表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
7/50

青い木に実る春

一週間後――

春の陽差しがようやく暖かくなり始めた頃、掲示板に貼られた「生徒会選挙・結果発表」は、生徒たちの注目の的になっていた。


《生徒会長:南坂 和葉(2年)

副会長:浅山 風香・浅山 優香(2年)

書記:青木 実(2年)

庶務:古賀 治人(2年)

会計:臼井 學(2年)

広報:新井 紗奈(2年)》


ざわめく声の中、治人は掲示板の前で立ち尽くしていた。

何度も目をこすったけど、名前は確かにそこにあった。俺の名前が、「生徒会」の中に。


「治人ー!」

後ろから駆け寄ってきた青木実が、勢いよく彼の肩を叩いた。

「やったね! 一緒に生徒会だよ!」


「う、うん……」

嬉しいはずなのに、実感がわかない。

けど、隣にいる実の笑顔が、夢じゃないことを教えてくれた。


その時、ひょっこり現れたのは、少し鋭い目つきと、整った黒髪を持つ少女――新井紗奈だった。

「へぇ。君が古賀くん? …演説、悪くなかったよ」

クールそうな第一印象とは裏腹に、彼女の口調には少し照れが混じっていた。


「えっ、あ、ありがとう…」

「私、広報担当になったから。ちゃんと“庶務”の君を紹介記事で目立たせてあげる。いいよね?」

そう言って、にっと笑う新井紗奈。治人は苦笑いしながら、小さくうなずいた。


そこへ、別方向からズカズカとやってくる二人の女子――瓜二つの双子、浅山風香と優香。

「副会長は二人で私は浅山風香。もう一人は双子の妹の…」

「風香だよ!よろしくね~!」

ハイテンションな妹とポーカーフェイスの二人の勢いに、治人は思わず一歩引いた。


最後に現れたのは、無言で歩いてきた一人の男子、生徒会長・南坂和葉。整った顔立ちと落ち着いた雰囲気が、まるで空気を静かに支配するようだった。

彼は皆に視線を向け、簡潔に、でも確かな声で言った。


「これが、俺たちの新しい生徒会か。――悪くないな。」


そして、彼は治人の前で一度だけ、静かに頷いた。

それだけで、治人の胸に何か温かいものが灯る。


実が笑う。「これから、大変だよ~?」

治人も、小さく笑った。


「うん。でも…楽しみだ。」


こうして、8人の新たな生徒会は静かに、そして確かに始動した――。

次の物語が、今ここから始まる。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ