ショートショート㉝ なんでも落とす薬
俺は都内の会社に勤めるサラリーマン
名は正義と書いてマサヨシという
名は体を表すと言うが
俺は周りから
「虫も殺せなさそう〜」
と言われるほどいわゆる優しい男
……………では無い
俺は優しい、虫も殺さない男の仮面を被った
人殺しのサイコパスである
だが、ただの人殺しでは無い
完璧な人殺しである
証拠を全く残さないことから
今までに何人もの人殺しを成功させてきた
そんな俺は…今、非常に焦っている
ミスをしてしまったのだ
ターゲットを殺した後にたまたま通りかかった会社の同僚に顔を見られしまった…
咄嗟に息の根を止めれたのは良かったが返り血を浴びてしまった
上着は川に流し、顔や手足に返り血を近くの公園で洗ったはいいが
今警察にルミノール反応を調べられてらお終いだ
焦った私はなぜだかわからないが薬局に入った
混乱していたので
『なんでも落ちる薬』
となんとも馬鹿らしい質問を薬剤師にしてしまった
さらに馬鹿げていることに薬は存在した
薬剤師さんは埃が少し被った怪しい瓶を差し出し
「値段はしますがなんでも落としますよ…」
俺は財布を出しいくらでも払うと言うと
薬剤師は
「効果を知りたいので身分が分かるものが有ればサービスしますが…注意があって…」
俺は最後まで聞かず名刺を渡し、瓶を奪って薬局を出た
警察に会わずに家に帰りたかった俺は薄暗い路地裏で瓶の薬を飲もうとしたが…
周りが暗く瓶に書いてある説明文が読めず、何錠飲めばいいかわからなかった
とりあえず中身の錠剤全て、20錠ほどを口の中に入れ家まで走って帰った
幸い警察には会わずに帰宅できた
その日は疲れていたこともありお風呂に入り念入りに体を洗った後就寝した
次の日家を出てから会社に向かう
が…何かおかしい…
すれ違う人が皆俺を見てくる
返り血はないことは風呂上がりも、今朝もした
当然ながら寝癖でもない
そんなこんなで会社についたが
入口でいつもお菓子をくれる警備員のおじいちゃん、良く愚痴を言い合う清掃のおばちゃん、俺のことが好きなはずな受付の女性
皆、俺を見る目がいつもと違う
周りからの目線が痛いまま自分の席について書類を整理していると
電話がかかる
「もしもし昨日の薬局のものですが…」
薬剤師が名刺を見て電話をしてきた
「あの薬には注意があってなんでも落とすんです…」
電話の途中で俺は肩を叩かれた
後ろにいたのは警察官
俺はそのまま逮捕された
証拠はないはずなのに…
「なんでも落し剥がすんです…」に続き
受話器の向こうから声が
「化けの皮も剥がすので…」