第3話 長老
「よう、翔太起きてるか」
ジルの元気な声で目覚める。まだまだ眠いが、無理やり体を起こしてロングソードを装備する。
「早いね、起きるの」
「翔太が遅いからだよ」
まあ、僕は朝起きるのは苦手だ。ちょくちょく寝坊して学校に遅刻しそうなぐらいに。
「あの、翔太に会いたい人がいるんだけど」
僕に会いたい人? この里に来て何も悪いことも良いこともしてないはず。そもそも僕に会いたい人は何者なのだ?
「どんな人だ」
「私のおばあちゃんであり、この里の長老だよ」
「そんなすごい人なんて、って君はその人の孫なのかっ」
「ごめんね、隠すつもりはなかったんだ」
エルフの長老が僕になんの用があるのか。考えるが、一向に分からん。でもいい機会だ。この世界の事を教えてもらおう。
「ねえ翔太、ステータス見せて」
ステータス見せてとは。この世界にステータスという概念があるのかと思い、まるでゲームの世界だと感傷にひたる。
「どうやって見ることができるんだ」
「普通に”ステータスオープン”というだけでこのように見ることができるよ」
普通とは? ジルの目の前に現れたウィンドウ画面。彼女のステータスをよく見てみる。
ジル・アレクシア Lv.5
<体力> 52
<魔力> 30
<力> 27
<知力> 39
<俊敏> 36
武器 コンポジットボウ <スキル> 矢の飛距離が上昇
なるほど、このようにステータスが表示されるのか。装備している武器まで分かる。マジでゲームみたいだ。でも分からないこともあるが、スキルとは一体何のことだろう。
「なあ、スキルって何?」
「武器に付与されたものだよ。原則として1つだけ与えられるんだ。武器を購入したり、宝箱とかで手に入って完全に自分のものにしたときに初めて表示されるんだ」
「では、盗まれた場合どうなるんだ?」
「自分だけスキルが使える使用になっている。盗まれても武器は使えるけど、盗んだ人はスキルの効果は反映されないんだ」
なるほど、それほど難しくない設定だな。複雑なことは苦手だが、これなら僕にも分かる。しかし、”ステータスオープン”と言わなければならないのか。慣れてない僕は、これを言うことは少々恥ずかしい。
「す、ステータスオープン//」
やはり少々恥ずかしい。少し顔を赤らめながら言った。
山根翔太 Lv.1
<体力> 35
<魔力> 17
<力> 20
<知力> 9
<俊敏> 14
武器 ロングソード <スキル> 武器の重さ半減
これが僕のステータスか、ロングソードが見た目より軽かったのはこのスキルのおかげだったのか。それにしても、知力という項目が思ったより低くションボリしたのはここだけの話。まあ、高校のテストでは平均よりやや下だったから仕方ない。
「翔太のステータスは普通だね」
「普通で悪かったな」
「ごめんね急に、おばあちゃんが翔太に会いたいって言うから、何か特別な力があると思ってたんだけど」
特別な力? そういえば、黒い靄の人が言ってたな。素質だったか器だったか将又両方か。その謎が分かるかもしれない。好奇心が湧いてきた途端。
「グゥ~~~~~~~」
「すごい音鳴ったわね、翔太のお腹」
「昨日の夕方から何も食べてないな、すっげー腹減ったよ」
「じゃあ、おばあちゃんの家で食べましょ」
「お言葉に甘えてご馳走になるよ」
この世界の料理はどんなものなのか、と楽しみにすると同時に自分の素質が何なのかを知れる好奇心が合わさって、早く着かないかなと思う翔太であった。
しばらくジルに付いて行くと、里で一番大きな家に着いた。
「ここがおばあちゃんの家よ」
大きく古い家なのに、第一印象は神秘的な印象だった。この印象どこかで感じたことがあるようなないような。あ、日本の神社だ。それに近しい印象を受ける。
「おばあちゃん、連れてきたよ」
「すまないねえ、デートの邪魔をして」
「デ、デ、デートちゃうわっ//」
急に関西弁みたいにしゃべるジルに、翔太はクスッと笑った。この世界にも方言みたいなのがあるのか。
「山根翔太と言います。苗字が山根、名が翔太です」
「よろしくじゃ、器の人」
器とは一体、この人は色々知ってそうな雰囲気が漂っている。只者ではないと分かった。
「あばあちゃん、翔太がお腹すいてるから何か料理ある?」
「そうじゃな、台所の棚の中にミートブンがあるから、蒸して持っていきなさい」
「はーい」
ジルは返事すると同時に台所へ向かった。
「器と言っても何も分らぬか」
「はい、すみませんが、器の事とヴェルナッドという人について教えてください」
翔太は少し緊張しながら長老の話を聞く。
「では、教えるとするかのう。器の事、そしてロイス・エイナという国の事も」
チーズ蒸しパンになりたい




