸に乗り込んできた。
「あ、次の総理はもう決めてあるからお前は安心して地獄に堕ちろよ♪」
まぁ、鍛冶屋連中も殺しまではしないだろうがこれでこの総理は全てを失ったな。
「カブラ、最後は僕に任せてくれればよかったのに」
不満そうな声をあげるのはチウちゃんだった。
だってチウちゃんに任せたら本当に殺しそうだったんだもの。
「さっすが師匠だぜ!
村にいたときから刺客が来ていた事をあたしらに気づかせないようにしていたこともそうだけど、この国を統べる総理大臣をあっさりと撃破するなてすげーぜ!」
まぁ、この世界は俺の前にいた地球と違ってぬるい所が多かったからな。
そうしてシブヤ村はシブヤ街となったとさ♪
めでたし♪めでたし♪……でもなんか語呂が悪いな。
これにて完結。エピローグもありますがノリだけで書き始めたこの物語も無事に終えることができましたのは読者のみなさんのおかげです。
ありがとうございました!