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合宿

「はい、今日集まってくれてありがとう。」

そう言ったのは、生徒会顧問の須賀修すがおさむ先生だった。少し眠たげな目と、着崩したネクタイ。生徒からは″平凡先生”なんてあだ名もついてるが、なんだかんだ生徒思いな先生だ。


「実は二週間後、パンフレット作りのために、写真部と合同合宿に行くことになった。」

その一言で、生徒会室の空気が一気にざわつく。


「合宿って……泊まり、ですか?」と、青木実が慎重に確認する。


「うむ、泊まりだ。場所は古鳥高原の宿泊施設。広報用の学校パンフレットのために、写真部の協力を仰ぐことになった。もちろん、生徒会も運営サポートと撮影に同行する。」


「……合宿……ですか……」と小さく呟いたのは、臼井學だった。本人から聞いたが、告白が失敗してしまったらしい。そのせいからか、まだどこか元気が戻っていない。


その様子に気づいた新井紗奈がそっと声をかける。


「あんまり、無理しなくても——」


「行くよ。」


臼井ははっきりと言った。少しだけ、目が前を向いているように見えた。


「勇気出さなきゃ…。」


一瞬、新井が驚いたように目を見開いたが、すぐに柔らかく微笑んだ。


「……そっか。」


須賀先生が再び口を開く。


「荷物リストと日程は後で配布する。男女別の部屋割りだからな、変な期待はするなよ。あと風紀はしっかり守るように!」


「せ、先生……それ余計に怪しく聞こえます……」と南坂会長がぼそりと突っ込む。


そんなふうにして、合宿に向けての準備が始まった。失恋の痛みを抱えながらも、臼井は新たな一歩を踏み出そうとしていた。

会議が終わった後、馬場と夢咲さんが話しかけてきた。


「ねぇ合宿、楽しそうじゃね?!」と馬場が声を上げる。「えっ、なんでそれを?」

「なんでって…私達写真部だよ?まさか生徒会と一緒だとは思わなかったけど」と夢咲さんが苦笑する

「えっそうなの?」初耳だ。

「まぁ楽しみだな!」


**


合宿当日。朝早く、バスに乗り込んだ生徒たちはワクワクと期待を胸に抱えていた。目的地は古鳥高原、山間の静かな宿泊施設だ。


バスがサービスエリアに着くと、賑やかな車内はもっと賑やかな空気に包まれる。


「おっ、のどかなところ、楽しみだな!」と、馬場が一言。


「楽しみにしてるけど、パンフレットのためにちゃんと撮影もしないとね」と、夢咲杏奈が真面目な顔で言う。


「それにしても、写真部ってどんなメンバーなんだろう?」と、青木実が気になる様子で尋ねる。


「よし、紹介しよう!」と、馬場が手を挙げた。そう言って、彼は写真部のメンバーを紹介し始めた。


「まず、こちら!我らが写真部の部長、宮本一葉みやもと いちよう!彼女は静かでちょっと神秘的だけど、カメラに対する情熱はすごいんだ。」と馬場が紹介する。


宮本一葉は、少し大人っぽい雰囲気を持つ、黒髪のショートカットの女子生徒だ。制服のスカートを少しきちっと整えながら、どこか遠くを見つめるような瞳でみんなを見渡す。その冷静な雰囲気に、一瞬、場が静まるが、すぐに一葉は微笑んで手を軽く振った。


「よろしくお願いします。」彼女の声は、どこか静かな温かさを感じさせる。


次に、馬場は一歩前に出て、「そして、次は!我らが写真部の副部長!田中恵たなか めぐみ!」と声を上げた。


田中恵は、少し恥ずかしそうにしているが、まっすぐな瞳でみんなを見つめる。長い髪をポニーテールに結んでおり、スポーティな雰囲気だ。いつも明るく、誰とでもすぐに打ち解けるタイプで、写真を撮ることが好きだということが顔に表れている。


「みんな、よろしく!」と元気よく手を振った彼女に、思わず生徒会のメンバーたちも笑顔で手を振り返した。


「次に写真のセンスピカイチ!夢咲杏奈!」

いつも通りの夢咲さん。優しくて、何より美人。

「更にこの男!我らが写真部の新星、藤井航ふじい こう!」と馬場が紹介すると、藤井航がちょっと照れながら立ち上がった。


藤井は背が高く、明るい茶色の髪を少し流している青年だ。写真部ではまだ新しいメンバーだが、カメラの腕は確かなものがあり、次期部長候補とも言われているらしい。


「よろしく……」と少し照れたように言う藤井は、少し硬い笑顔を見せる。

「写真部顧問!小鳥遊 (たかなしけい)先生!」

特徴的なロングヘアーに大きくて特徴的なバッグ、何より背が高い。

「最後、俺、馬場晴人!」

馬場晴人だ。以上。特に言うことなし。

「以上、写真部メンバーの紹介でした!」馬場が満足そうに言うと、皆が拍手を送った。


「じゃあ、これからみんなで頑張ろうぜ!」と、馬場が続けて言うと、写真部のメンバーたちも元気よく返事をする。


「うん、頑張ろう!」


「よろしくね!」と、各々がきりやそれぞれ笑顔を見せ、合宿に向けた気持ちが少しずつ高まっていった。




「みんな、よろしくな!」と馬場が締めくくる。


「よろしくね!」と、夢咲杏奈も軽く手を振る。


「よろしくお願いしまーす!」と、他のメンバーも揃って声を上げた。


「うーん、みんないいメンバーだね。」と青木が納得したように頷く。


「これで、撮影も楽しくなりそうだ!」と馬場が満面の笑みで言った。


そんなこんなで、バスは目的地に向けて進んでいった。


**


到着した宿泊施設は、周囲を自然に囲まれた静かな場所。建物自体は古めかもしれないが、その分落ち着いた雰囲気があり、心地よい空間だった。


「さて、まずは部屋の割り振りだ。」と須賀先生が告げると、生徒たちはそれぞれの部屋に向かって歩き始める。


臼井は少し緊張した面持ちで、案内される部屋に向かう。


**

写真部がパンフレットに使う写真を撮り、生徒会がその環境などを直接見て、感想を書いたりする、と言うものだった。1日目は皆真面目に仕事をした。

夜、温泉で少しリラックスした後、臼井は一人で庭のベンチに座っていた。少し暗くなった空の下で、静かな風が吹いている。


「……もう、何やってるんだろうな、俺。」

そうつぶやきながら、臼井はふと空を見上げる。失恋してから、どうしても気持ちが沈んでいた。


その時、後ろから足音が近づき、臼井は振り向くと、新井紗奈が立っていた。


「……あれ、紗奈さん?」


新井は少し驚いた顔で微笑みながら、「うん、話があるんだけど。」と、静かに言った。


臼井は少し緊張して座り直す。「話、って?」


「昨日、告白してくれたけど、ちょっと答えられなかった理由を話したくて。」

新井は少し黙ってから続けた。「私、臼井くんのこと、全然嫌いじゃないよ。でも、まだあなたのことを友達としてもっと知りたいと思ったんだ。」


臼井は驚いたように目を見開く。


「だから、友達から始めてみようって思ったの。」

新井の言葉に、臼井はしばらく黙って考えた後、静かに頷いた。「……分かった。」


「ありがとう。」

新井は少し照れくさそうに微笑んだ。


その後、二人はしばらく無言で庭を眺めていた。


**

晩御飯の時間。

メニューはカレーとフルーツとサラダ。

「明日からは自由行動なんだよね?」

実が興奮した様子で聞いた。

翌日、合宿のイベントが始まる。臼井は少しずつ気持ちを整理しながら、仲間たちと一緒に楽しい時間を過ごしていく。


少しずつ前を向いて進み始める臼井。その先にどんな未来が待っているのか、まだ分からないけれど、少なくとも今日一歩、踏み出すことができた。


写真部員、顧問は夢咲と馬場以外設定を狂わせない為に登場させたモブです。忘れても良いです。今のところ登場させる予定ないです。もしかしたら登場させるかも。

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