あの校舎
昼休み。教室はいつものように賑やかだったが、治人たちは落ち着いた空気の中で弁当を食べていた。
「ねぇ、再来週中間テストだよ!」
「えっ、やば!レポート終わったばかりなのに…」
夢咲はおっとりと微笑みながら答える。
「まあ、少しずつ進めれば大丈夫だよね。」
そんな会話が続く中、伏見がふと立ち上がった。
「ごめん!少しトイレ!夢咲先輩もついてきてくれませんか?。」
夢咲は驚いたように伏見を見上げるが、すぐにゆっくりと頷いた。
「うん、いいよ。」
二人は席を立ち、教室を静かに出て行った。
治人は何も言えず、ただ見送る。
時間が経っても二人は戻らない。
「おかしいな…」
「うーん。私少し見てくるよ。」
「ありがとう。」
少し不安になった諸星は学校の中庭を出て、二人の姿を探しに廊下へ向かった。
しかし一は近くのトイレに向かっても彼女たちは見つからなかった。
治人達に諦めて報告しようとしたその時。
旧校舎の方角を見ると、ちょうど伏見と夢咲がそっと出てくるのを見かけた。
二人は何かを話しながらも、急いでいる様子はなく、ただ旧校舎を後にした。
諸星は声をかけるか迷い、結局そのまま見送ることにした。
戻った諸星は、心の中で何かが引っかかっているのを感じていた。
「ごめんね!遅くなっちゃって」
「すみませんッス!パイセン達。」
午後の授業も終わり、駅のホーム。今日は夢咲と馬場、そして、伏見も部活だ。
「ねぇ言いたいことがあるんだ。」
諸星が改まって言う。周りの青木と治人は緊張感を高める。
「実は私今日の昼休み、あの二人を探しに行った時旧校舎?から出ていくのを見つけたの」
「え?」
青木が困惑する。
「旧校舎って確か立ち入り禁止だったような…?」
「合ってるぞ色々あって取り壊されてないけど。」
「その色々ってのは?」
諸星が質問をする。
「知らん。」
即答だ。
「一回行ったことあるけど気味悪いし、虫いるし、で最悪だった。」
「うーん?なんでそんなところに?」
「明日調べてみる?」
そんなことを諸星が言おうとした瞬間。それを遮るかのように列車がやって来た。
「あっごめん電車来た。また明日。」
そう言って別れた




