第十一話:狩りを始めるのも……悪くない
そろそろバトルっぽいものも混ぜていきます。でも圧倒的な強さの主人公相手にバトルを演出できるキャラを出すと強さのインフレになるんだよなぁ……
と、この作品で学んだからこれ以降の私の作品では「バトルシーンを省略するために」主人公が無駄に強い作品が多いんですよねw
(2012年4月1日:ついでに追記した一文♪)
オウウ山脈。
そこはかつて俺が好きだったマンガで犬たちがでかい熊を倒した地だ。
俺はいまアスカとチウちゃんを連れて特S級の依頼を受けてここにきていた。
「確か依頼だと、この辺に討伐対象のレッドヘルム(熊)がいるそうだから気を抜くなよ。
……ってお前ら何やってんだよ」
振り返って二人を見てみれば、アスカは雪だるま作りに夢中になっており、チウちゃんは俺の外套の内側に潜り込んでぬくぬくしている。
「いやー、あたしってば雪見るの初めてでさ。
ヒロシマ県はニホンで最も優れた気象操作師が天気をコントロールしているから雪なんて降らねーんだよ」
「僕は寒いのが苦手だからカブラと肌を密着させることで暖を取っているの」
いや、まぁいいけどさ。俺らは特S級の依頼の最中にその気の抜き方はないんじゃない?
「師匠がなんとかしてくれるんだろ?
あたしは師匠を信じてるからさ」
「まさかカブラの強さがモンスターには通じないってことはないでしょ?
ここらでカブラの実力が見ておきたいんだ」
「……ふっふっふ。
そこまで言われては仕方がない。
俺の真の実力を見せてやるから二人はのんびりしていろ!」
そういえば鍛冶屋の能力ばかり使って無敵超人の能力を使っていなかったしな。
俺の本気を見せてやろう。
もっとも俺の本気に耐えられるモンスターがいればの話だがな……
「ギャゴゴゴゴォォォォー!」
山の上からこちらを見下ろすように現れたのは体長10mを越える巨大な熊。
「師匠!
あいつが討伐対象のレッドヘルムだぜ!」
「ふーはははははは!よしきた。
この最強無敵の師匠の技をよく見ておけよ!!」
俺はチウちゃんを背負ったまま熊に近づき、まず眉間に一発お見舞いした。
「グゴゴゴゴォ!」
それだけで熊はバランスを崩し転倒。
だが俺の攻撃はまだ終わらない。
「『数え貫手』四、三、二、一!」
俺の貫手は熊の体を貫通したがさらに攻撃は続く。
「脳天を物理的に地獄に落とす蹴りぃぃぃぃー!!」
ふっ、熊は死んだっぽい……かすかに動いているけど。
「さっすが師匠だぜ♪
あたしなんかじゃこんなバカでっかい熊を一人で倒すなんてできっこねーよ!」
「うん、カブラはすごい。
さすがは未来の僕の旦那さんだね。くすくす♪」
二人の応援のおかげで俺はまた強くなれた。しかしこの世界の特S級の依頼ってのも案外俺にとってみれば簡単なんだな。
とりあえずこの熊の毛皮があれば村を野生のモンスターから守るためのバリケードは強化出来るな。
「さて、剥ぎ取りをしたら帰るぞ」
「あぁ~ん、師匠~。
せっかく雪山に来てるんだから遊んでこうぜ~」
「僕もアスカに賛成。
雪山だと女の子は普段よりも三倍可愛く見えるそうだから雪上三倍効果でカブラを虜にしたい」
まったく可愛い奴らだ。
いつの日か俺の手を巣立っていくと気がくるのかもしれないがその日が来るまではこいつらの好きにさせてやるかな…………来るのか?
「わかった。
確かに急ぐ必要はないし、もう少し遊んで行くか」
というわけで依頼の残り時間にも余裕があったので俺達はオウウ山脈で一泊していくことになった。
次の朝、まさかあんな事が起こると知っていればこの時点ですぐに帰ったのだがな……
雪山ってなんか好きなんですよね。緑が生い茂る山もいいけどやっぱり雪山の過酷な環境っぽさが素晴らしい。
山か海かと言われれば断然山派ですね。
2012年4月1日:二次創作禁止一覧に含まれる「技」を使うのも禁止になったので一部修正しました。