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悪虐王子と王命婚することになりまして〜“関わるな”と言われた翌日に溺愛が始まりました〜  作者: 星月りあ


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11/21

久しぶりの再会?

「や、やあ、久しぶりだな」


図書室で本を読み耽っていたリリアーナはじっとこちらを見つめる存在に気がつかなかった。読み終わるとどこかから視線を感じ、振り返るといつの間にかクライヴが後ろに立っており、どこかぎこちない様子で声を掛けられた。リリアーナはびくっと一瞬身体を震わせると、慌てて立ち上がった。


「え?」

久しぶりって私たち毎日会っているわよね?


「えっとお久しぶりです?」

つい語尾が疑問系になってしまった。

だって本当に意味が分からないのだもの!!


「ああ……」

「……」

何この無言の時間は。


「えっと……イヴはどうしてこちらに?」

「えっ、ああ、偶々こっちに用があったというか……」

目が泳いでますよ。なんて分かりやすい……。

思わず苦笑いを浮かべてしまう。


本当に正直な方。

そう思いつつ、そんなクライヴの性格に好感を抱いていた。


「そうでしたか」


クライヴは気まずそうに目を逸らした。ちらりとリリアーナに目を遣るとおもむろに口を開いた。


「何か、欲しいものはあるか?」

「え?」

「き、昨日のお礼だ」

「えっと……」

お礼されるようなことしたかしら?


「クッキーのことだ。美味しかった。……また食べたい」

思わず口を突いて出た。


「嬉しいです。たくさんお作りしますね」

そう返事しつつも若干疑問を覚えていた。


あの懐かしむような視線……。イヴはあれを以前口にされたことがあるの? あれは庶民が食べるようなシンプルなものなのだけど……。


あら? そういえば昔、男の子にあげたような……まさかね。

もう十年近く前のことだから、リリアーナの記憶も定かではなかった。


「ああ、ありがとう。あっ……」

「イヴ? どうかされましたか?」

「お礼をしたくて来たのに、これでは同じ繰り返しになるだけだな」

「ふふっ、そうですね。でも、お礼なんて気にしなくても大丈夫ですから。私の方こそたくさん気にかけて頂いていますけれど、何もお返し出来ていませんでしたから。私がここで役立てることなんてありませんし、少しでもお役に立てる嬉しいのです」

「っそんなことない!!」

クライヴの珍しく大きな声に、はっとして顔を上げた。


「あっ、驚かせてすまない……。だが、リリーに救われているのは俺の方なんだ。だからそんな風に言わないでくれ」

「それってどういう……」

「リリーがここに来てから悪夢を見ることも減ったし、何より毎日が楽しいんだ。憂鬱だったあの頃とは大違いだ。本当に感謝している」

「っ……」

リリアーナはクライヴの真っ直ぐな視線に胸が熱くなった。


「それなら良かったです。私も楽しく過ごさせてもらっていますし、イヴには感謝しています」

「そうか」

短い返事だけだったが、頬が緩んでいるのが見て取れた。


「さっきから言おうと思っていたんだが、敬語もいらないぞ」

「い、いえいえっ!! さ、さすがにそれはっ」

愛称でお呼びするだけでも畏れ多いのに。


「……ならいつかの楽しみに取っておくか」

そう言って彼は笑った。

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