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悪虐王子と王命婚することになりまして〜“関わるな”と言われた翌日に溺愛が始まりました〜  作者: 星月りあ


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20/25

殿下からのお誘い

ちょうどピアノを一曲弾き終わった頃に、クライヴがリリアーナの元へとやって来た。


「あら? イヴ、どうしました?」

「聴きそびれた……」

クライヴは沈んだ表情で呟いた。


「え?」

そういえば、前に私のピアノを聴きたいって仰っていたような。


「もう一曲弾きましょうか」

「いいのか?」

クライヴはぱっと顔を上げる。


「はい」

リリアーナの返事を聞いたクライヴは笑みを浮かべた。その笑顔に釣られて、リリアーナも思わず笑顔になった。




**********


「素晴らしい演奏だった」

一曲弾き終わると、クライヴは笑顔で言う。


「ありがとうございます。言ってくだされば、いつでも演奏しますよ」

「ああ。次が楽しみだ」

クライヴは嬉しそうに笑顔を見せた。


これだけで喜んでくださるのなら、いくらでも弾きたくなるわ。


「そういえば私に何かご用があったのでは?」

「ん? ああ、そうだったな。久しぶりに散歩しないか? 見せたいものがあるんだ」




そう言われ、クライヴについていった先には、綺麗な花畑が広がっていた。


「これってスイートピーですか!? それも全部っ!!」

驚いて辺りを見回す。少し前まで、このような場所はなかったはずだ。


「ああ、取り寄せたんだ。リリーが好きだと言っていたからな」


色とりどりのスイートピーがとても美しく、咲き誇っている。


!!イヴに好きなお花を聞かれて私。ただの軽いお話しだと思っていたのに。

「覚えていてくださったのですね」

心が震えるのを感じた。


「もちろんリリーのことだからな。ちゃんと覚えている。これはリリーにぴったりの花だな」

「え?」

リリアーナは首を傾げる。


「柔らかい雰囲気がして、リリーにぴったりだ」

クライヴはそう言って、微笑んだ。


そうなのかしら?

自分ではよく分からなかったが、クライヴの温かい視線に胸が熱くなるのを感じた。


「イヴ、ありがとうございます。とっても素敵ですね」

「喜んでもらえたなら良かった」

「庭師さんが植えてくださったのですか?」

「いや、俺が植えたんだ」

「へ? イ、イヴがですか!?」

「ああ、そうだ。そんなに驚くことか?」

あっさりとクライヴは言う。


もちろん、驚きますよっ。

「てっきり他の方にお任せしているのかと思っていましたもの」

「リリーへのお礼の気持ちを込めてのプレゼントだからな。自分でやりたかったんだ」


実は、この準備はクライヴがリリアーナからクッキーを貰ったあの日から始まっていた。王都には花の名所というものがあり、それが女性に人気だと知り、これを計画したのだ。花屋に行けば花は売っているのだが、苗が見つからず、時間を要してしまった。


「なんだか、逆に申し訳ないような気が……」

王族であるイヴにこんなこと。


「俺が喜んでほしくてしたことだから気にしないでくれ。素直に受け取ってくれると嬉しい」

「はい。素敵なプレゼントをありがとうございます」

リリアーナは満面の笑みで答えた。


「っ!!」

息を呑むような声が目の前から聞こえた。


「イヴ?」

「……な、なんでもない」

そう言いつつ、クライヴはリリアーナのあまりの笑顔の眩さに目を合わせることが出来ずに、視線を彷徨わせていた。

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