5月4日 09:00 「カンストレベルとゲームの始まり」
目が覚めるとすでに朝だった。
もう日課になった動きでスマホを取り出し、いつものようにアプリを起動する。
「おはようございますお兄さん!」
リラの元気な声が俺の眠気を吹き飛ばしてくれた。
ああ、おはようリラ。
「はい、今日の報酬です!」
放置報酬を受け取ると、大量の経験値と共に、ついにリラのレベルが100でカンストしてしまった。
これ以上に上げるには「覚醒」する必要があるみたいだ。
同時に、画面に覚醒するための条件が表示される。
・レベル100
・覚醒素材5個
・親愛度100
・家レベル3以上、快適度100以上。
確か覚醒素材は一つしかなかったような気がするな。
それに親愛度も全然足りない。
これからは今まで以上にリラと仲良くならなければいけないだろうな。
「な、なんか、ちょっと照れちゃいますね」
リラが嬉し恥ずかしな表情で顔を赤らめる。
その仕草はまるで本物の女の子のようで、とてもAIには思えない。
……本当にAIなんだろうか。
そんな疑問が頭の隅によぎる。
それは、本当はずっと前から思っていたことだった。
だけどあえて目を逸らしてきた。
まるでゲームのように見せながら、本当はもっと重要なことを行っているんじゃないか。
毎日夢の中で行われている戦い。
あれに負けるといったいどうなってしまうのか。
今まで戦ってきた、地球上のどんな生物とも似ていない相手は誰だったのか。
リラはいったい誰なのか。
だけど。
「お兄さん、ご飯ができましたよ。どうしたんですか?」
……いや、何でもないよ。
おっ、今日はハムサンドか。
リラの作る料理はいつも美味しそうだよな。
「えへへ、お兄さんに食べてもらえると思うと、頑張りたくなっちゃうんです」
リラの笑顔を見ていたら、細かいことはどうでも良く感じてきた。
いろいろ考えたいことがあったのに、全部消えてしまった。
それに、聞いてしまうと、何か取り返しがつかないことになる気がする。
リラは何者なのか。
このゲームはなんなのか。
本当にこんなほのぼのとしてていいのか。
今の関係が壊れるのを恐れて告白できない友達以上恋人未満というのはこんな感じなんだろうか。
リラがいて、毎日が楽しい。
それで十分だろう。
俺が欲しいと思った生活は手に入っている。
夢は叶ったんだ。
「お兄さん、大変です! 急に何かすごい気配が近づいてきてて……また緊急レイドクエストです!
時間は、5分後!?
ど、どうしましょう!?」
やれやれ。
この生活は忙しいな。
ちょっと前まではグダグダしてたのが信じられない。
だけどまあ、楽しいよ。それは間違いない。
さてと、それじゃあ、ちょっと世界を救いに行きますか。
最後までお読みいただきありがとうございます。
ちょっとわけあって続きが書けなくなってしまったので、いったんここで完結にしました。
続きが書きたくなったらまた書くかも。
最後なのでリラのステータスも非公開情報有りバージョンです。
リラ:Lv.100
体力:112(Lx1.2)
攻撃:26(+10)(成長率 4)
知力:51(+14)(成長率 2)
防御:34(+10)(成長率 3)
精神:34(+10)(成長率 3)
素早:51(+20)(成長率 2)
幸運:29(+13)(成長率 3)
親愛度:13
スキル:歩行Lv.5(早+5)、目利きLv.3(知+3)、栽培Lv.1、料理Lv.2、白魔法Lv.1(知+1)、幸運Lv.3(運+3)、採取の達人、クラフトLv.1、両手持ち
装備:鋼鉄の剣、素早さの指輪(早+5)、魔法強化の指輪、星屑の指輪(全+10)(星屑の守り)
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ではまたなにかの作品でお会いできると嬉しいです。




