こんにちは!伏見さん!
昨日の打ち上げが嘘かの様に静かになった治人達。しかし、その静かさが妙にリアルさを増させる。
昼休み。治人達は仲良く昼ご飯を食べていた。
「ねぇ、再来週中間テストだよ!」
「えっやば!レポート終わったばかりなのに…」
そんな他愛もない話しをしながら、いつものやつ昼休みが終わる。
ーーはずだった
「馬場パイセン!みーつけた!」
元気な声が廊下の向こうから響いた。
振り返ると、ポニーテールを揺らした一人の女子が、馬場に向かって一直線に駆け寄っていく。
「伏見!?お前!」
「お久しぶりです!パイセン!」
「馬場君の後輩…?」
諸星が少し、困惑する。
「あ〜コイツは伏見蓮。俺の中学の時の後輩。ていうかお前別の高校のはずじゃ…」
「よろしくね。伏見ちゃん。」
夢咲が挨拶をする。
「よろしくお願いします!先輩!お名前は?」
「夢咲杏奈です。」
「も、諸星…真奈です…」
「古賀治人です。」
「青木実です!」
「みなさんよろしくお願いしますっス!」
蓮が元気よく、ハキハキと喋る。
「おし、話しを戻すが…お前はなんでここにいる?」
馬場は焦りながらも冷静に質問する。
「親の都合で…色々あって一番近いのここなんでここにしました。」
「なら良いんだが…」
謎が解けた馬場は教室に蓮を誘う。
昼休みの教室は、急に賑やかさを取り戻した。伏見蓮が加わったことで、いつもと違う空気が流れている。
夢咲が興味津々で伏見に質問した。
「伏見ちゃんって、どんな中学だったの?」
伏見は明るく笑って答えた。
「うちの中学はちょっと変わっててね、部活も自由で、みんな好きなことやってた感じかな。馬場パイセンはいつも一生懸命で、みんなの頼れるリーダーだったよ!」
諸星が小声でつぶやく。
「へぇ、そうなんだ…」
青木が気になって聞いた。
「馬場パイセンって、結構みんなに慕われてるんだな。」
馬場は照れ臭そうに頭をかく。
「黙れ。そんなことないって…ただ、蓮は熱い後輩なんだ。」
治人は少し笑いながら、みんなの様子を見ていた。
「こうやって後輩が来ると、なんか初心に戻れるな。」
その時、伏見が突然真剣な表情で言った。
「馬場パイセン、実はちょっと相談したいことがあって…」
みんなの視線が一斉に伏見に注がれた。
馬場は少し驚いたように伏見を見つめ、ゆっくりとうなずいた。
「いいよ。何でも話してみな。」
昼休みの教室に、これからの物語を予感させる静かな緊張が漂い始めた。
 




