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5月3日 15:00 「緊急レイドクエスト」

そろそろ緊急レイドクエストの時間だ。


ついさっき放置報酬を使ってリラのレベルを71に上げた。

拾った新しいアイテムも装備させたし、おやつに食べたドーナツの料理バフもついている。

戦力的には、今できる中では最高にしたはずだ。

今の俺たちにできることはこれ以上何もない。

あとは実際にイベントが起こってから考えるとしよう。


画面の中でリラがソワソワしはじめた。


「うう……、いったい何が起こるんでしょう……緊張して来ました……」


そうだな……

所詮ゲームのイベントだしな、なんて思っていた俺も、なんだか緊張してきた。


そもそもこのゲーム、今までバトルなんて全くなかったからな。

その割には剣とか魔法とかあるから変だなと思ってはいたんだが。


「怖い人とか来ないですよね……?」


それはわからないが……今のリラより強いやつなんてそうそういないだろうから、そこは気にしなくても大丈夫だよ。


「なんかお兄さんにそう言われると、そんな気がしてきました」


リラが、少しだけ安心したように笑みを浮かべる。

うんうん。やっぱりリラは笑顔が一番似合ってるな。


そうこうしているうちに、ついに時間となった。

画面が一瞬暗くなり、やけにバカでかい文字が現れる。


<緊急レイドクエスト開催! 大地に飛来した星屑の樹を伐採せよ!!>


んん? 木を伐採しろ?

そんなのいったいどこに……


「お兄さん大変です! 家の前におっきな木が!」


リラの悲鳴を聞きつけて放置画面に行ってみると、家の前に超巨大な樹が現れていた。

木の幹だけで家の数倍はある。てっぺんは完全に画面外にまで伸びていて、どこまで続いてるのかわからなかった。

根っこも人間の同じくらいの太さがあり、地面はまるで大地震後のように地割れが……って、俺の植えた苗が全滅してるじゃないか!


ぬぬぬ、その配置を考えるのは大変だったんだぞ。

許せん!

リラ、その巨大な木を伐採しろ!


「はい、わかりました! 私のお兄さんの家を壊すなんて、許しません!」


珍しくリラも怒っているようだった。

手にした剣を持って巨大な樹に切り掛かっていく。

その腕が振るわれるたびに、木の幹がどんどん削られていった。


が、根だけでもリラと同じくらいの大きさがある樹だ。

多少傷つけたくらいじゃビクともしない。

それにレイド時間は「残り14分」となっていた。


このペースだと流石に間に合わなそうだ。


……いや待てよ。

そういえばクラフトに確かあれがあったはず。

ええと確か武器の欄に……あった、これだ!


・鋼鉄の斧:鋼で出来た斧。樹木特攻。


いつのまにか武器の種類が鉄から鋼鉄にランクアップしていた。

素材はもう大量に余っているから、いちいち確認してなかったんだよな。

まあいい。今はそんなことを気にしてる場合じゃない。

すぐに作って、すぐリラに装備させた。


「あっ、これだと木がすごく切りやすい気がします!」


リラのいう通り、さっきの倍近い速度で木の幹に亀裂が走っていく。

やはり木を切るといったら斧だよな。樹木特攻もこの時のためだったのかもしれない。


しかし……


>レイド時間残り5分です


10分ほど経過したが、木はようやく半分まで削ることができただけだった。

まずい、これじゃあレイド時間に間に合わない。


「うう……大丈夫です、まだ頑張れます」


いや、明らかに疲れて効率が落ちてるじゃないか。

いったん休んだ方がいい。


コマンドではちみつレモンをリラに与える。

使用すると即座にスタミナと体力を回復させる便利アイテムだ。

こんなこともあろうかと作っておいてよかった。


「うう、甘くて美味しいです……」


リラが疲れた声を出しながらも、美味しそうに食べる。

とはいえこのままじゃクリアできない。

なにか打開策は……

と、アイテム欄を見ていた俺は、それに気がついた。


放置宝箱(24時間)。


これだ! もっと先まで貯めておくつもりだったけど、今こそ使うべき時!

さっそく使用する。

丸一日放置した経験値とアイテムが即座に手に入った。


>リラのレベルが72から86に上がりました!


ぬぬ、やはり上がり幅が小さくなってるか。

レベルが上がるほど必要経験値も増えるだろうから当然だろうが。

とはいえ、無いよりはマシだろうが、もっと一気に逆転できるようなものがあれば……


ん、「ランダムアイテムボックス」?

どこかでこんなのを見つけた気がするけど、ログインボーナスだっけ?

まあなんでもいいか。使ってみればわかるしな。

残り4分。今はできることはなんでも試してみよう。


>ランダムアイテムボックスを開封しました。

>ランダムスキルオーブを手に入れました


初のアイテムだな。

どうやらランダムでスキルがひとつだけ手に入るらしい。

3つから選ぶ普通のオーブの下位互換みたいなものか。


今はもうこれに賭けるしかない。

頼むぞ……

なにかいいスキル、来い!


>リラはスキル「両手持ち」を獲得しました。


……おおおっ!

これは大当たりじゃないか!?


よしリラ、斧を「両手持ち」だ!


「え? は、はい、こうですか!?」


リラが斧を両手で構え、大樹に打ち付けた!


ズドン!


大きなエフェクト音が響く。

さっきよりも明らかに削れる速度が上がっていた。

よしこれなら、ギリ間に合う、か……!?


残り時間1分。

樹の残りもあと1割くらい。

時間が切れるのが先か、切り倒すのが先か……


……いや、ギリギリ間に合わない!

くっ、あと数秒でいい!

なにか、なにか数秒早める方法は……!


……そうだ!

俺は指先を伸ばして、全力でリラの頭をなでまくった。


頑張れリラ! リラはいい子だからできる! 限界を超えられる! がんばれええええええええ!!


「はわ、はわわっ! そ、そんなに撫でられたら、嬉しくなっちゃいますよー!!」


ハートマークが大量に飛びかい、斧を振る速度が一時的に倍加する。

よし、これなら……!


残り5秒、4秒、3秒、2秒、……


……バキン!!


そんな音がして、大地に降り立った「星屑の大樹」が根元から倒れはじめた。


>レイドボスの討伐を確認しました! クリアおめでとうございます!


そんな文字と共に、クリアのファンファーレが鳴り響く。

レイド時間残り1秒。

なんとかギリギリでクリアできたようだな。

リラ:Lv.86

体力:103

攻撃:21

知力:44(+4)

防御:29

精神:29

素早:44(+10)

幸運:29(+3)

親愛度:8

スキル:歩行Lv.5(早+3)、目利きLv.3(知+1)、栽培Lv.1、料理Lv.2、白魔法Lv.1(知+1)、幸運Lv.3(運+2)、採取の達人、クラフトLv.1、両手持ち

装備:鋼鉄の斧、素早さの指輪(早+5)、魔法強化の指輪


お読みいただきありがとうございます。

がんばって毎日複数回更新していきたいと思いますので、ブックマークや、評価などで応援していただけると大変励みになります!


次回「5月3日 16:00 「クリア報酬」です。

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