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お伽噺  作者: 綜
5/8

自称シンデレラ004



「あの家族・・・!」



自称シンデレラは何かを知っているようですね。

自分の推理を探偵の如く語ります。



「継母は私が来ることを予期していなかった。だからありもしない課題が終わったのか?などと聞いてきた。そして、私がそれ聞いて戸惑うと思ったようだけど残念だったわね。私が迷わず答えることで、疑い難くなったのよ。更に、継母に私を騙したのかと問うことで、お父様の不信感が煽れるわ。・・・失敗したけど。まぁ、それはさて置き!ここからがあの一家の技よ!」



もはや推理を語るというよりは、継母たちの発想に驚き賞賛しているようにも見えるんですが。



「義姉を疑い、家族平等の精神を示したのね、私の変わりに義姉に留守番をさせようとする振りをしたのよ。そこで、もう一人の義姉が庇うの。約束を守ることの大事さを訴えかけた。それに心を打たれたのかのように、継母が私にまるで悪いことをしたかのように謝る。くそっ!見事な連携プレイだったわ。あんな短時間に、あれほど巧みな作り話を作れるなんて!そして、この私を返り討ちにするなんて!私としたことが、一生の不覚だわ!待ってなさいよ、必ず舞踏会に行ってやるわ!」



やっと自称シンデレラの解説が終わりましたね。

長かったですね。

危うく眠ってしまうところだった。

始めの義姉が兄の悟で、もう一人の義姉が妹の千晴ですね。

自称シンデレラ未だに勘違いしてます。

そして、遊園地です。

舞踏会も違います。



「こんなことをしている場合じゃないわ!早く追わないと!」



玄関で呆然としていた自称シンデレラは我に帰ると、何処かへ走っていきます。

なりふり構ってません。

正直見苦しい勢いで、何処かへ行ってしまいました。



「着いたわ・・・」



誰に言うわけでもなく、自称シンデレラは呟きました。

そこは、ごく普通のありきたりな交番でした。

自称シンデレラは、威勢良く交番に入ります。

一体何をするつもりなんでしょうか?



「すみません!」



自称シンデレラは、突然交番にいる初老の警察官に向かって声をかけました。

初老の警察官がどうしたのかと聞いてきます。



「あの、私・・・迷子になってしまったんです。家族と一緒に遊園地に向かったはずなんですけど、家族と逸れてしまって・・・」



「お嬢さんの家はこの近くかい?」



初老の警察官は、自称シンデレラを家まで送り届けるつもりのようです。

自称シンデレラは、困ったように言います。



「いえ、家から3,4時間かけてここまで来たもので・・・」



「じゃあ、家の電話番号とか、家族の電話番号はわからないかな?」



初老の警察官は根気強く自称シンデレラに訊ねます。



「家の番号はわかりますけど、家には誰もいません。家族の携帯の電話番号までは、覚えてなくて、すみません」



自称シンデレラが、泣き始めます。迫真の演技です。

初老の警察官は戸惑いを隠せずオロオロとしています。

そんな初老の警察官を見て、自称シンデレラは思わず笑みが出てきてますが、動揺している初老の警察官は気付きません。



「あの、もういいです。これ以上ご迷惑はお掛けできませんし、とりあえず自分で遊園地まで行ってみます。有り難う御座いました」



初老の警察官は、慌てて自称シンデレラを呼び止めました。



「お嬢さんこの近くの人じゃないんだろう?だったら遊園地まで連れて行ってあげるよ」



初老の警察官は、若い警察官を呼ぶと、簡単に説明してから仕事に引き返しました。

若い警察官が、車に連れて行きます。

自称シンデレラがガッツポーズを取っているのは、気のせいでしょうか。



「お譲ちゃんが行くのは、この近くの遊園地で間違いないんだね?」



「はい。ご迷惑お掛けして、申し訳ありません」



それから、若い警察官と、自称シンデレラはそれなりに会話をして、遊園地まで連れて行ってもらいました。

交通費が要らなくなるならこれくらいの芝居は易い物のようです。

狡賢い自称シンデレラですね。

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