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あの夕日

いつもの放課後。チャイムが鳴り響く。特に予定もない為、いつもの4人で、いつものように帰る。

古賀君は肩にカバンをかけて夢咲さんと楽しそうに喋っている。私は邪魔したら申し訳ないと思い、一歩く。「実?」

馬場君がいきなり話しかけてくる。

「あっなんでもない。少し疲れてて。」

少し昔のことを思い出す。

古賀君と出会ったのは小学生のころ。あの頃は、まだみんな無邪気で、自然と一緒に遊んだり、喋ったりしていた。でも、ある出来事をきっかけに、古賀君はぐんと人気者になった。あの頃から、彼は学校中の注目を集める存在になったんだ。


その変化から、だんだんと私たちの距離が開いていった。最初はあんなに一緒にいたのに、今は、彼が他の人たちと過ごす時間が増えて、私のほうから声をかけることも少なくなった。


その頃から、私は他の子たちとも遊ぶようになり、だんだんと古賀君との会話も減っていった。彼の周りには、いつの間にか、私が知らない子たちが増えて、気づけば私は一歩引いたような気がしていた。


でも、どこかで、私は彼とまた普通に話したいと思っていた。あの頃のように、気負わず、ただ一緒にいるだけで楽しかった日々を取り戻したいと思っていた。



「おい、実、元気ないのか?」と、馬場君が心配そうに声をかけてきた。私はその問いに一瞬だけ立ち止まり、少し考え込んだ。


「うん、ちょっとね。」私は笑って答えるが、その笑顔の裏には、あの日々のことを思い出す自分がいた。


治人は私にとって、ただの幼なじみではなかった。小さい頃から一緒に遊んでいたけれど、彼が人気者になってから、どこかで「普通の幼なじみ」として接することができなくなっていたのだろうか。それとも、私自身が心の中で少しずつ、彼に対して特別な感情を抱くようになったからだろうか。


それに気づいた時、私はもう彼に何も言えなくなっていた。お互いに忙しくて、いつの間にか会話が減ってしまったけれど、彼のことを考えない日はなかった。だから、今でもこうして一緒にいることが、少しでも特別だと思いたかったのかもしれない。


「何かあった?」と、馬場君が再度問いかけてきた。彼は昔から、私が何かを隠すとすぐに気づいていた。だからこそ、少しだけ心の中で違和感を感じていた。


「大丈夫だよ。」私は再び答える。でも、心の中ではどうしても、彼のことが気になってしまう。



古賀君が今、夢咲さんと話している様子を見ながら、私はふと昔のことを思い出す。彼はやっぱり、昔と変わらず、誰とでも楽しそうに話すし、みんなの中心にいるような存在だった。


「実も、少し疲れてるみたいだな。」馬場君が軽く笑いながら、私の肩をポンと叩いてきた。


「うん、そうだね。」私はその手を感じながら、少しだけため息をついた。


「でも、無理して笑ってないか?」馬場君は少し真面目な顔をして、私を見つめてきた。


その言葉に、私は少し驚いた。馬場君がこんなに私のことを気にかけてくれるのは、正直思っていなかったからだ。でも、その優しさに少しだけ心が温かくなるのを感じた。


「ありがとう、馬場君。」私はそう言って、顔を上げた。空はもう少しで夕焼けになるところだった。


「それより、帰り道、一緒に歩こうぜ。」馬場君は私にそう言って、手を差し出した。


私はその手を取ると、ふっと笑った。それが、少しだけ心の中で安らぎを感じる瞬間だった。


帰り道、古賀君と夢咲さんが先に行っているけれど、私は馬場君と一緒に歩きながら、少しだけ気持ちが軽くなるのを感じていた。



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