お伽噺の終わりは
「・・・めでたし、めでたし」
王様は、難しそうな顔をしていました。
それに気付いた旅人は、ぼんやりと処刑の事を考え始めていました。
「おい、それでこの話は終わりなのか?」
「えぇ、そうですよ」
全てを吹っ切ったように・・・というよりはもう半ば自棄気味に言ってます。
「なんか・・・めでたく終わったのか?何だかバッドエンドに聞こえたが・・・」
「気のせいですよ。この娘は最終的にはシンデレラになれたんですから」
「うむ・・・確かに。その後花子はどうなったんだ?」
「王子様と一緒に世界制服でもしたんじゃないんですか?あ、その前に継母一家を倒さなきゃいけないのか」
「その先は無いのか?」
「当たり前ですよ。この後何を続けるんですか。この話はシンデレラになる話なんですから、シンデレラになったらそこで終わりなんですよ」
「そ、そうか。ところで、話の途中に出てきた日本やら遊園地やら交番やらタクシーやら会社とは何だ?話に大きな支障は無かったが、よく分からなかったぞ」
「それは、先の未来になれば自然と分かることになりますよ。それよりも処刑されるんでしょうか?」
「処刑はまだせんよ。まだお前から沢山の物語を聞いてみたいと思った。処刑はそれからだ」
旅人が語れる物語はこの一作だけだったが、王様に次の物語を語るように頼まれる度に旅人は物語を適当に想像し、王様に物語をした。
ある王国に、物語を聞くのが好きな非常に物知りな王様がいました。
その王様のいる王国は、ありえないくらい平和で、ありえないくらい先進技術を司る国でした。
周りの国は王様の王国とは比べ物にならない位の小さな国で、その気になれば一両日中に潰せるほどの弱小国でした。
王様の王国にいる民も、王様に反逆しようという意思を抱くような民はおらず、むしろ博識な王様の指示仰ぎ更に良い国にする為に毎日ある程度仕事を頑張っている程度の民しかおりませんでした。
そういうわけで、今日も王様は物語を聞いて一日を消費していくのでした。




