5月3日 10:00 「産業革命」
リラが作ってくれたのは「照り焼きチキンサンド」だった。
本当ならただのチキンサンドだったはずなのだが、料理スキルのおかげでレアリティが上がって上位アイテムになったみたいだった。
早速取り出して食べることとする。
うおお……作り立てのパンの美味しさはマジでハンパない。
今まで食べた料理の中で美味しいかもしれない。
「も、もう、ほめすぎですよお兄さん」
いやいやマジだって。
だってほら、美味すぎてもう食べ終わっちゃったもん。
「えへへ……。お兄さんはそうやって美味しいって言ってくれるから、作りがいがあって嬉しいです」
>リラの親愛度が8に上がりました
>スキル「料理」がレベル2に上がりました
どうせならもう一つ作ってもらおうか……
と思ったけど、もう食材がなかった。
買おうにもゴールドが足りないため何もできない。
ゲーム内でもお金が足りないなんて……
しかたない。
まずはゴールドを稼ぐ方法から考えよう。
というわけで、早速さっき買ったばかりの地図を使用する。
家の間に広がっていた領地に、新しいまっさらな大地が追加された。
よしよし、予想通りこれで領地が広がったな。
新しくできた土地に、放置報酬で手に入れた苗を植えていく。
大量に手に入ったので全部を埋めることもできたんだが、あえて半分残しておいた。
「全部植えないんですか?」
ああ、ちょっと考えてることがあるんでな。
そこのスペースはあえて空けておきたい。
ちなみに植えたのは「豆の木」「レモンの木」「オリーブの木」など、新しいものが中心だ。
ていうかレモンって木になるんだっけ?
あんま詳しくはないけど……まあできるっていってるんだから、きっとできるんだろう。
さて次にやるのは、地図と一緒に買った「自動人形」だ。
見た目は二足歩行の猫みたいで可愛い。
こいつを家の中に置いて起動してと。
「可愛い猫ちゃんですね」
俺の予想通りなら……よし! やっぱり!
「どうしたんですか?」
こいつは指定したコマンドを永遠に実行し続けるんだ。
なので実行コマンドを「クラフト」にして、実行対象を「イス」にすれば、木材がある限り無限にイスを作り続けることができる。
効率は1%ってことだったから作る速度はかなり遅いだろうが、それでも自動でできるってところが素晴らしい。
「こんなに椅子ばっかり作ってどうするんですか?」
もちろん売るんだよ。
素材の木材はそのまま売っても大したお金にならなかった。
だけどこうして加工すれば、それなりの値段で売れることになる。
明日の今頃には、もうゴールドに困ることもなくなっているだろう。
「なるほど……。さすがお兄さん、すごいです!」
まあな。この手のゲームは散々やってるからな。
俺たちがこうして話してる間にも、猫人形はせっせと椅子を作り続けている。
「でも、なんかずっと動き続けてるのは、ちょっとかわいそうかもですね。
猫さんも疲れるだろうし……」
む。確かにそうだな。
人形とはいえ壊れることはあるかもしれない。
稼働時間は1日8時間に設定しておこうか。
本当は人形を買えるだけ買って、木材の採取とかも自動にして無限に生産したいんだが、人形は一つで売り切れになってしまった。
まあ流石に最初から無限に買えたらゲームバランスが崩壊しちゃうしな。
最初はこんなものでいいだろう。
「それじゃ私もお兄さんのために頑張りますね!」
むん、っとかわいいガッツポーズをとってみせると、リラも外に出てちょこまかと走り始めた。
その様子を見てるだけでやっぱり癒されてしまう。
そういえば最初の頃のように転びそうになることもなくなったな。
それに走る速度もかなり速いし、素材を収穫する手際もかなり良くなっている。
レベルが上がることで素早さとかが上がったおかげかもしれない。
リラはえらいなー。
「も、もう。なんですかお兄さん。えへへ……」
リラの頭を撫でてハートマークを飛ばしたりしながら、お昼までそうやって時間を潰していた。
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次回「5月3日 13:00 「地球終了のお知らせ」です。




